介護職において高齢者とのコミュニケーションは最も重要な仕事の一つです。
しかし高齢者の中には難聴や認知症を患っている方もいるため、コミュニケーションの方法にはかなり悩んでしまうかもしれません。
本記事では高齢者の方を理解し、円滑にコミュニケーションを取るコツと、それでも上手くいかない場合の対処法も紹介します。
これらの方法でコミュニケーションをとれば、誰でも高齢者の方と難なく距離をつめることができるようになります。
是非最後まで読んで今後の介護に活かしてください。
目次
介護において高齢者とのコミュニケーションが重要な理由
介護において高齢者とのコミュニケーションが必要なのは、本当に必要な介護サービスを提供するためです。
高齢者の中には難聴や認知症など、様々な理由により上手く自己表現ができないことが多いです。そのため介護する側の私たちが高齢者の表現できない部分まで汲み取って介護することが大切なのです。
時にはコミュニケーションに齟齬が生じ、関係が悪くなってしまうこともあるでしょう。
きちんとしたコミュニケーションを取ることができれば、以下のような効果も期待できます。
高齢者に信頼されるため
コミュニケーションは介護に限らず、人に信頼されるためには重要なことです。
介護は利用者さんの生活のサポートが仕事のため、利用者さんから信頼がなくては満足のいくサービスは提供することができません。
しかしコミュニケーションを上手くとり、利用者さんとの信頼関係を築くことができればより満足度の高いサービスを提供することができるようになります。
アクシデントの防止
介護現場ではアクシデントは日常茶飯事です。中には防止しようのないものもあります。しかし、コミュニケーションを徹底していれば未然に防げるものも多くあります。
日常的にコミュニケーションをとり、いつもと違うことがあれば利用者さんが口に出さなくとも気づけるようにまでなれば、そうしたアクシデントは激減します。
高齢者とのコミュニケーション方法
ここでは高齢者との接し方について悩んでいる介護士の方に向けて、相手に寄り添うコミュニケーションの方法をご紹介します。
高齢者とのコミュニケーションにおいて重要なのは自ら心を開き、対等に接することです。
介護士と高齢者は世代間のギャップなどにより、思考や行動が異なることが多いです。
しかし、接し方まで変えてしまうのは信頼関係から遠ざかりかねません。
自ら心を開き、対等な立場で接することが大切です。そのためにここでは相手に寄り添うために必要な二つのコミュニケーション方法を紹介します。
言語的コミュニケーション
言語的コミュニケーションとは言葉を使った日常的に行われているコミュニケーションです。
言語的コミュニケーションで高齢者と円滑に会話を進めるには相槌を打つことが大切です。
「そうですよね」「わかります」等、話を聞いているということを分かりやすく示すことで高齢者「自分の話を聞いてくれている」と感じ心を開いてくれやすくなります。
非言語的コミュニケーション
非言語的コミュニケーションとは、表情・目線などの言葉以外を使ったコミュニケーション方法です。
言語的コミュニケーションに比べて蔑ろにされがちですが、言葉による感情表現よりも気持ちが伝わりやすいコミュニケーション方法だとされています。
特に気をつけるべきなのは視線です。利用者さんがこちらのことを見て話している場合、しっかりと目を見て話を聞きましょう。
アイコンタクトが取れるだけでも利用者さんは安心して話をすることができ、それが信頼関係に大きく関わってきます。
認知症の高齢者とのコミュニケーションの方法
認知症を患っている高齢者は、保がい妄想や認知機能の低下など、他の高齢者とはまた違ったコミュニケーションの難しさがあります。
介護士の方の中にも、「高齢者との会話は大丈夫だが、認知症患者との会話の仕方がわからない…」という悩みを持っている方は多くいるはず。
ここでは、認知症の高齢者とのコミュニケーション方法や接し方のコツをご紹介します。
否定をせずに相手の話を受け入れる
認知症の高齢者との会話では否定的な発言はしないことが望ましいです。
認知症の高齢者は介護士のことを自分の子どもと間違えるなど、様々な勘違いをしてしまいます。そのような発言に対して、「私は息子・娘さんではないですよ」と言っても混乱させるだけで、コミュニケーションは図れません。
まずはその話を受け入れ、なぜそのような発言をしたのかを考えることができれば、信頼関係を築くコミュニケーションになります。
「どうしたの?」「ここにいるよ」と、声をかけてあげるだけでも気持ちが落ち着くことがあるので、否定はせずに相手の言葉の意図を汲んだ上で受け答えをしましょう。
もし本当の意図を汲むことができなかったとしても、それを考えてあげることが信頼関係を結ぶ上で重要です。
高齢者と会話する時のコツ
高齢者と会話する際、いくつかの簡単なコツを押さえておくだけで話が盛り上がり、楽しいコミュニケーションを取ることができます。
ここで紹介するコツは明日からできる簡単なものなので、どんどん試していきましょう。
声のトーンを低くして話す
高齢者と話す時は声のトーンを低くして話すと、会話が円滑に進みやすくなります。
利用者さんの中には難聴の方も多いため、介護士はただ大きな声で喋りがちなのですが、それでは威圧感を与えてしまいます。
高齢者が聞き取りにくいのは高音など、周波数の高い音です。そのため大声でしゃべったとしても声が高ければ聞こえ方は変わらずに怒鳴っているようにしか見えません。
口元が見えるように低目の声で話すことによって高齢者も安心して楽しいコミュニケーションが取れるようになります。
目線を合わせる
利用者さんはベッドで寝たきり、または車椅子に座っている方が多く、介護士よりも目線が下にあります。
物理的に上から話しかけられると威圧感が拭えません。
同じ目線、または少し下から話してあげることで高齢者は安心することができます。
それにより前述した口元が見えるように話すのにも繋がるため、オススメのコツです。
それでも高齢者とのコミュニケーションが上手くいかない時
沈黙を大切にする
コミュニケーションのコツとしては意外に思われるかもしれませんが、沈黙も一つのコミュニケーションと言えます。
ただ、全ての高齢者が自分の話を聞いてほしいわけではありません。
自分のタイミングで話したいという人もいれば、ただ一緒にいるだけでいいという人もいるのです。
そのため上手くコミュニケーションが測れない時は、特に会話はせずにゆっくりと同じ時間を共有するということも試してみるといいでしょう。
その人のタイミングで何か話してくれることがあるかもしれません。
相手の反応を待つ
自分の発した言葉に対してなかなか返答がなく、次の話をし始めたことはありませんか?
もしかしたら返事を考えている途中だったかもしれません。
高齢者は認知機能の低下や発語のしにくさが理由で反応するのに時間がかかってしまうことがあります。
自分の問いかけに対し、聞いている素振りはあるのに反応がないという時は、反応が返ってくるまでゆっくり待ってみましょう。
まとめ
介護現場におけるコミュニケーションは、信頼を築くために最重要とされています。
信頼を築くことにより最適な介護サービスを提供することができる他、アクシデントを未然に防ぐこともできます。
本記事では高齢者と信頼関係を築くためのコツを複数紹介しました。
明日からできる簡単なコツもあるので、是非活用していってください。
これらのコツを使いこなすことができれば、利用者さん一人一人の良き理解者として信頼関係を築くことができるでしょう。