ケアマネの資格は廃止される?噂の真相と制度改正・将来性を解説

資格証を手に疑問が解消されたケアマネジャーのイラスト
公開日 更新日 執筆 介護ワーカーズナビ編集部

介護福祉士として経験を積み、次はケアマネジャーを目指そうと考えていたところに、ケアマネはなくなるらしいという話が聞こえてきて手が止まる。そんな声が現場で聞かれます。実際には、2026年の法改正で決まったのは資格の廃止ではなく、5年ごとの更新制の廃止です。更新制の廃止が大きく報じられたことで、何がなくなるのかが伝わりにくくなっています。この記事では、噂が広まった背景、制度改正で決まったことと検討中のこと、従事者数から見た将来性、これから目指す方が取るべき行動を一次情報に沿って整理しました。ケアマネを目指している介護職の方や、噂が気になっている方に向けた内容です。

この記事でわかること

  • ケアマネの資格そのものは廃止されず、廃止が決まったのは5年ごとの更新制であること
  • 合格率の低下、主任ケアマネの管理者要件、担い手の減少という噂の3つの背景
  • 受験要件の見直しや法定研修の議論がどこまで進んでいるか
  • 従事者数と処遇の動きから見たケアマネの将来性
  • これからケアマネを目指す方が今やっておきたいこと

ケアマネの資格が廃止される予定はない

2026年10月時点で、ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格を廃止する法改正や審議会の方針は出ていません。2026年6月の法改正で廃止が決まったのは、介護支援専門員証の有効期間を5年とし、更新研修を受けて更新する仕組みのほうです。更新の手続きなしに働き続けられるようにする変更で、資格はこれからも残ります。

ケアマネジャーは介護保険制度のなかで、要介護の方のケアプランを作り、サービス事業者や医療職との調整を担う専門職です。要介護認定からサービス利用までの流れのどこでケアマネジャーが関わるかは、介護保険の仕組みをわかりやすく解説|財源・サービス・利用の流れで確認できます。制度の中核に置かれた職種だと押さえておけば、噂に振り回されずに済みます。

噂が広まった3つの背景

廃止の噂は根拠のない作り話というより、ケアマネを取り巻く厳しい変化が重なって生まれたものです。2018年度に受験者と合格率が大きく落ち込んだこと、居宅介護支援事業所の管理者に主任ケアマネが求められるようになったこと、担い手が減り始めていることの3つが主な背景と考えられます。

2018年度の試験で合格率が10.1%に

1つ目は試験の難化です。第21回試験(2018年度)から、受験資格の対象が法定資格に基づく業務と相談援助業務に絞られ、資格を持たずに介護業務の経験だけで受験するルートがなくなりました。

厚生労働省の集計では、第20回(2017年度)に131,560人いた受験者は第21回に49,332人まで減り、合格率も21.5%から10.1%に下がりました。合格者が4,990人にとどまったことで、ケアマネはもう増やさないつもりではないか、という受け止めが広がります。合格率はその後10%台後半から30%台で推移し、第28回(2025年度)は25.6%でしたが、受験者数は5万人前後のままです。

居宅介護支援事業所の管理者は主任ケアマネに

2つ目は管理者要件の変更です。2018年度の介護報酬改定で、居宅介護支援事業所の管理者の要件が介護支援専門員から主任介護支援専門員に改められました。主任ケアマネになるには70時間の主任介護支援専門員研修を修了する必要があり、受講には専任のケアマネとして通算5年以上の実務経験などが求められます。細かな受講要件は都道府県が定めています。

2021年3月31日時点で主任ケアマネでない人が管理者を務めている事業所には、同じ人が管理者を続ける限り、2027年3月31日まで適用を猶予する経過措置があります。主任ケアマネを確保できない小規模な事業所は続けられなくなるのではないかという不安が、ケアマネという仕事自体がなくなるという話にすり替わっていったと考えられます。

担い手の減少と高齢化

3つ目は担い手の減少です。厚生労働省のケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会が2024年12月にまとめた中間整理によると、ケアマネジャーの従事者数は2018年度の189,754人をピークに減少傾向となり、2022年度は183,278人でした。

同じ中間整理は、今の年齢構成から見て10年以内に担い手が急激に減ると見込んでいます。ベテランの引退に後任が追いつかない様子は、この職種は先細りだという印象につながります。ただ、国はこれを人材を確保すべき課題として扱っており、職種を縮小する方向の議論は出ていません。

廃止ではなく見直しの方向に進む制度

国の議論は、ケアマネを減らすのではなく、なり手を増やし、働き続けやすくする方向で進んでいます。法律で決まったのは5年ごとの更新制の廃止だけで、受験要件の緩和や法定研修の負担軽減は審議会や検討会が方向性を示した段階です。決まったことと検討中のことを分けて見ていきます。

更新制の廃止は2026年の法改正で決定

更新制の廃止は、2026年6月25日に公布された社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号)で確定しました。施行日は公布から1年6か月以内の政令で定める日で、遅くとも2027年12月までに始まります。施行日に手元にある介護支援専門員証は、その時点で有効期間のない証として扱われるようになります。

これまでは5年ごとに32時間以上〜88時間以上の更新研修を受けないと、ケアマネとして働き続けられませんでした。改正後も研修の受講義務は残り、都道府県知事が行う研修を正当な理由なく受けなければ受講を命じられ、従わない場合は1年以内の業務禁止もありえます。研修を受け損ねたらすぐ業務ができなくなる仕組みから、学び続けることを前提に資格を保つ仕組みへの切り替えです。

受験要件の見直しは検討段階

受験要件の緩和は、改正法には含まれていません。社会保障審議会介護保険部会が2025年12月の意見で、実務経験を5年から3年に短縮することや、受験できる国家資格に公認心理師など5つの資格を加えることを適当としたものの、2026年10月時点では検討段階です。

受験要件は省令や通知で定めるもので、どの年度の試験から変わるかもまだ示されていません。今の受験資格の条件や実務経験の数え方、追加が検討されている資格の一覧はケアマネの受験資格を解説|実務経験の数え方と制度改正の最新動向にまとめています。

法定研修と主任ケアマネの役割も議論の対象

更新制とは別に、法定研修そのものの負担も議論されています。中間整理では、実務研修87時間、更新研修88時間(2回目以降は32時間)、主任介護支援専門員研修70時間など研修の種類が多く、受講者の経済的・時間的負担が大きいと指摘されました。オンデマンドで分割受講できる環境づくりなどが検討課題に挙がっています。

主任ケアマネについては、介護保険部会の意見で、地域のケアマネへの援助や関係者との連絡調整の中心を担う者として位置づけを明確にすることが適当とされました。中間整理でも、事業所の主任ケアマネが管理業務に時間を取られ、ほかのケアマネの指導まで手が回っていないという指摘が出ており、本来の役割に集中できるようにする方向です。介護保険制度の見直しと報酬改定の関係は介護報酬改定をわかりやすく解説|仕組み・2024年度改定・給料への影響で解説しています。

データで見るケアマネの需要と将来性

ケアマネの需要は、利用者の増加と担い手の減少という2つの動きのあいだで高まっています。中間整理は居宅介護支援の受給者数が増加傾向にある一方、従事者数は減少傾向にあると整理しました。処遇面でも、2026年6月の期中改定で居宅介護支援事業所が処遇改善加算の対象に加わっています。

利用者は増え、担い手は減っている

中間整理によると、居宅介護支援や介護予防支援の受給者数は増加傾向にあり、医療ニーズの高い方や認知症の方、独居の高齢者など、支援の難しいケースも増えると見込まれています。一方で従事者数は2018年度をピークに減り、試験の受験者数も、2017年度まではほぼ毎年10万人を超えていましたが、近年は5万人前後にとどまっています。

中間整理は、ケアマネジメントの質を保ちながら必要ななり手を確保していくことを喫緊の課題と明記しました。国の資料がここまで書いていることは、需要の強さを示す材料になります。資格を取って現場に出れば、担い手が足りない状況のなかで求められる立場になると見てよいでしょう。

給料と処遇改善の動き

令和6年度介護従事者処遇状況等調査では、職種別で見た介護支援専門員の常勤平均月収は375,410円でした。介護職員の338,200円を月に3.7万円ほど上回り、夜勤のない職場が多いのも特徴です。

居宅介護支援事業所はこれまで処遇改善加算の対象外でしたが、2026年6月の期中改定で、居宅介護支援と介護予防支援に2.1%の加算が新設されました。事業所で働くケアマネジャーの賃金に、加算が直接かかわるようになったのはこれが初めてです。資格ごとの給料の違いは介護の資格一覧|種類・取得順序・費用と給料への影響を解説で比べています。

AIやICTはケアマネの業務を補う位置づけ

AIにケアマネの仕事が奪われるのではないかという不安も聞かれますが、国の資料でAIはケアマネの事務を支える道具として扱われています。中間整理が示しているのは、ケアプランデータ連携システムの普及や、AIによるケアプラン作成支援の調査研究を進め、事務負担を減らして利用者への支援に時間を充てられるようにする方向です。

利用者や家族の思いを聞き取り、医師や事業者と調整して支援方針を決める仕事は、書類作成の効率化とは別の領域にあります。

これからケアマネを目指す人が取るべき行動

廃止の心配がないとわかったら、受験までの準備を具体的に進めましょう。受験資格を満たしているかの確認、見直しを待つかどうかの判断、試験対策の始め方の3点を押さえておけば、制度の動きに左右されずに計画を立てられます。

まず実務経験の期間と日数を確かめる

ケアマネ試験を受けるには、法定資格に基づく業務または相談援助業務に、通算5年以上かつ900日以上従事している必要があります。法定資格で受験する場合は、資格の登録日以降の経験しか数えません。

転職前の事業所での経験も合算できます。それぞれの事業所に実務経験証明書を依頼して期間と日数を足し合わせ、受験できる年度を把握しておきましょう。

受験資格があるなら見直しを待たない

すでに5年・900日の要件を満たしている方は、受験要件の見直しを待つ理由はほとんどありません。要件が緩和されたからといって、すでに要件を満たしている人が不利になるわけではありません。早く合格すれば、それだけ早くケアマネとして働き始められます。

まだ要件を満たしていない方は、今の5年を前提に計画を立て、見直しが決まったら前倒しを考えるのが現実的です。受験する年の要件は、都道府県の受験要項で確かめてください。

試験は分野ごとの基準点を意識して準備する

ケアマネ試験は年1回10月に行われ、合格発表は近年11月下旬です。全60問を120分で解き、介護支援分野と保健医療福祉サービス分野の両方で基準点を超える必要があります。制度の知識が問われる介護支援分野は現場経験だけでは解きにくいので、試験の半年前を目安にテキストと過去問で準備を始めましょう。科目別の対策や独学のスケジュールはケアマネ試験の勉強法|独学スケジュールと合格率・科目別対策で詳しく紹介しています。

まとめ

ケアマネの資格が廃止される予定はありません。2026年10月時点で押さえておきたい点は次の4つです。

  • 2026年6月の法改正で決まったのは、資格の廃止ではなく5年ごとの更新制の廃止で、施行は遅くとも2027年12月まで
  • 更新制がなくなっても、都道府県知事が行う研修の受講は引き続き求められる
  • 実務経験5年を3年にする受験要件の見直しは審議会が適当とした段階で、適用時期は決まっていない
  • 従事者数は2018年度をピークに減少傾向で、国は人材確保を急いでいる

噂の出どころは、2018年度の合格率低下や主任ケアマネの管理者要件、担い手の減少といった現実の変化でした。まずは実務経験証明書で自分の期間と日数を確かめ、受験できる年度を把握するところから始めてください。

よくある質問

Q. ケアマネ試験は本当になくなるのですか?

A. なくなる予定はありません。2026年10月時点で、介護支援専門員実務研修受講試験を廃止する方針は国から示されていません。社会保障審議会介護保険部会の意見では、むしろ実務経験を5年から3年に短縮し、受験できる国家資格を増やす方向で見直すことが適当とされています。なり手を増やすための議論が進んでいる段階です。

Q. 更新研修はいつから不要になりますか?

A. 更新制の廃止は、2026年6月25日に公布された改正法により、公布から1年6か月以内の政令で定める日に施行されます。遅くとも2027年12月までに始まりますが、施行までは今の更新制が続きます。施行前に有効期間が切れる方は、登録している都道府県の案内を確認し、更新研修の受講を計画しておきましょう。

Q. ケアマネは将来AIに置き換わりますか?

A. 国の検討会の中間整理では、AIはケアプラン作成を支援する技術として調査研究を進める対象とされ、ケアマネの事務負担を減らす位置づけです。利用者や家族の意向を聞き取り、医療職や事業者と調整して支援方針を決める仕事は、書類作成の効率化とは別の領域にあります。国の資料も、ケアマネの役割はむしろ重くなっていると整理しています。

参考資料・出典

制度の内容と統計の数値は、2026年10月23日時点で確認した厚生労働省・国会・都道府県等の資料に基づいています。

この記事を書いた人

編集部

介護ワーカーズナビ編集部

介護職向け情報メディアの編集チーム

厚生労働省などの公的統計や制度資料をもとに記事を作成しています。数値には出典と年度を記載し、制度が変わったときに内容を見直しています。

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