介護の仕事に慣れてくると、利用者の暮らし全体を考えるケアマネジャーを次の目標にする方が増えてきます。ところが調べ始めると、受験資格、試験、研修、登録と段階が多く、自分の場合に何年かかるのかが見えにくいものです。この記事では、ケアマネになるまでの5つのステップ、受験資格、ルート別の最短年数とその根拠、合格後の流れ、2026年の法改正までを法令と厚生労働省の資料に沿って整理しました。ケアマネを目指す介護職の方や、未経験から関心を持った方に向けた内容です。
この記事でわかること
- ケアマネになるまでの5つのステップと根拠となる法令
- 受験資格の2つのルートと、5年・900日の意味
- 介護福祉士から最短5年、無資格・未経験から最短およそ8年となる理由
- 第29回試験の日程と、合格してから働き始めるまでの流れ
ケアマネ(介護支援専門員)とはどんな資格か
ケアマネは、介護保険のサービスを使う人のケアプランを作り、サービス事業者や市町村との調整を担う専門職です。呼び方が複数あって混乱しやすいため、まず名前の違いと、働く場所、平均的な給与を押さえておきましょう。
ケアマネージャーとケアマネジャーと介護支援専門員は同じ
ケアマネージャー、ケアマネジャー、介護支援専門員は、いずれも同じ資格を指します。法律上の正式名称は介護支援専門員で、介護保険法第7条第5項では、要介護者などの相談に応じて市町村や事業者と連絡調整を行い、介護支援専門員証の交付を受けた者と定められています。
主な仕事と働く場所
主な職場は、在宅の利用者を担当する居宅介護支援事業所と、特養や老健などの介護保険施設です。グループホームの計画作成担当者として働く道もあり、グループホームのケアマネ(計画作成担当者)の仕事内容と給料で紹介しています。厚生労働省の令和6年度介護従事者処遇状況等調査では、月給・常勤のケアマネジャーの平均給与額は375,410円でした(処遇改善加算を取得している事業所、2024年9月時点)。
ケアマネになるまでの5ステップ
ケアマネとして働くまでには、受験資格を満たす、試験に合格する、実務研修を修了する、都道府県に登録する、介護支援専門員証の交付を受けるという5つの段階があります。根拠は介護保険法第69条の2と第69条の7、介護保険法施行規則第113条の2以下の規定です。
ステップ1・2 受験資格を満たして試験に合格する
試験の正式名称は介護支援専門員実務研修受講試験です。名前のとおり、合格すると実務研修を受けられるようになる試験で、合格しただけでは働けません。試験は都道府県が年1回実施します。
ステップ3 合格後に87時間以上の実務研修を修了する
合格者は、都道府県が行う介護支援専門員実務研修を受けます。研修時間は87時間以上で、ケアプランの作り方を中心に学びます。合格発表のあと、都道府県ごとの日程で行われます。
ステップ4・5 登録して介護支援専門員証の交付を受ける
研修を修了したら、都道府県知事の登録を受けます。登録の申請は、介護保険法施行規則第113条の7で研修修了日から3か月以内と定められています。登録と専門員証の交付は別の手続きで、ケアマネとして働けるのは介護支援専門員証を受け取ってからです。
受験資格は「対象の資格または相談援助」で5年・900日
受験資格は、法定資格に基づく業務、または相談援助業務に、通算5年以上かつ900日以上従事していることです。介護の仕事を5年続けただけでは受験できず、どの立場で働いた期間かが問われます。2つのルートと数え方を順に見ていきます。
法定資格21種に基づく業務で受験する
対象となる法定資格は、介護福祉士、看護師、准看護師、社会福祉士、理学療法士、作業療法士、栄養士(管理栄養士を含む)など21種です。厚生労働省の集計では、第28回試験(2025年度)の合格者12,961人のうち介護福祉士が8,310人で64.1%を占めました。
相談援助業務で受験する
法定資格がなくても、特養などの生活相談員、老健の支援相談員、障害福祉の相談支援専門員などの相談援助業務で受験できます。2018年度の試験からは、介護業務の経験だけで受験するルートはなくなりました。生活相談員の資格要件は生活相談員とは|仕事内容・資格要件・ケアマネとの違い・給料で解説しています。
5年と900日の両方が必要
施行規則第113条の2は、法定資格に基づく業務と相談援助業務の期間を通算して5年以上と定めています。さらに都道府県の受験要項では、実際に従事した日が900日以上あることも求められます。法定資格で受験する場合は、資格の登録日より後の経験だけが対象です。休業期間の扱いや証明書はケアマネの受験資格を解説|実務経験の数え方と制度改正の最新動向で解説しています。
ルート別の最短年数
ケアマネになるまでの年数は、今持っている資格で大きく変わります。介護福祉士を持っている方は登録から5年、無資格から介護職を始める方は介護福祉士を経ておよそ8年が、受験資格を満たすまでの最短の目安です。看護師や社会福祉士など他の資格からも同じ5年が目安です。
| スタート地点 | 受験資格を満たすまでの最短 | 年数の根拠 |
|---|---|---|
| 介護福祉士を持っている | 5年 | 登録日から5年以上・900日以上の実務 |
| 無資格・未経験 | およそ8年 | 介護福祉士の受験に実務3年と実務者研修、登録後に5年 |
| 看護師・社会福祉士など | 5年 | その資格に基づく業務で5年以上・900日以上 |
| 生活相談員など相談職 | 5年 | 相談援助業務で5年以上・900日以上 |
試験は年1回で、合格後にも実務研修と登録があるため、実際に働き始めるのは表の年数よりさらに先になります。
介護福祉士を持っている人は登録日から最短5年
介護福祉士の方は、登録日から5年以上かつ900日以上、介護福祉士としての業務に従事すると受験できます。介護福祉士になる前の介護経験は数えません。週2〜3日のパート勤務の時期があると、5年経っても900日に届かないことがあります。
無資格・未経験からは最短およそ8年
介護福祉士の受験には、従業期間3年(1,095日)以上かつ従事日数540日以上の実務経験と、実務者研修の修了が必要です。合格して登録したあと、さらに5年以上・900日以上の実務を積んでケアマネ試験を受けます。3年と5年で最短8年ですが、どちらの試験も年1回のため、要件を満たす時期によっては1年近く延びることがあります。介護福祉士の受験資格は介護福祉士の試験ガイド|受験資格・合格率・パート合格制度を解説にまとめています。
未経験からケアマネを目指す人が最初にやること
未経験からケアマネまでは長い道のりですが、やることは決まっています。資格を取る順番を決め、介護福祉士の受験に必要な日数を積み上げ、勤務日数を記録しておく、この3つを最初に押さえておくと回り道が減ります。
初任者研修や実務者研修から始める
介護の仕事を始めるときは、受講条件のない介護職員初任者研修(130時間)から入るのが基本です。介護福祉士の受験には実務者研修の修了が必要なので、働きながら早めに受講しておくと、実務3年に届いた年に受験できます。受講料はスクールにより幅があり、取得順と費用の考え方は介護の資格一覧|種類・取得順序・費用と給料への影響を解説で整理しています。
介護福祉士の受験から逆算して計画を立てる
介護福祉士試験は、試験実施年度の3月31日までに実務経験と実務者研修を満たす見込みがあれば申し込めます。働き始めた月から3年後を数え、どの年の試験を受けるかを先に決めておくと、実務者研修を受ける時期も決まります。
勤務日数を記録しておく
ケアマネの900日、介護福祉士の540日は、実際に出勤した日数で数え、休暇や欠勤の日は入りません。転職したときは前の職場に実務経験証明書を書いてもらうことになるため、在籍期間と勤務日数を自分でも控えておくと安心です。
試験の難易度と合格後の流れ
ケアマネ試験は、介護福祉士試験に比べて合格率が低い試験です。第38回介護福祉士国家試験の合格率70.1%に対し、第28回ケアマネ試験は25.6%でした。試験の形式と第29回の日程、合格後の手続きまでを見通しておきましょう。
第28回の合格率は25.6%
厚生労働省の集計では、第28回試験(2025年度)は受験者50,601人、合格者12,961人で、合格率は25.6%でした。試験は全60問を120分で解くマークシート方式で、介護支援分野25問と保健医療福祉サービス分野35問のそれぞれで基準点を超える必要があります。科目別の対策はケアマネ試験の勉強法|独学スケジュールと合格率・科目別対策で紹介しています。
第29回は2026年10月11日に実施、合格発表は11月24日
2026年度の第29回試験は10月11日(日)に実施され、合格発表は11月24日(火)の予定です。日程や手数料は都道府県で異なるため、次に受ける方は4月頃に受験地の要項を確認しておきましょう。
合格してから働き始めるまで
合格後は実務研修、登録、専門員証の交付と続くため、働き始められるのは合格発表から数か月以上先です。実務研修の受講料や日程は都道府県によって異なります。手続きの順番と準備はケアマネ試験に合格したらで詳しく解説しています。
これから目指す人が知っておきたい制度の変更
ケアマネの資格制度は、2026年6月に成立した法改正で一部が変わります。決まったのは5年ごとの更新制の廃止で、受験要件の見直しは改正法に含まれず検討段階です。決まったことと検討中のことを分けて整理します。
5年ごとの更新制は廃止が決定
現在の介護支援専門員証は有効期間が5年で、更新には研修の受講が必要です。この更新制の廃止を盛り込んだ社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号)が、2026年6月25日に公布されました。施行日は公布から1年6か月以内の政令で定める日で、厚生労働省が2026年10月26日の社会保障審議会介護保険部会に示した案では2027年12月1日とされています。
廃止後も、実務に就いているケアマネには定期的な研修の受講が求められます。資格を取るための実務研修は、見直し後も変えない方針です。経緯はケアマネの資格は廃止される?噂の真相と制度改正・将来性を解説、改正の全体像は2026年の介護保険法改正をわかりやすく|施行日と介護職への影響をご覧ください。
受験要件の見直しは検討段階
社会保障審議会介護保険部会が2025年12月にまとめた意見では、実務経験5年を3年に見直すことや、受験できる国家資格を追加することが適当とされました。受験要件は省令や通知で定めるもので、2026年6月の改正法には含まれていません。いつの試験から適用されるかは2026年11月時点で示されていません。
まとめ
ケアマネになるには、受験資格を満たして試験に合格し、実務研修、登録、専門員証の交付と進みます。押さえておきたい点は次のとおりです。
- 受験資格は、法定資格に基づく業務または相談援助業務で通算5年以上かつ900日以上
- 介護福祉士は登録日から最短5年、無資格・未経験からは介護福祉士を経て最短およそ8年
- 第28回試験の合格率は25.6%で、2つの分野それぞれに基準点がある
- 更新制の廃止は法律で決まり、施行は政令で定める日(案では2027年12月1日)
未経験の方は初任者研修と実務者研修から、介護福祉士の方は登録日と勤務日数の確認から始めてみてください。
よくある質問
Q. 未経験からケアマネになれますか?
A. なれますが、すぐには受験できません。介護業務の経験だけでは受験できないため、介護職として働きながら介護福祉士を取り、登録後に5年以上・900日以上の実務を積むのが一般的です。初任者研修から始めると、受験資格を満たすまで最短でおよそ8年かかります。
Q. ケアマネになるには最短何年かかりますか?
A. 介護福祉士や看護師などの法定資格を持っている方は、その資格の業務で5年以上・900日以上働けば受験できます。無資格からは、介護福祉士の受験に必要な3年と登録後の5年で最短およそ8年です。合格後の実務研修と登録で、さらに数か月以上かかります。
Q. 介護福祉士になる前の介護経験は数えられますか?
A. 数えられません。法定資格で受験する場合、実務経験に入るのは資格の登録日より後に、その資格に基づく業務に従事した期間です。介護福祉士の受験のために積んだ3年の経験は、ケアマネの5年には含まれません。
Q. 試験に合格したらすぐにケアマネとして働けますか?
A. すぐには働けません。合格後に87時間以上の実務研修を修了し、都道府県の登録を受け、介護支援専門員証の交付を受けて初めてケアマネとして働けます。研修は都道府県ごとの日程で数か月かけて行われます。
Q. 受験要件が3年に短縮されるのを待つべきですか?
A. 2026年11月時点で、短縮がいつの試験から適用されるかは決まっていません。すでに5年・900日を満たしている方は、待つ理由はほとんどありません。合格が早いほど働き始める時期も早まります。
参考資料・出典
- 介護保険法(平成9年法律第123号)第7条第5項、第69条の2、第69条の7(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
- 介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第113条の2〜第113条の4、第113条の7(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100036
- 介護支援専門員法定研修の見直しの検討状況について(報告)(社会保障審議会介護保険部会 第137回 資料3、厚生労働省、2026年10月26日) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001762527.pdf
- 第28回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について(厚生労働省、2025年度) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187425_00013.html
- 令和8年度(第29回)東京都介護支援専門員実務研修受講試験の実施について(東京都福祉局、2026年) https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kourei/shikaku/r8shikenjisshi
- 第38回介護福祉士国家試験合格発表について(厚生労働省、2026年) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71070.html
- 令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(厚生労働省、2025年) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/24/index.html
- 介護保険制度の見直しに関する意見(社会保障審議会介護保険部会、2025年12月25日) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001622725.pdf
- 社会福祉法等の一部を改正する法律案 議案情報(参議院、第221回国会、2026年) https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/221/meisai/m221080221045.htm














