介護職の退職金はいくら?|相場・計算方法・もらえる条件

介護職に退職金はあるのか。あるとしたらいくらもらえるのか。転職や退職を考えるとき、退職金の有無は大きな判断材料になります。介護業界の退職金制度の仕組み、勤続年数ごとの相場、退職金がない場合の対策を整理しました。

介護職に退職金はあるか

退職金制度は法律で義務づけられたものではありません。施設によって有無が異なります。

退職金制度がある施設・ない施設

社会福祉法人が運営する施設は退職金制度を設けているケースが多い。社会福祉施設職員等退職手当共済制度や、独自の退職金規程を持っている法人が大半です。

医療法人、株式会社が運営する有料老人ホームやデイサービスは、退職金制度がない施設も少なくありません。特に小規模な法人や訪問介護事業所では制度を導入していないケースがあります。

求人票に「退職金制度あり」と記載されているか確認してください。記載がない場合は面接時に質問するか、就業規則で確認してください。

何年働けばもらえるか

退職金の支給条件として「勤続3年以上」を設定している施設が多い。1年以上で支給される施設もあれば、5年以上としている施設もあります。

社会福祉施設職員等退職手当共済の場合、加入期間1年以上から退職金が支給されます。ただし自己都合退職と会社都合退職で金額が異なります。

介護職の退職金の相場

勤続年数別のおおよその目安です。

勤続年数別の目安

退職金の額は制度の種類、基本給、勤続年数、退職理由(自己都合か会社都合か)で変わります。

勤続年数退職金の目安(自己都合)
3年10〜30万円
5年30〜60万円
10年80〜150万円
15年150〜250万円
20年250〜400万円

社会福祉施設職員等退職手当共済の場合、掛金(基本給×支給率)と加入年数で計算されるため、基本給が高いほど退職金も増えます。

会社都合退職(施設の閉鎖、整理解雇など)の場合は自己都合より支給率が高くなるのが一般的です。

法人の種類による差

社会福祉法人は退職手当共済に加入している施設が多く、退職金の水準は比較的安定しています。

医療法人は法人によって差が大きい。退職金規程を設けている大手の医療法人もあれば、制度がない法人もあります。

株式会社運営の施設は退職金制度がないケースが比較的多い。ただし大手の介護事業会社では確定拠出年金(企業型DC)などの制度を導入しているところもあります。

退職金制度の種類

介護業界で採用されている主な退職金制度は3つあります。

社会福祉施設職員等退職手当共済

独立行政法人福祉医療機構(WAM)が運営する共済制度です。社会福祉法人が運営する施設で最も広く利用されています。

施設側が掛金を全額負担し、職員が退職したときにWAMから直接退職金が支給されます。職員の自己負担はありません。

加入施設を転職した場合でも、転職先がこの共済に加入していれば加入期間を通算できます。社会福祉法人間の転職であれば退職金の計算期間が引き継がれるのは大きなメリットです。

中小企業退職金共済(中退共)

厚生労働省所管の中小企業向け退職金制度です。介護事業所のうち、中小企業に該当する法人が加入できます。

事業主が毎月の掛金を積み立て、退職時に中退共から退職金が支給されます。掛金は月5,000〜30,000円の範囲で選択。国からの助成もあります。

法人独自の退職金制度

大手の介護事業会社や医療法人では、法人独自の退職金規程を設けている場合があります。計算方法は「基本給×勤続年数×支給率」が一般的。

確定拠出年金(企業型DC)を退職金制度の代わりに導入しているケースもあります。この場合は運用成績によって受け取り額が変動します。

退職金を確認する方法

自分の施設の退職金制度を確認するには、以下の方法があります。

就業規則を確認してください。退職金に関する規定が記載されています。就業規則は常時10人以上の従業員がいる事業所に作成・届出が義務づけられているため、閲覧を求めることができます。

給与明細に退職金共済の掛金に関する記載がある場合もあります。

分からなければ、総務や人事の担当者に直接聞いてください。「退職金制度はありますか」「何年目から支給されますか」。確認すること自体は問題ありません。

転職を検討している場合は退職金の計算書を発行してもらうこともできます。退職前に金額を把握しておけば、転職先での条件比較に役立ちます。

退職金がない場合の対策

退職金制度がない施設で働いている場合の対策が3つあります。

1つ目は、退職金制度のある施設に転職すること。社会福祉法人や大手法人は制度を持っているケースが多い。転職エージェントに「退職金制度あり」を条件として伝えてください。

2つ目は、個人で積み立てること。iDeCo(個人型確定拠出年金)は自分で掛金を積み立て、60歳以降に受け取れる制度です。掛金が全額所得控除の対象になるため、節税効果もあります。

3つ目は、退職金以外の待遇で判断すること。退職金がなくても月給が高い、処遇改善加算が手厚い、資格手当が充実している施設はあります。退職金の有無だけで判断するのではなく、年収全体で比較してください。

介護職の給料の全体像は介護福祉士の給料、年収を上げる方法は介護職の年収アップ方法を参照してください。

まとめ

介護職の退職金は施設の運営法人と制度によって大きく異なります。社会福祉法人は退職手当共済に加入しているケースが多く、勤続10年で80〜150万円が目安。制度がない施設もあるため、就業規則で必ず確認してください。

退職金制度がない場合はiDeCoなどの自助努力、または制度のある施設への転職を検討してください。