介護の仕事を始めるとき、パートと正社員のどちらで働くか迷います。子育て中だからパートがいいのか、収入を考えると正社員なのか。今パートで働いているけれど正社員に切り替えるべきか。給料・待遇・働き方の3軸で比較し、雇用形態を選ぶ判断材料をまとめました。
パートと正社員の違い——比較表
7つの項目で並べると、違いがはっきり見えます。
7項目の比較表
| 項目 | 正社員 | パート |
|---|---|---|
| 給料 | 月給制(月収22〜30万円) | 時給制(1,100〜1,400円) |
| 勤務時間 | フルタイム(週40時間) | 短時間〜フルタイム(選択可) |
| 夜勤 | あり(施設による) | なしが基本(希望すれば可も) |
| 社会保険 | 加入 | 条件を満たせば加入 |
| 賞与 | 年2回が多い | なし or 寸志 |
| 退職金 | 制度ありが多い | 対象外が多い |
| キャリアアップ | リーダー・管理職への昇格 | 登用制度で正社員へ |
介護業界ならではの特徴
介護業界には雇用形態に関して独自の特徴があります。
パートでも処遇改善加算の対象です。正社員だけの制度ではなく、パートやアルバイトの介護職員にも加算分が分配されます。
パートでも夜勤に入れる施設があります。夜勤専従パートなら少ない出勤日数で高い収入を得られます。
人手不足の業界なので正社員登用制度を持つ施設が多い。パートで始めて慣れてから正社員に切り替える道が用意されています。
給料の違い——時給・月収・年収で比較
給料の差は雇用形態を選ぶ上で最も気になるところです。
パートの時給相場
全国平均は1,100〜1,400円です。都市部は1,300〜1,500円、地方は1,000〜1,200円が中心。
資格があると時給が上がります。初任者研修で+50〜100円、介護福祉士で+100〜200円が目安。時給1,200円と1,400円では、1日6時間・月21日で月収が約2.5万円変わります。
正社員との年収差
具体的に計算してみます。
パートが週5日・1日6時間・時給1,200円で働くと、月収約151,200円、年収約181万円。処遇改善加算の分配で年収190〜200万円前後になります。
正社員は月収22〜30万円に夜勤手当月3〜5万円、賞与を加えて年収300〜400万円台。年間で120〜200万円の差です。
扶養内で働く場合
配偶者の扶養内で働きたい方は年収の壁を意識してください。
103万円を超えると所得税が発生します。時給1,200円なら月約71.5時間、1日5時間×月14日ペースが上限です。
130万円を超えると社会保険の扶養から外れます。時給1,200円で月約90時間が目安です。
130万円を少し超えただけでは、社会保険料の負担で手取りが減る逆転現象が起きます。扶養を外れるなら年収150〜160万円以上を目指すのが合理的です。
待遇の違い——社会保険・賞与・退職金
月々の給料だけでなく、制度面の待遇も確認してください。
社会保険
正社員は健康保険と厚生年金に加入必須。保険料は労使折半です。
パートでも週20時間以上・月収8.8万円以上なら、従業員51人以上の事業所では社会保険に加入します。2024年10月に適用が拡大されました。
加入すると手取りは減りますが、厚生年金は将来の年金額に直結します。長い目で見た判断が必要です。
賞与と退職金
正社員の賞与は年2回、基本給の2〜4ヶ月分が相場です。月給22万円で3ヶ月分なら年間66万円。この差は大きい。
パートは賞与なしがほとんどです。寸志として1〜3万円が出る施設もありますが、正社員との差は歴然です。
退職金は正社員に制度がある施設が多い。社会福祉法人は退職共済に加入していることが多く、10年以上の勤続で100万円を超えることもあります。パートは対象外のケースが大半です。
働き方の違い——シフト・夜勤・自由度
時間の使い方は雇用形態で大きく変わります。
シフトの柔軟さ
パートは曜日や時間を選べる施設が多い。「月水金の9時〜15時」「週3日だけ」。子どもの行事や通院に合わせてシフトを調整できるのはパートの大きな利点です。
正社員はシフト制で勤務日が決まります。早番、日勤、遅番、夜勤のローテーション。自分で勤務日を選ぶ自由度はパートより低くなります。
夜勤の扱い
正社員は夜勤を求められる施設が多い。月4〜6回が一般的です。
パートは夜勤なしで働けます。日勤帯だけの勤務が基本です。
ただしパートでも夜勤専従という選択肢があります。月10回の夜勤で月収25〜30万円。出勤日数が少なく日中は自由。この働き方を選ぶ方もいます。
パートから正社員になる方法
パートで始めて、慣れたら正社員に。そのルートは2つあります。
施設内の正社員登用制度
正社員登用制度がある介護施設は多い。現場を知っているパート職員を正社員にするのは施設側にもメリットがあるためです。
登用の基準は、勤続1〜2年以上、安定した勤務実績、資格取得(初任者研修以上)が多い。面談や簡単な試験がある施設もあります。
パートで入るときに「正社員登用制度はありますか」と聞いておくと、将来の選択肢が広がります。
転職で正社員になる
登用制度がない施設や、別の施設で正社員を目指したい場合は転職です。
パートでの経験も実務経験としてカウントされます。パート2年の実績は、正社員の求人に応募するときの立派なアピール材料です。
転職サービスを使えば、正社員限定の求人を条件で絞り込めます。パート時代より条件の良い施設に出会えることもあります。
ライフステージ別の選び方
どちらが合うかは、今のライフステージで変わります。
子育て中・家庭の事情がある場合
パートで週3〜4日、短時間勤務から始めるのが無理のない選択です。子どもが小さいうちは急な呼び出しにも対応しやすい。手が離れてきたら正社員へ切り替えるタイミングです。
資格取得中の場合
パートで週3〜4日働きながら、残りの日に初任者研修や実務者研修のスクーリングに通う。資格取得後に正社員に切り替えれば、資格手当と基本給が上がった状態でスタートできます。
キャリアと収入を重視する場合
正社員でフルタイム、夜勤に入り、資格取得で昇給を積み上げていく。収入面では最も有利です。
リーダーや管理職を目指すなら正社員が前提になります。パートから管理職に就くルートは制度上ありますが、実例はかなり少ない。
まとめ
正社員は収入と安定性で有利、パートは時間の自由度で有利。どちらが正解ではなく、今の自分のライフステージに合った形態を選んでください。
パートでも処遇改善加算が出ること、正社員登用制度がある施設が多いこと。介護業界ならではの柔軟さを活かせます。
