介護の資格一覧|種類・取得順序・費用と給料への影響を解説

介護の資格を段階的に取得していく階段を上る介護職員のイラスト
公開日 更新日 執筆 介護ワーカーズナビ編集部

介護の仕事を始めるとき、あるいは次の資格を考えるとき、まず戸惑うのが資格の多さです。介護職員初任者研修、略して初任者研修に始まり、実務者研修、介護福祉士、ケアマネジャーと名前は知っていても、どれから取るべきか、給料がどれだけ変わるかは見えにくいものです。実際には介護の資格には取る順番があり、順番を外すと受講時間も費用も余計にかかります。この記事では、主要な資格をキャリアの順に並べて要件と資格別の平均月収を比べ、周辺職種の資格や福祉系国家資格まで整理しました。未経験から介護職を目指す方と、次の一歩を探している介護職の方に向けた内容です。

この記事でわかること

  • 無資格からケアマネジャーまでの取得順序
  • 資格別の取得要件・受験手数料・常勤平均月収の比較(厚生労働省の令和6年度調査)
  • 生活相談員・福祉用具専門相談員・サービス提供責任者に必要な資格
  • 社会福祉士・精神保健福祉士など福祉系国家資格とその他の資格
  • 未経験と経験者それぞれの取得ルート

介護の資格マップ——取得順序で見る全体像

介護の資格は、無資格から初任者研修、実務者研修、介護福祉士、ケアマネジャーへと段階的に積み上がります。上の資格を受けるには下の資格や実務経験が条件になるため、飛び級はほとんどできません。全体の地図を先に押さえておくと、今の位置と次に取る資格がはっきりします。

基本のキャリアパス

介護職のキャリアは、初任者研修、実務者研修、介護福祉士、ケアマネジャーの順に進みます。無資格でも施設の介護職として働けますが、訪問介護で身体介護を担当するには初任者研修以上が求められます。各資格の位置づけは次のとおりです。

  • 初任者研修は入門資格で、130時間の研修を修了して取得する
  • 実務者研修は実務経験ルートで介護福祉士を受験するのに必要な研修で、医療的ケアの基礎も学ぶ
  • 介護福祉士は介護分野の国家資格で、実務経験3年以上と実務者研修の修了で受験できる
  • ケアマネジャーは介護福祉士などの法定資格を取ったあと、実務経験5年以上を経て受験する

未経験から介護福祉士までは実務経験3年が最短の目安で、ケアマネジャーまではさらに5年が加わります。一つ取るごとに任される仕事と給料が変わるので、途中で止まっても無駄にはなりません。

研修修了資格と国家資格の違い

初任者研修と実務者研修は研修修了資格で、カリキュラムを受講して修了すれば取得できます。年齢や学歴の条件はなく、ふるい落とすための試験もありません。一方、介護福祉士は国家試験、ケアマネジャーは都道府県の試験に合格する必要があり、試験勉強の期間を計画に組み込むことになります。

資格別の費用・期間・平均月収の比較表

資格を取ると給料はどう変わるのか。厚生労働省の令和6年度介護従事者処遇状況等調査をもとに、取得の条件と費用、資格別の常勤平均月収を並べました。月収は介護職員等処遇改善加算を取得している事業所の月給・常勤の平均給与額で、基本給に手当と一時金の月割り分を含みます。

資格 取得の条件と期間 費用 常勤平均月収(令和6年9月)
無資格 — — 290,620円
介護職員初任者研修 受講条件なし、130時間 受講料はスクールごとに設定 324,830円
実務者研修 受講条件なし、450時間(初任者研修修了者は320時間) 受講料はスクールにより幅があり、目安は7〜20万円(初任者研修修了者は9〜13万円) 327,260円
介護福祉士 実務経験3年以上+実務者研修修了で国家試験 受験手数料20,510円(第39回) 350,050円
ケアマネジャー 法定資格での実務5年以上かつ900日以上で試験、合格後に実務研修87時間以上 受験手数料は都道府県ごと(東京都の令和8年度は12,548円) 375,410円(職種別・介護支援専門員)
社会福祉士(参考) 福祉系大学や養成施設の課程を経て国家試験 — 397,620円(社会福祉士を保有する介護職員)

無資格と比べると、初任者研修修了者は月に約3.4万円、介護福祉士は約5.9万円、介護支援専門員は約8.5万円高く、年間では無資格と介護支援専門員の間に約100万円の開きがあります。介護支援専門員は職種別の集計なので、資格別の数値とは切り口が違う点に注意してください。研修の受講料はスクールや地域、通学か通信かで変わります。表の実務者研修の金額もスクールの価格帯から見た目安なので、複数の講座を比べて選びましょう。

給料の上げ方を夜勤や役職、転職まで含めて知りたい方は、介護職の給料はいくら?平均年収と年収を上げる5つの方法を参考にしてください。

入門資格——介護職員初任者研修

初任者研修は、介護の仕事を始めるときに最初に取る資格です。130時間のカリキュラムで、介護の基本的な考え方から身体介護の技術、認知症の理解までを一通り学びます。受講条件はなく、未経験でも申し込めます。訪問介護で身体介護を行う要件にもなるため、働ける職場の幅が広がります。

概要と取得方法

130時間の講義と演習を受け、最後の修了評価に合格すると取得できます。通学のみのコースのほか通信と通学を組み合わせたコースもあり、働きながら受講する方も少なくありません。

受講料は制度を使えば軽くなります。雇用保険の加入期間などの条件を満たせば教育訓練給付制度で受講料の一部が戻り、離職中の方はハローワークの職業訓練で受講できる場合があります。入職後に費用を負担する施設もあるので、就職先を探す段階で確認しておきましょう。

給料への影響

令和6年度介護従事者処遇状況等調査では、初任者研修修了者の常勤平均月収は324,830円でした。無資格の290,620円より月に約3.4万円、年間では約41万円高い水準です。

カリキュラムや費用を抑える方法は、介護職員初任者研修とは|費用・期間・取得後の給料差を解説で詳しく解説しています。

ステップアップ資格——実務者研修

実務者研修は初任者研修の次の段階で、介護福祉士を実務経験ルートで受験するには修了が欠かせません。初任者研修との大きな違いは、たん吸引と経管栄養の基礎を学ぶ医療的ケアの科目があることです。受講時間は保有資格によって変わり、初任者研修を持っていれば短くなります。

概要と取得方法

受講時間は無資格なら450時間、初任者研修修了者なら320時間で、免除される科目の分だけ受講料も軽くなります。受講条件はないので無資格から直接進むこともできますが、未経験でいきなり450時間に取り組むのは負担が大きく、先に初任者研修で基礎を固めるほうが挫折しにくい流れです。

修了するとできること

修了すると介護福祉士の受験要件のひとつが満たされ、訪問介護事業所のサービス提供責任者にも就けるようになります。ただ、修了だけで月収が大きく上がるわけではありません。令和6年度調査では実務者研修修了者の常勤平均月収は327,260円で、初任者研修修了者との差は約2,400円でした。

研修の中身は実務者研修とは|費用・期間・カリキュラムと取得メリットを解説に、どちらを先に取るか迷う方向けの比較は実務者研修と初任者研修の違い|費用・時間・できることを比較にまとめています。

介護職の国家資格——介護福祉士

介護福祉士は介護分野の国家資格で、施設のリーダーや主任を任される際に求められることの多い資格です。資格手当を別に支給する施設もあります。受験には実務経験3年以上と実務者研修の修了が必要で、働きながら目指す方の多くは実務経験ルートで受験しています。

概要と取得ルート

実務経験ルートは、従業期間1,095日以上かつ従事日数540日以上の経験を積み、実務者研修を修了して国家試験を受ける道です。養成施設ルートは、介護福祉士養成校を卒業して受験資格を得ます。

試験は例年1月下旬です。第38回試験(2026年1月25日実施)は受験者78,469人、合格者54,987人で、合格率は70.1%でした。第38回からはパート合格制度が始まり、合格基準に達したパートは翌年と翌々年の試験で免除されます。

給料への影響

令和6年度介護従事者処遇状況等調査では、介護福祉士の常勤平均月収は350,050円でした。無資格と比べて月に約5.9万円、年間で約71万円の差です。サービス提供責任者や生活相談員など、周辺職種の要件を満たしやすくなる点も強みです。

受験資格の日数の数え方やパート合格制度の詳細は、介護福祉士の試験ガイド|受験資格・合格率・パート合格制度を解説で確認してください。

相談援助の専門資格——ケアマネジャー

ケアマネジャーは、介護職のキャリアパスの上位にある資格です。正式名称は介護支援専門員で、利用者のケアプランを作り、サービス事業者との調整を担います。介護福祉士などの法定資格を取ったあと、さらに5年以上の実務経験を積んで初めて受験できるため、取得までの道のりは介護の資格の中で最も長くなります。

概要と受験資格

受験資格は、介護福祉士や社会福祉士、看護師などの法定資格に基づく業務の経験が通算5年以上かつ900日以上あることです。試験は毎年10月に各都道府県で行われ、第28回(2025年度)は受験者50,601人、合格者12,961人、合格率25.6%でした。合格後に87時間以上の実務研修を修了して登録すると、介護支援専門員証が交付されます。

給料への影響

令和6年度介護従事者処遇状況等調査では、職種別で見た介護支援専門員の常勤平均月収は375,410円でした。身体介護から離れて相談援助と書類作成が中心になり、夜勤のない職場が多いため、体力面を考えて働き方を変えたい方が目指す資格でもあります。

受験資格や更新研修のあり方は国で見直しが議論されています。実務経験の数え方と制度改正の動きはケアマネの受験資格を解説|実務経験の数え方と制度改正の最新動向、独学の進め方はケアマネ試験の勉強法|独学スケジュールと合格率・科目別対策、廃止の噂についてはケアマネの資格は廃止される?噂の真相と制度改正・将来性を解説で整理しています。

相談援助・周辺職種の資格——生活相談員・福祉用具専門相談員・サ責

介護の資格は、身体介護を行う職種のためだけのものではありません。利用者と施設をつなぐ生活相談員、福祉用具を選ぶ福祉用具専門相談員、訪問介護の現場をまとめるサービス提供責任者にも、それぞれ資格の要件があります。介護福祉士を持っていれば要件を満たせる職種が多く、現場からのキャリアチェンジ先になります。

生活相談員に必要な資格

生活相談員は、特養やデイサービスで利用の手続き、利用者や家族の相談、外部機関との調整を担う職種です。専用の試験はなく、社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格のいずれかが基本の要件です。

自治体によっては介護福祉士やケアマネジャーの資格、一定の介護経験でも認めており、要件は自治体ごとに違います。令和6年度調査の生活相談員・支援相談員の常勤平均月収は353,950円で、介護職員の338,200円より約1.6万円高い水準でした。詳しくは生活相談員とは|仕事内容・資格要件・ケアマネとの違い・給料で解説しています。

福祉用具専門相談員

福祉用具専門相談員は、車いすや介護ベッドなどを扱う貸与・販売事業所で、利用者に合った用具を提案し、納品後のフォローまで担う専門職です。都道府県が指定する50時間の講習を修了すると就くことができ、受講条件はありません。

介護福祉士や社会福祉士、看護師などの資格があれば講習なしで就けるため、介護職からの転身はスムーズです。資格の取り方や給料は福祉用具専門相談員とは|資格の取り方・仕事内容・給料を解説にまとめました。

サービス提供責任者(サ責)

サービス提供責任者は、訪問介護事業所で訪問介護計画の作成、ヘルパーの調整と指導、初回訪問などを担う役割です。介護福祉士、実務者研修修了者、旧ホームヘルパー1級のいずれかが要件で、初任者研修だけでは就けません。

訪問介護で働く方にとって、実務者研修を取る大きな動機になる役割です。介護福祉士の受験前でも、実務者研修を修了した時点で要件は満たせます。仕事内容や大変さはサービス提供責任者(サ責)とは|仕事内容・必要資格・給料・大変さで紹介しています。

福祉系国家資格と知っておきたいその他の資格

介護福祉士とケアマネジャーのほかにも、相談援助で活きる福祉系の国家資格や、介護職の専門性を高める研修・民間資格があります。基本のキャリアパスには入りませんが、生活相談員への転身やリーダー業務、医療的ケアの実施といった場面で求められます。介護職の方が候補にしやすいものを簡潔に紹介します。

社会福祉士・精神保健福祉士

社会福祉士は、高齢者や障害のある方、生活に困っている方の相談援助を担う国家資格です。特養や地域包括支援センター、社会福祉協議会、病院の相談室などで働き、生活相談員の基本要件にも含まれます。

受験資格は、福祉系大学で指定科目を履修するか、一般の大学の卒業や相談援助の実務経験を経て養成施設の課程を修了して得ます。介護の現場経験だけでは受験資格になりません。第38回試験の合格率は60.7%で、令和6年度調査では社会福祉士を保有する介護職員の常勤平均月収が397,620円と、保有資格別で最も高い水準でした。

精神保健福祉士は精神障害のある方の相談援助に特化した国家資格で、第28回試験の合格率は78.2%でした。社会福祉士と共通する科目があり、一方の資格を持っていれば共通科目が免除されます。

認定介護福祉士

認定介護福祉士は、介護福祉士の上位に位置づけられる民間の認定資格です。介護福祉士として現場経験を積んだ人が、認定介護福祉士認証・認定機構の養成研修を修了して認定を受けます。後輩の育成や多職種との橋渡しを担うリーダー人材を想定しており、主任や管理職を目指す方の選択肢になります。

喀痰吸引等研修

喀痰吸引等研修は、介護職員がたん吸引と経管栄養を行うための研修です。実務者研修で基礎は学びますが、現場で実際に行うにはこの研修を修了して都道府県の認定を受ける必要があり、働く事業所の登録も求められます。特養や障害者施設など、医療的ケアが必要な利用者の多い職場で求められます。

福祉住環境コーディネーター

福祉住環境コーディネーターは、高齢者や障害のある方が暮らしやすい住まいを提案するための検定で、東京商工会議所が実施しています。2・3級はIBTやCBTの方式で受験できます。住宅改修の助言や福祉用具選びに役立つ知識が身につき、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員が知識を補う目的で受けることがあります。

迷ったらこの順番——経験別おすすめ取得ルート

どの資格から取るかは、今の経験と保有資格で決まります。未経験なら初任者研修から、現場経験があるなら今の位置から次の一つを取るのが基本です。資格を飛ばそうとするより、順番どおりに積み上げるほうが受講時間も費用も結果的に少なく済みます。経験別の現実的なルートを示します。

未経験の場合

未経験の方は、初任者研修から始めましょう。資格を取って就職し、現場で経験を積みながら実務者研修に進み、実務経験が3年に達する年度の国家試験で介護福祉士を受験するのが最短の流れです。無資格で採用する施設も多いため、先に就職して働きながら初任者研修を受ける方法もあります。資格なしで応募できる施設の探し方は、介護職を未経験から始めるには|資格なしOKの施設と5ステップで解説しています。

すでに現場で働いている場合

無資格で働いている方は、介護福祉士の受験を見据えて実務者研修から入る選択もあります。初任者研修を持っている方は320時間の実務者研修へ進み、実務3年で介護福祉士を受験しましょう。

介護福祉士を持っている方の次の一歩は、ケアマネジャーを目指す道、生活相談員や福祉用具専門相談員へ転身する道、認定介護福祉士や喀痰吸引等研修で専門性を高める道の3つです。現場経験を資格に変え、資格を任される仕事と給料に変えていく。その積み重ねが介護職のキャリアになります。

まとめ

介護の資格は、初任者研修、実務者研修、介護福祉士、ケアマネジャーの順に積み上がり、上の資格ほど実務経験の条件が長くなります。令和6年度介護従事者処遇状況等調査では、常勤平均月収が無資格の290,620円から介護福祉士の350,050円へと上がっています。周辺職種では、生活相談員は社会福祉士や社会福祉主事任用資格、福祉用具専門相談員は50時間の講習、サービス提供責任者は実務者研修以上が要件です。未経験の方は初任者研修の講座選びから、経験のある方は次の資格の受験要項を確かめるところから始めてください。

よくある質問

Q. 介護の資格は何から取るべきですか?

A. 未経験の方は介護職員初任者研修からが基本です。受講条件がなく130時間で修了でき、訪問介護で身体介護を担当する要件にもなります。令和6年度調査では修了者の常勤平均月収が無資格より月に約3.4万円高い水準でした。すでに現場で働いている方は、介護福祉士の受験を見据えて実務者研修から入る選択もあります。

Q. 無資格でも介護の仕事はできますか?

A. できます。特養や老健、デイサービスなどには、無資格・未経験から介護職員として採用する職場が多くあります。ただし訪問介護で身体介護を行うには初任者研修以上が必要です。令和6年度調査では無資格と介護福祉士の間に月約5.9万円の差があるため、入職後に資格を取る計画を立てておきましょう。

Q. 介護福祉士まで最短で何年かかりますか?

A. 実務経験ルートでは実務経験3年以上と実務者研修の修了が受験要件なので、未経験から最短で約3年です。試験は例年1月下旬、合格発表は3月です。介護福祉士養成校を卒業して受験資格を得る養成施設ルートもあります。

Q. 介護の資格の費用はどのくらいかかりますか?

A. 研修の受講料はスクールごとに設定されていて幅があり、実務者研修は7〜20万円、初任者研修修了者が受ける場合は9〜13万円がひとつの目安です。介護福祉士の国家試験は第39回で受験手数料20,510円、ケアマネジャーの試験は都道府県ごとに異なり、東京都の令和8年度は12,548円です。教育訓練給付制度やハローワークの職業訓練、勤務先の資格取得支援を使えば研修費用の負担を減らせます。

Q. 社会福祉士は介護職でも取れますか?

A. 介護の現場経験だけでは受験資格を得られません。福祉系大学で指定科目を履修するか、一般の大学の卒業や相談援助の実務経験を経て養成施設の課程を修了する必要があります。生活相談員や地域包括支援センターへの転身を考える方に向く資格で、第38回試験の合格率は60.7%でした。

参考資料・出典

この記事を書いた人

編集部

介護ワーカーズナビ編集部

介護職向け情報メディアの編集チーム

厚生労働省などの公的統計や制度資料をもとに記事を作成しています。数値には出典と年度を記載し、制度が変わったときに内容を見直しています。

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