介護業界の転職で最初に求められるのが履歴書です。職務経歴書と違い、フォーマットが決まっている分「どこも同じでは」と思われがちですが、書き方ひとつで印象は大きく変わります。採用担当がどこを見ているかを踏まえて、項目ごとの書き方を整理しました。
採用担当はどこを見ているか
介護施設の採用担当は、1枚の履歴書から「この人に会ってみたい」と判断します。見ているポイントは限られています。
資格欄と職歴欄が最重要
まず目が行くのは資格欄です。初任者研修、実務者研修、介護福祉士、ケアマネジャーなど、どの資格を持っているかで即戦力の度合いが分かります。
次に職歴欄。どんな施設で何年働いたか。特養なのかデイサービスなのか有料老人ホームなのか。施設形態によって求められるスキルが違うため、採用担当は「自分の施設の業務をこなせるか」をここで判断しています。
資格も職歴もない未経験者の場合は、志望動機欄の比重が大きくなります。
書類選考を通る履歴書の前提条件
内容以前に、基本的なルールが守られていない履歴書は読まれません。
空欄が多い。修正液を使っている。誤字がある。写真が貼られていない。こうした履歴書は「仕事も雑なのでは」という印象につながります。すべての欄を埋め、丁寧に仕上げることが前提です。
手書きでもPC作成でも、どちらでも構いません。指定がなければ読みやすい方を選んでください。
基本情報欄の書き方
履歴書の上部にある基本情報欄は、正確さと清潔感がポイントです。
日付・写真・住所
日付は提出日(郵送なら投函日、持参なら当日)を書きます。和暦・西暦はどちらでも構いませんが、履歴書全体で統一してください。
写真は3か月以内に撮影したものを使います。スーツまたは襟付きの服装で、背景は白か薄いブルーが基本。スナップ写真やスマホの自撮りは避けてください。写真館やスピード写真機で撮影したものを使います。写真の裏に名前を書いてから貼ると、剥がれた場合にも識別できます。
住所は都道府県から省略せずに書きます。マンション名・部屋番号も正確に記載してください。
学歴欄のルール
学歴は中学校卒業から書くのが一般的です。高校以降は入学・卒業の両方を記載。学校名は正式名称で書いてください。「高校」ではなく「高等学校」です。
中退の場合は「中途退学」と書きます。理由は簡潔に一言添えても構いません。「家庭の事情により中途退学」「進路変更のため中途退学」など。
職歴欄の書き方
職歴欄は採用担当が最も注意深く読む箇所です。入社・退社を時系列で正確に書きます。
介護職経験者の場合
施設名は正式名称で記載します。「社会福祉法人○○ 特別養護老人ホーム△△」のように運営法人名も書いてください。
配属先や担当業務を簡潔に添えると伝わりやすくなります。「入所者80名のフロア介護業務を担当」「ユニット型施設でユニットリーダーとして勤務」。一行に収まる程度で具体的に書きます。
退職理由は「一身上の都合により退職」で統一して構いません。契約満了の場合は「契約期間満了により退職」と書きます。
転職回数が多い場合、省略はしません。すべて書いてください。面接で経緯を聞かれたときに説明できれば問題ありません。
未経験・異業種からの転職の場合
異業種の経験もすべて書きます。介護以外の職歴を省略する必要はありません。
販売職なら「接客・コミュニケーション力」、事務職なら「正確な書類作成・スケジュール管理」、飲食業なら「チームでの連携・体力」。介護の現場で活きるスキルは前職にもあります。
職歴が短い場合でもそのまま書いてください。空白期間がある場合は、面接で聞かれたときに答えられるようにしておけば大丈夫です。
資格欄の書き方
介護系の資格は正式名称で記載します。通称と正式名称が異なるものがあるため注意してください。
介護系資格の正式名称
| 通称 | 正式名称 |
|---|---|
| ヘルパー2級 | 訪問介護員2級養成研修課程修了 |
| 初任者研修 | 介護職員初任者研修課程修了 |
| 実務者研修 | 介護福祉士実務者研修修了 |
| 介護福祉士 | 介護福祉士(登録番号○○○○) |
| ケアマネ | 介護支援専門員 |
介護福祉士は国家資格のため「取得」と書きます。初任者研修や実務者研修は研修の修了なので「修了」と書きます。この違いを間違えると「制度を理解していない」と見られる可能性があります。
普通自動車運転免許は訪問介護や送迎業務で必要になるため、持っていれば必ず記載してください。
取得予定の資格は書けるか
現在受講中の研修や取得予定の資格は書いて構いません。「介護福祉士実務者研修 受講中(2026年10月修了予定)」のように、状況と時期を明記します。
ただし「取得したい」という希望は資格欄ではなく志望動機欄に書いてください。資格欄に書けるのは、取得済みまたは確実に修了する予定のものだけです。
志望動機欄のポイント
志望動機は採用担当に「なぜこの施設を選んだのか」を伝える欄です。ここが弱いと「どこでもいいのでは」と思われます。
施設の特徴と自分の経験を結びつける
志望動機の基本構造は「その施設を選んだ理由」+「自分が貢献できること」です。
応募先の施設の特徴を調べ、自分の経験や志向と結びつけます。「認知症ケアに力を入れている貴施設の方針に共感し」「ユニットケアの経験を活かせると考え」「地域密着型のケアに携わりたいと考え」。施設の理念やサービスの特徴に触れることで、「この施設でなければならない理由」が伝わります。
3〜4行にまとめるのが目安です。長すぎると読まれません。
志望動機の詳しい書き方は介護の志望動機の書き方で解説しています。
NGパターン
「給料が高いから」「家から近いから」など、条件面だけの志望動機は避けてください。本音であっても履歴書に書く内容ではありません。
「介護に興味があります」だけでは抽象的すぎます。なぜ興味を持ったのか、なぜこの施設なのかを具体的に書く必要があります。
「前の職場が合わなかったので」「人間関係がつらくて」など、前職の不満を書くのもNGです。
本人希望欄の書き方
本人希望欄は扱いが難しい欄です。書きすぎるとわがまま、書かなさすぎると意思がない。バランスが必要です。
「貴社規定に従います」が基本
特に希望がなければ「貴社規定に従います」と書きます。空欄にはしないでください。空欄は書き忘れと見なされることがあります。
給与額の希望は書かないのが原則です。面接の場で交渉してください。
夜勤・勤務地の希望の書き方
夜勤ができない事情がある場合や、勤務地に制限がある場合は書いて構いません。ただし理由を簡潔に添えてください。
「家庭の事情により夜勤対応が難しい状況です」「通勤可能な範囲として○○市内を希望いたします」。理由があれば採用担当もシフトを調整できるか検討できます。
連絡可能な時間帯が限られている場合も記載しておくとスムーズです。「在職中のため、平日18時以降のご連絡をお願いいたします」。
まとめ
介護職の履歴書は、資格欄と職歴欄が最も見られています。資格は正式名称で、職歴は施設の正式名称と担当業務を添えて書く。志望動機は応募先の特徴と自分の経験を結びつける。本人希望欄は空欄にしない。
基本を押さえて丁寧に仕上げた履歴書は、それだけで「しっかりした人だ」という印象になります。
