求人を見ていると、少人数で家庭的、認知症ケアに力を入れていますといった言葉とともにグループホームの募集が並びます。料理や掃除もするのか、夜勤は一人なのか、特養と比べて楽なのかきついのか、気になる点は多いはずです。
実際には、グループホームは認知症の方と暮らしを共にする職場で、家事を含む生活支援と一人夜勤という、ほかの施設にはない特徴があります。
この記事では、グループホームの人員基準と1日の流れ、きついところ、働くメリット、令和6年度調査にもとづく給料をまとめました。
転職先や最初の職場としてグループホームを考えている介護職の方に向けた内容です。
この記事でわかること
- グループホームの定員と人員基準、特養・デイサービスや障害者向けグループホームとの違い
- 日勤と夜勤の1日の流れ、家事を含む主な業務
- 一人夜勤や看護師不在など、きついと感じやすいところ
- 認知症ケアが学べる、無資格から始めやすいといった働くメリット
- 令和6年度介護従事者処遇状況等調査にもとづく平均給与額
グループホームとは
介護の世界でグループホームと呼ばれるのは、介護保険の認知症対応型共同生活介護です。認知症の診断を受けた要支援2以上の方が、少人数で共同生活を送りながら、食事づくりや掃除など暮らしの営みを続けます。できることは利用者自身に担ってもらい、家庭に近い環境で落ち着いて過ごせるよう支えることがねらいです。
1ユニット5〜9人と人員基準
グループホームは共同生活住居と呼ばれるユニット単位で運営され、1ユニットの定員は5人以上9人以下、1事業所に置けるのは3ユニットまでです。介護職員は日中、利用者3人に1人以上、夜間はユニットごとに1人以上の配置が基準です。
このほか、介護計画をつくる計画作成担当者と、認知症介護の経験と所定の研修を修了した管理者を置きます。看護職員の配置は人員基準で義務づけられていません。計画作成担当者の役割はグループホームのケアマネ(計画作成担当者)の仕事内容と給料で詳しく解説しています。
障害者グループホームとの違い
同じグループホームという名前でも、障害のある方が暮らす障害者総合支援法の共同生活援助は別の制度です。対象者も支援の内容も異なり、求人でも両方がグループホームとして載ることがあります。応募の際は、高齢者向けの認知症対応型共同生活介護かどうかを求人票のサービス種別で確かめてください。
仕事内容と1日の流れ
グループホームの仕事は、身体介護に加えて料理や洗濯、掃除といった家事の比重が大きいのが特徴です。職員がすべてを代わりに行うのではなく、利用者と一緒に台所に立ち、できる部分を任せながら見守ります。日勤と夜勤それぞれの流れを、2交代制のホームでの一例として紹介します。勤務時間や手順はホームによって異なります。
主な業務
日々の業務は、暮らしの支援と介護、記録の3つに分けられます。食事は献立づくりから調理までを職員が担い、利用者には野菜の皮むきや盛り付けなど得意なことを手伝ってもらいます。
- 調理、配膳、片付け、洗濯、掃除などの家事
- 食事、入浴、排泄、着替えなどの介助
- 散歩や買い物の付き添い、レクリエーション
- 服薬の確認、体調の観察、介護記録の記入
入居者が9人までのため、一人ひとりの好みや生活歴を把握したうえでケアを組み立てられます。
日勤の1日の流れ
日勤は、朝食後の申し送りから夕食前までの時間帯を担います。午前は入浴と昼食づくり、午後は散歩や買い物、レクと、生活の流れに沿って業務が進みます。次の時刻は一例で、勤務シフトやホームの日課によって前後します。
- 9:00 出勤、夜勤者から申し送り
- 10:00 入浴介助、掃除や洗濯
- 11:00 利用者と一緒に昼食づくり
- 12:00 昼食、食事介助、服薬確認、口腔ケア
- 14:00 散歩、買い物、レクリエーション
- 15:00 おやつとお茶の時間
- 16:00 夕食の下ごしらえ、記録、夜勤者への申し送り
調理の時間は見守りの時間でもあり、包丁や火の扱いに気を配りながら会話を楽しむ力が求められます。
夜勤の流れ(ユニットに1人)
2交代制の夜勤は夕方から翌朝までの長時間勤務で、ユニットにいる職員は基本的に自分だけです。夕食づくりから就寝介助、夜間の巡回、朝食の準備までを一人でこなします。巡回の間隔や休憩の時間帯はホームの決まりに従います。
- 夕方 出勤、申し送り、夕食づくりと食事介助
- 20:00ごろ 服薬確認、着替えや口腔ケア、就寝介助
- 深夜 定時の巡回、排泄介助、記録、休憩・仮眠
- 早朝 起床介助、朝食の準備、日勤者への申し送り
夜間に起きて歩き回る方への対応が重なると、休憩が取りにくい夜もあります。夜勤全般の流れは介護職の夜勤の仕事内容|タイムスケジュール・きつさ・向いている人で詳しく解説しています。
特養・デイサービスとの違い
グループホームは、同じ入所系の特養と比べて利用者の人数が少なく、家事の比重が大きい職場です。日帰りのデイサービスとは夜勤の有無が大きく違い、看護職員を置く決まりも施設ごとに異なります。主な違いを表にまとめました。
| 項目 | グループホーム | 特養 | デイサービス |
|---|---|---|---|
| 主な利用者 | 認知症の要支援2以上の方 | 原則要介護3以上の方 | 自宅で暮らす要支援・要介護の方 |
| 規模 | 1ユニット5〜9人 | ユニット型は1ユニット原則おおむね10人以下 | 事業所による |
| 夜勤 | ユニットごとに1人以上 | ユニット型は2ユニットごとに1人以上 | なし |
| 業務の柱 | 家事を含む生活支援と認知症ケア | 身体介護と看取り | 送迎、入浴、レク |
| 看護職員 | 配置義務なし | 配置義務あり | 原則配置(定員10人以下は例外あり) |
| 常勤の平均給与額 | 302,010円 | 361,860円 | 294,440円 |
給与額は厚生労働省の令和6年度介護従事者処遇状況等調査(令和6年9月時点、月給・常勤の介護職員)の数値です。デイサービスのうち利用定員10人以下の地域密着型の事業所は、看護職員か介護職員のどちらかを置けばよいとされています。特養は原則要介護3以上の方が中心で身体介護の比重が大きく、グループホームは認知症の症状への対応と一人夜勤の責任が重くなります。施設ごとの違いは特養・老健・有料老人ホームの違い|施設の種類と働き方・給料を比較で比べています。
グループホームのきついところ
グループホームの大変さは、一人で判断する場面の多さに集約されます。夜勤は基本的に一人で、看護師の配置も義務ではなく、職員の数が少ないぶん人間関係の逃げ場もありません。家庭的な雰囲気の裏にある負担を、応募前に知っておきましょう。
夜勤は基本的に一人
人員基準では夜間の職員はユニットごとに1人以上で、基準どおりの配置なら1ユニットを1人で受け持つことになります。急な体調不良や転倒、夜間に眠れず歩き回る方への対応を、その場で一人で判断しなければなりません。
夕食から朝食までの家事も夜勤者の担当です。長時間勤務が続くと生活リズムが崩れやすいため、月の夜勤回数と仮眠の取り方を面接で確認しておくと安心です。
看護師が常駐しているとは限らない
看護職員は人員基準で配置が義務づけられておらず、看護師が日々ホームにいるとは限りません。医療連携体制加算を算定するホームでは、看護師を職員として置くか、病院や訪問看護ステーションとの連携で確保して健康管理を行っています。
夜間の急変時には、介護職員が状態を観察し、オンコールの看護師や管理者に連絡して指示を仰ぎます。看取りまで対応するホームもあり、連絡体制と緊急時のマニュアルが整っているかは見学で確かめたい点です。
少人数ゆえの人間関係
1ユニットの職員は限られた人数で、同じメンバーと顔を合わせ続けます。打ち解ければ連携しやすい反面、相性の合わない同僚がいると距離を取りにくい職場です。
家事のやり方や声かけの方針など、細かな違いが摩擦の種になりやすいという声もあります。ケアの方針が文書やミーティングで共有されているかどうかは、働きやすさを左右する点です。
グループホームで働くメリット
グループホームで働く利点は、認知症ケアを深く学べること、無資格からでも始めやすいこと、夜勤で収入を上げられることです。少人数の利用者と長く関わるため、ケアの工夫が利用者の表情や暮らしぶりの変化として返ってきます。家事や日々の会話がそのまま仕事になるため、介護の経験がない方も入りやすい職場です。
認知症ケアが深く学べる
利用者全員が認知症の方なので、症状の現れ方やその人に合った声かけを日々の暮らしの中で学べます。同じ方と毎日関わるため、どんな場面で不安が強くなるか、何をきっかけに落ち着くかを観察しやすい環境です。
ここで身につけた観察力と関わり方は、特養やデイサービスに移っても役立ちます。声かけの基本は高齢者とのコミュニケーションのコツ|認知症の方への声かけと傾聴にまとめています。
無資格・未経験から始めやすい
グループホームの介護職員には資格要件がなく、求人次第で無資格・未経験から働けます。調理や掃除など、家庭で経験してきたことを生かせる業務が多い点も入りやすさにつながっています。
ただし、介護福祉士や介護職員初任者研修などの資格を持たない職員には、事業所が認知症介護基礎研修を受けさせることが義務づけられており、新たに採用された方は採用後1年以内に受講します。未経験から入るまでの段取りは介護職を未経験から始めるには|資格なしOKの施設と5ステップで解説しています。
夜勤手当と深夜割増で収入を上げられる
夜勤に入ると、ホームの賃金規程で決められた夜勤手当がつきます。これとは別に、22時から翌5時までの勤務には労働基準法にもとづく25%以上の深夜割増賃金が支払われます。
日勤のみの働き方より月収を上げやすく、夜勤の回数で収入を調整することも可能です。手当の相場や回数の考え方は介護職の夜勤手当はいくら?相場・回数・2交代と3交代の違いで詳しく解説しています。
グループホームの給料の目安
厚生労働省の令和6年度介護従事者処遇状況等調査では、処遇改善加算を取得している事業所で働く月給・常勤の介護職員の平均給与額は、グループホームで302,010円でした。令和6年9月時点の値で、12か月分に直した年収の目安は約362万円です。介護職員全体の338,200円より36,190円低い水準です。
資格による差もあり、全サービスの平均では、保有資格なしが290,620円、初任者研修修了者が324,830円、介護福祉士が350,050円でした。グループホームで働く介護福祉士の平均は315,600円です。
平均給与額には基本給のほか、夜勤手当などの手当と一時金の月割り分が含まれます。同じグループホームでも、夜勤の回数や事業所が取得している処遇改善加算の区分で給与額は変わります。求人票や面接では、夜勤手当の1回あたりの額と加算の区分を確かめてください。
グループホームが向いている人
グループホームは、認知症の方とじっくり関わりたい方、料理や家事が苦にならない方、一人でも落ち着いて判断できる方に向いています。利用者の小さな変化に気づき、その人のペースに合わせられることが何より求められる職場です。
反対に、身体介護の技術を集中して磨きたい方や、夜間は複数の職員で動きたい方には、特養など規模の大きい施設のほうが合うかもしれません。施設ごとの仕事の違いを全体から見直したい方は、介護職の仕事内容とは|1日の流れ・施設別の違い・必要な資格を解説を参考にしてください。
まとめ
グループホームは、認知症の方が1ユニット5〜9人で暮らす住まいで、介護職員は家事を含む生活支援と認知症ケアを担います。夜勤はユニットごとに1人以上の配置が基準で、看護師の配置義務もないため、一人で判断する場面が多いことがきついところです。一方で、認知症ケアを深く学べ、無資格からでも始めやすく、夜勤で収入を上げることもできます。令和6年9月時点の月給・常勤の介護職員の平均給与額は302,010円でした。
気になるホームが見つかったら、夜勤の体制と看護師との連絡体制を見学で確かめてみてください。
よくある質問
Q. グループホームは無資格で働けますか?
A. 介護職員には資格要件がないため、求人次第で無資格・未経験から働けます。調理や掃除など家庭での経験を生かせる業務も多い職場です。ただし、介護福祉士や初任者研修などの資格がない方は、採用後1年以内に認知症介護基礎研修を受講します。働きながら初任者研修や介護福祉士を目指すと、給与面でも差がつきます。
Q. グループホームの夜勤は一人体制ですか?
A. 人員基準では夜間の職員はユニットごとに1人以上とされており、基準どおりの配置なら1ユニットを1人で担当します。2ユニット以上のホームでは、隣のユニットの夜勤者と連絡を取り合える場合もあります。応募前に、夜勤の人数、仮眠の取り方、急変時の連絡先を確かめておくと安心です。
Q. グループホームと特養はどちらが楽ですか?
A. 楽かどうかより、負担の種類が違うと考えてください。特養は原則要介護3以上の方が中心で移乗やおむつ交換などの身体介護が多く、グループホームは身体介護が比較的少ない代わりに、家事と認知症の症状への対応、一人夜勤の責任が重くなります。体力面と判断面のどちらを負担に感じやすいかで考えると選びやすくなります。
参考資料・出典
- 令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(厚生労働省、2025年)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/24/index.html
- 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100034
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100039
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100037
- 令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.14)問1 認知症介護基礎研修の義務づけ(厚生労働省老健局、2025年4月18日)https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001478559.pdf
- 労働基準法 第37条(深夜の割増賃金)https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
※統計・制度の情報は2026年10月時点のものです。














