介護福祉士の試験ガイド|受験資格・合格率・勉強法・パート合格制度

介護福祉士の国家試験を受けたいけれど、受験資格の日数計算がよく分からない。働きながら勉強する時間を確保できるか不安。そんな介護職の方に向けた試験ガイドです。

第38回試験の合格率は70.1%、独学でも合格は十分狙えます。

2026年からはパート合格制度も始まり、科目を分けて合否判定を受けられるようになりました。受験資格の確認から勉強の進め方まで、実務経験ルートで挑む方の目線でまとめています。

介護福祉士の受験資格——自分は受けられる?

受験者の80%以上が実務経験ルートを利用しています。まずは自分がこのルートで受験できるか確認しましょう。

実務経験ルート(受験者の80%以上)

条件は2つ。実務経験3年以上と、実務者研修の修了です。

実務経験3年とは、従業期間1,095日以上かつ従事日数540日以上を指します。従業期間は介護の職場に在籍していた日数で、有給休暇や欠勤日も含まれます。従事日数は実際に介護業務を行った日数で、こちらは休んだ日はカウントされません。パートや派遣社員でも日数は加算されますし、複数の事業所で働いた期間の合算も可能です。

もうひとつの条件が実務者研修の修了。2016年度から必須になった要件で、450時間のカリキュラムです。初任者研修修了者は130時間に短縮されます。受講期間は3〜6ヶ月が一般的で、通信と通学を組み合わせて受けられるスクールが多い。試験日までに修了していれば問題ありません。

申し込み時点で日数が足りていなくても、試験実施年度の3月31日までに要件を満たす見込みがあれば見込み受験ができます。

その他のルート

介護福祉士養成施設(専門学校等)の卒業ルート、福祉系高校の卒業ルート、EPA(経済連携協定)に基づくルートもあります。ただし現場で働いている方の大半は実務経験ルートでの受験です。

Aさんは初任者研修を取得して介護の仕事を始め、3年目で実務者研修を受けて挑戦しました。「パートだったので日数が足りるか心配でしたが、計算してみたら従事日数がギリギリ540日を超えていた。事前に確認しておいてよかったです」。


試験の基本情報——合格率・科目・合格ライン

合格率70%という数字だけ見ると簡単そうに聞こえますが、準備不足で臨めば30%の側に入ります。

合格率は約70%。ただし油断は禁物

第38回試験(2026年1月実施)の結果は、受験者78,469人に対して合格者54,987人。合格率は70.1%でした。過去10年でも概ね70〜80%で推移しており、国家資格の中では難易度は低めです。

裏を返せば約2万3千人が不合格になっている。実務経験があるから大丈夫だろうと勉強をおろそかにして落ちるケースは珍しくありません。

試験科目と合格ライン

全125問、1問1点の125点満点。全問が五肢択一の選択式で、実技試験は廃止されています。

合格基準は総得点の60%程度を基準に、問題の難易度で毎年補正されます。第38回の合格基準点は64点でした。

最も注意すべきルールが、11科目群すべてで得点が必要という点です。たとえ総合点が90点あっても、1科目でも0点なら不合格。出題数が2〜4問しかない科目群では、1問のミスが致命傷になります。苦手分野を放置してはいけない理由がここにあります。

試験日程と申し込みスケジュール

筆記試験は毎年1月下旬。合格発表は3月下旬です。申し込み期間は受験年の前年8月〜9月で、受験手数料は18,380円。申し込み期間を逃すと翌年まで受験できないため、日程は早めに確認してください。


パート合格制度(2026年新設)とは

2026年の第38回試験から導入された制度です。働きながら受験する介護職の方にとって、学習の負担を分散できる大きな変更になっています。

制度の仕組み

従来は125問すべてで一括合否が決まっていましたが、パート合格制度では試験がA・B・Cの3パートに分かれ、パートごとに合否が判定されます。

Aパートは60問。人間の尊厳と自立、社会の理解、介護の基本、コミュニケーション技術、生活支援技術など。Bパートは45問で介護過程、こころとからだのしくみ、発達と老化の理解。Cパートは20問で認知症の理解、障害の理解、医療的ケア、総合問題。

合格したパートは2年間有効です。不合格だったパートのみ翌年か翌々年に再受験できます。全パートが揃った時点で資格取得。

パート合格制度をどう活用するか

全125問を一度に仕上げるのではなく、年度ごとに勉強範囲を絞れるのが最大のメリットです。

おすすめの戦略は、まずAパートを確実に取ること。60問と出題数が多く、介護の基本や生活支援技術など実務経験が活きやすい科目が集まっています。翌年以降にBとCに集中すれば、1年あたりの勉強量を半分以下に抑えられます。

注意点は合格パートの有効期間。2年で全パートを揃える必要があります。3年かけようとすると最初のパートが失効するため、2年計画で臨んでください。

Bさん(30代・特養勤務)はパート合格制度の導入前に受験しました。「夜勤があって全科目を一度に仕上げるのは本当にきつかった。パート制度があればAパートだけに集中する戦略が取れたのに、と思います」。


働きながら合格する勉強法

介護福祉士試験は働きながらでも受かる試験です。勉強量よりも始める時期とメリハリのほうが結果を左右します。

勉強期間と時間の目安

試験の6ヶ月前、7月か8月に始めるのが理想です。1日の勉強時間は30分から1時間。無理に2〜3時間確保するより、毎日30分を途切れさせないほうが定着します。

総勉強時間の目安は250〜300時間。6ヶ月間毎日1時間で180時間、休日に追加で2〜3時間確保すれば300時間に届きます。合格者の多くが独学か通信講座を利用しており、通学型スクールに通わなくても受かります。

具体的な勉強ステップ

1〜2ヶ月目はテキストを1冊通読して全体像を掴みます。細かい暗記は不要で、どんな科目があるのか理解できれば十分です。テキストは最新版を選んでください。

2〜4ヶ月目は過去問を3年分、繰り返し解きます。試験の傾向を掴む最も効率的な方法です。間違えた箇所はテキストに戻って確認し、同じ問題を2〜3回解いて記憶に定着させます。

5〜6ヶ月目は模擬試験で本番の時間配分に慣れる期間です。苦手科目が残っていればここで集中対策。特に社会の理解や障害の理解は出題数が少ないだけに0点リスクがある科目です。最低限の知識は入れておきましょう。

夜勤ありのシフトで勉強時間を確保するコツ

シフト勤務の中では、勤務パターンごとにルールを決めてしまうのが続けるコツです。

夜勤入りの日は出勤前の30分だけテキストを読む。夜勤明けは休む。疲れた頭では何も入りません。日勤の日は帰宅後に1時間。休日は2〜3時間を過去問に充てる。通勤中はアプリの一問一答で隙間時間を埋める。

Cさん(30代・有料老人ホーム勤務)は「夜勤明けは絶対に勉強しないと決めた。代わりに日勤の日の帰宅後1時間だけ集中する。このメリハリで6ヶ月続けられて、一発合格できました」と話しています。


合格率70%なのに落ちる原因と対策

約3割が不合格になる原因は、大きく2つに絞られます。

特定科目で0点を取ってしまう

11科目群すべてで1点以上が必要なルールにより、総合点が十分でも1科目0点で不合格になるケースがあります。

0点になりやすいのは出題数が少ない科目。社会の理解や障害の理解は2〜4問しか出ないため、1問のミスが致命傷です。全科目で満点を狙う必要はありません。最低でも2〜3問正解できるレベルまで持っていけば0点は回避できます。苦手科目こそ捨てないでください。

勉強開始が遅すぎる

10月や11月に始めて時間が足りなかったというパターンも多い。実務者研修と並行する場合は研修のスケジュールを考慮してさらに前倒しが必要です。

遅くとも8月には勉強を始めてください。8月は受験の申し込み期間でもあるため、申し込みと同時にスタートするのが一番忘れにくいタイミングです。


まとめ

受験資格は実務経験3年(従業期間1,095日・従事日数540日)と実務者研修修了。パートや派遣でも日数はカウントされます。

合格率は約70%で独学でも合格可能。ただし11科目群すべてで得点が必要なため、苦手科目を放置しないこと。

2026年に始まったパート合格制度を使えば、A・B・Cの3パートに分けて対策できます。まずAパートを確実に取り、翌年にB・Cを集中する戦略が有効です。

勉強は8月開始が理想。1日30分でも6ヶ月続ければ合格圏内に入ります。介護福祉士の資格を取れば資格手当がつき、年収アップや転職での選択肢拡大にもつながります。