グループホームの求人を見ていると、計画作成担当者やケアマネ兼介護職といった募集が目に入ります。居宅や特養のケアマネと何が違うのか、介護の仕事も続けるのか、給料は上がるのかと、迷う方もいるでしょう。
実際には、グループホームのケアマネは法令上の名称を計画作成担当者といい、配置の決まりも作る計画も、居宅や施設のケアマネとは異なります。ネット上には、介護福祉士が必須といった誤った情報や、2021年の基準改正より前の説明も残っています。
この記事では、運営基準にもとづく配置と要件、兼務を含む1日の流れ、令和6年度調査にもとづく給料の目安と上げ方、居宅・施設ケアマネとの違いをまとめました。
グループホームでケアプランに携わりたい介護職の方や、ケアマネ資格を生かせる職場を探している方に向けた内容です。
この記事でわかること
- グループホームのケアマネ(計画作成担当者)の位置づけと、2021年に変わった配置基準
- 必要な資格と研修、介護福祉士が必須ではない理由
- 介護業務との兼務を含む仕事内容と1日の流れ
- 令和6年度介護従事者処遇状況等調査にもとづく給料の目安と上げ方
- 居宅ケアマネ・施設ケアマネとの違いと、向いている人
グループホームのケアマネは計画作成担当者
グループホーム、正式には認知症対応型共同生活介護で利用者の介護計画をつくる職員を、運営基準では計画作成担当者と呼びます。現場ではケアマネと呼ばれることが多いものの、全員が介護支援専門員である必要はありません。配置の決まりと必要な資格・研修を、地域密着型サービスの運営基準に沿って見ていきます。
配置基準は事業所ごとに1人以上
計画作成担当者は、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準の第90条で、事業所ごとに専らその職務に従事する者として置くと定められています。利用者の処遇に支障がなければ、同じ事業所のほかの職務と兼ねることもできます。
以前はユニットごとに1人以上の配置が必要でしたが、令和3年度介護報酬改定(2021年4月施行)で、人材の有効活用を目的に事業所ごとに1人以上へ緩和されました。2021年より前の資料にはユニットごとの説明が残っているので、読むときは時期を確かめてください。
グループホームは1ユニット5〜9人、1事業所3ユニットまでなので、計画作成担当者が1人なら最大27人分の計画を受け持つことになります。
1人以上は介護支援専門員、全員が研修修了者
同じ第90条は、計画作成担当者は厚生労働大臣が定める研修、すなわち認知症介護実践者研修を修了していなければならず、そのうち1人以上には介護支援専門員を充てると定めています。2人以上を置く場合、介護支援専門員は1人いれば足り、その人がほかの計画作成担当者の業務を監督します。
介護支援専門員でない計画作成担当者には、特養の生活相談員や老健の支援相談員など、認知症の方の介護計画づくりに実務経験がある人を充てられます。併設する小規模多機能型居宅介護などの介護支援専門員と連携できる場合や、サテライト型事業所では、介護支援専門員を置かない例外もあります。
介護福祉士は必須ではない
計画作成担当者の要件に、介護福祉士の資格は含まれていません。必要なのは認知症介護実践者研修の修了と、事業所に1人以上の介護支援専門員です。ただ、介護支援専門員の受験には介護福祉士などの法定資格にもとづく実務経験が要り、厚生労働省の集計では第28回試験(2025年度)の合格者の64.1%が介護福祉士でした。結果として介護福祉士を持つ人が多くなります。
ケアマネ試験の受験資格や実務経験の数え方はケアマネの受験資格を解説|実務経験の数え方と制度改正の最新動向で詳しく解説しています。
グループホームのケアマネの仕事内容と1日の流れ
計画作成担当者の中心業務は、認知症対応型共同生活介護計画、いわゆるグループホームのケアプランをつくり、実施状況を確かめて見直すことです。基準上は他職務との兼務が認められているため、介護職員として現場に入りながら計画づくりを担う働き方もあります。業務の中身と1日の流れを順に見ていきます。
介護計画の作成と見直し
運営基準の第98条は、計画作成担当者の仕事を次のように定めています。計画づくりは一人で完結させるものではなく、ほかの介護職員と話し合い、利用者や家族の同意を得ながら進めることが前提です。
- 利用者の心身の状況、希望、置かれている環境を踏まえ、ほかの介護職員と協議して計画をつくる
- 援助の目標と、目標を達成するための具体的なサービス内容を記載する
- 計画の内容を利用者や家族に説明して同意を得て、利用者に交付する
- 作成後も職員や関係事業者と連絡を取り、実施状況を把握して必要に応じて変更する
計画には、通所介護の活用や地域活動への参加など、利用者の多様な活動を確保する工夫も求められます。
介護業務との兼務
利用者が9人以下のユニットで暮らすグループホームでは、計画作成担当者が介護職員を兼ねて、食事や入浴の介助、調理、記録に入ることがあります。求人でもケアマネ兼介護職員として募集されるケースがあるため、応募前に兼務の有無と割合を確かめておきましょう。
兼務の場合はシフトに入り、夜勤を担当することもあります。介護現場の具体的な業務はグループホームの仕事内容|1日の流れ・きついところ・働くメリットで詳しく紹介しています。
1日の流れの一例
介護職員と兼務する日勤の流れを一例として紹介します。計画作成の時間をどこで確保するかは事業所によって違い、専任に近い形で事務作業の比重が大きいホームもあれば、午後にまとめて計画の時間を取るホームもあります。
- 9:00 出勤、夜勤者からの申し送りで利用者の様子を確認
- 10:00 入浴介助や掃除など介護業務
- 11:30 昼食づくりと食事介助、様子の観察
- 13:30 介護計画の作成や見直し、モニタリング記録の整理
- 15:00 家族との面談や電話での説明、計画への同意の確認
- 16:00 職員とのカンファレンス、医療機関などとの連絡
- 17:30 記録、夜勤者への申し送り
食事や入浴の場面で利用者を直接観察し、気づいた変化をすぐ計画の見直しに生かせるのは、兼務ならではの強みです。
グループホームのケアマネの給料の目安と上げ方
グループホームのケアマネの給料は、ケアマネとして配置されているか、介護職員との兼務か、役職がつくかで変わります。厚生労働省の統計に、グループホームに限ったケアマネの給与は出ていません。職種全体のケアマネの数値と、グループホームの介護職員の数値を並べて目安をつかみます。
ケアマネの平均給与額は375,410円
厚生労働省の令和6年度介護従事者処遇状況等調査では、処遇改善加算を取得している事業所で働く月給・常勤の介護支援専門員の平均給与額は375,410円でした。令和6年9月時点の値で、12か月分に直した年収の目安は約450万円です。内訳は基本給224,280円、手当95,700円、一時金の月割り分55,430円で、平均年齢は50.9歳、平均勤続年数は12.9年でした。
同じ調査で、グループホームの月給・常勤の介護職員の平均給与額は302,010円です。ケアマネ全体の平均とは月73,400円の差があり、介護職員として働きながら資格を取り、計画作成担当者に就くことは収入面でも意味があります。
| 区分 | 平均給与額(月給・常勤) | 年収の目安(月額×12) |
|---|---|---|
| 介護支援専門員(全サービス、職種別) | 375,410円 | 約450万円 |
| グループホームの介護職員 | 302,010円 | 約362万円 |
| 介護職員全体 | 338,200円 | 約406万円 |
いずれも令和6年度介護従事者処遇状況等調査(令和6年9月時点、処遇改善加算を取得している事業所)の数値です。介護職員と兼務する計画作成担当者の給与が、職種全体の平均どおりになるとは限りません。
勤続年数と役職で変わる
グループホームの給料が経験や役職でどう変わるかは、同じ調査の介護職員の集計が参考になります。グループホームの月給・常勤の介護職員では、勤続1〜4年が282,020円、5〜9年が297,380円、10年以上が321,680円でした。管理職の介護職員は363,620円で、管理職でない方の295,530円を月68,090円上回っています。
これらは令和5年9月と令和6年9月の両方に在籍していた介護職員の集計で、計画作成担当者に限った数値ではありません。それでも、経験と役職で給与が上がる傾向は読み取れます。
給料を上げる4つの方法
グループホームで計画作成担当者として収入を伸ばすには、資格、役職、事業所選び、職場の移動の4つの方向があります。どれを選ぶかは、現場の介護をどこまで続けたいかで変わります。
- 介護支援専門員の資格を取り、事業所に必要な介護支援専門員の計画作成担当者として働く
- 管理者を目指す。管理者には3年以上の認知症介護の経験と、厚生労働大臣が定める研修の修了が求められる
- 処遇改善加算を上位区分で取得し、配分方針がはっきりしている事業所を選ぶ
- 居宅介護支援事業所や特養など、ケアマネ専任の職場に移る
計画作成担当者の手当の額は法人によって幅があるため、求人票と面接で具体的な金額を確かめてください。処遇改善加算は2024年6月に一本化された際に介護職員以外への配分を事業所内で柔軟に決められるようになり、2026年6月の期中改定では対象が介護職員から介護従事者へ広がりました。介護職全体の給料の上げ方は介護職の給料はいくら?平均年収と年収を上げる5つの方法で解説しています。
居宅ケアマネ・施設ケアマネとの違い
同じケアマネでも、居宅介護支援事業所、特養などの施設、グループホームでは、担当人数も作る計画も異なります。とくにグループホームは、介護支援専門員でない研修修了者も計画作成担当者になれる点と、介護業務と兼務できる点が特徴です。主な違いを表にまとめました。
| 項目 | 居宅ケアマネ | 施設ケアマネ(特養の例) | グループホームの計画作成担当者 |
|---|---|---|---|
| 職場 | 居宅介護支援事業所 | 特養などの介護保険施設 | グループホーム |
| 配置基準 | 利用者44人ごとに1人(常勤) | 入所者100人ごとに1人を標準 | 事業所ごとに1人以上 |
| 資格・研修 | 介護支援専門員 | 介護支援専門員 | 認知症介護実践者研修の修了、うち1人以上は介護支援専門員 |
| 作る計画 | 居宅サービス計画 | 施設サービス計画 | 認知症対応型共同生活介護計画 |
| 主な関わり方 | 自宅を訪問し、外部のサービス事業者と調整 | 施設内の多職種と連携 | 利用者と暮らしの場を共にし、介護職員と連携 |
| 介護業務との兼務 | 基本的になし | 支障がなければ他職務と兼務可 | 支障がなければ他職務と兼務可 |
配置基準は、居宅介護支援と特養、地域密着型サービスそれぞれの運営基準によります。居宅は、ケアプラン情報共有システムを使い事務職員を置く場合、利用者49人ごとに1人です。
居宅ケアマネは利用者の自宅を訪ねて複数の事業者と調整するため、移動と日程調整の多い働き方です。施設ケアマネは一つの施設の中で多職種と連携し、担当する入所者が多くなります。グループホームは担当が最大27人と少なく、利用者の日常を間近で見ながら計画に反映できるのが持ち味です。施設ごとの役割の違いは特養・老健・有料老人ホームの違い|施設の種類と働き方・給料を比較で比べています。
グループホームのケアマネに向いている人
グループホームの計画作成担当者は、認知症の方一人ひとりと長く関わり、暮らしの中のケアを計画に落とし込みたい方に向いています。書類仕事と現場の介護を行き来する働き方になりやすいため、どちらにも抵抗がないことも条件です。次のような方は力を発揮しやすいでしょう。
- 認知症の方の言動の背景を観察し、関わり方を工夫することにやりがいを感じる
- 介護の現場を離れず、ケアプランにも携わりたい
- 家族や介護職員の意見を聞き取り、文章にまとめるのが苦にならない
- 少人数の職場で、職員と方針をすり合わせながら進められる
ケアマネ業務に専念したい方には、居宅介護支援事業所や施設のほうが合う場合があります。介護の仕事全体から職場を見直したい方は介護職の仕事内容とは|1日の流れ・施設別の違い・必要な資格を解説も参考にしてください。
これから介護支援専門員の資格を目指す方は、第28回試験(2025年度)の合格率が25.6%だったことも踏まえ、早めに準備を始めましょう。学習の進め方はケアマネ試験の勉強法|独学スケジュールと合格率・科目別対策で紹介しています。
まとめ
グループホームのケアマネは、運営基準上は計画作成担当者と呼ばれ、2021年4月からは事業所ごとに1人以上の配置です。全員が認知症介護実践者研修を修了している必要があり、そのうち1人以上は介護支援専門員とされています。介護福祉士は必須ではありません。
仕事の中心は介護計画の作成と見直しで、介護職員と兼務して現場に入る働き方もあります。令和6年度調査では、介護支援専門員の平均給与額は375,410円、グループホームの介護職員は302,010円でした。気になるホームがあれば、兼務の有無と計画作成担当者の手当の額を、面接で具体的に確かめてみてください。
よくある質問
Q. グループホームのケアマネは介護業務もしますか?
A. 事業所によります。運営基準では計画作成担当者は専従が原則ですが、利用者の処遇に支障がなければ同じ事業所のほかの職務と兼務できます。そのため、介護職員として食事や入浴の介助、夜勤に入りながら計画をつくる働き方もあります。求人票と面接で、兼務の有無、夜勤の回数、計画作成に充てる時間を確かめてください。
Q. 計画作成担当者になるにはどんな研修が必要ですか?
A. 計画作成担当者は全員が認知症介護実践者研修を修了している必要があり、研修は都道府県や指定都市が実施しています。さらに事業所に1人以上は介護支援専門員が必要で、介護支援専門員は試験に合格したあと実務研修を修了して登録します。5年ごとの更新制は2026年6月公布の改正法で廃止が決まり、施行は公布から1年6か月以内の政令で定める日です。
Q. グループホームのケアマネの給料は居宅ケアマネより低いですか?
A. 厚生労働省の令和6年度調査では、介護支援専門員の給与は職種全体で集計されており、居宅とグループホームを分けた数値はありません。職種全体の平均は月375,410円です。介護職員と兼務する場合は給与の決まり方が事業所ごとに違うため、計画作成担当者の手当や夜勤分を含めた総額で比べましょう。
参考資料・出典
- 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第90条・第91条・第98条 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100034
- 令和3年度介護報酬改定における改定事項について(厚生労働省老健局、2021年) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000750362.pdf
- 令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(厚生労働省、2025年)第70表・第83表・第86表 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/24/index.html
- 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第2条 https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100038
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第2条 https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100039
- 第28回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について(厚生労働省、2025年度) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187425_00013.html
- ケアマネジャー資格の更新制は廃止へ(WAM NET、福祉医療機構、2026年) https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/watch/20260622_001.html
- 令和8年度介護報酬改定の概要(厚生労働省老健局、2026年) https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675936.pdf
統計・制度の情報は、2026年10月23日時点で確認した厚生労働省・e-Gov法令検索等の資料に基づいています。















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