介護職の希望休が通らないのは違法?シフト・公休・夜勤明けのルール

希望休をシフト表で上司と確認する介護職員
公開日 執筆 介護ワーカーズナビ編集部

年末年始の希望休が通らなかった、確定したシフトが直前に変わった、夜勤明けの日を休みに数えられている気がする。シフト制で働く介護職の方に多い疑問です。

実際には、シフトについて労働基準法が直接決めている部分は限られ、多くは就業規則と施設の運用で決まります。違法かどうかは、どのルールに当てはまるかで答えが変わります。

この記事では、労働基準法の条文と厚生労働省の通達・資料をもとに、法律で決まること、就業規則で決まること、施設の裁量を切り分け、確定後の変更や夜勤明けの扱い、相談先までを整理しました。

シフトに納得できないまま働いている介護職の方、年末年始の希望休を前に職場のルールを確かめたい方に向けた内容です。

この記事でわかること

  • シフトについて法律が決めていることと、施設が決めてよいこと
  • 希望休と有給休暇の違い
  • 確定したシフトの変更と、夜勤明けの日の扱い
  • 公休が少ないと感じたときの確認点と相談先

シフトについて法律が決めていること

労働基準法がシフトについて定めているのは、主に休日の最低ラインと、日によって労働時間が変わる働き方の枠組みです。何曜日に休むか、希望休を何日まで受け付けるかといった決め方は、就業規則や職場のルールに委ねられています。

法定休日は毎週1日か4週4日

労働基準法第35条は、毎週少なくとも1回の休日を与えるよう定めています。例外として4週間を通じて4日以上の休日を与える形も認められ、この場合は4週間の起算日を就業規則などで明らかにします(労働基準法施行規則第12条の2第2項)。

この最低ラインの休日を法定休日といいます。施設が上乗せしている休みは所定休日で、両方を合わせたものが一般に公休と呼ばれています。

変形労働時間制とシフト表

介護施設では、1か月単位の変形労働時間制(第32条の2)を採る職場が少なくありません。1か月以内の期間を平均して週40時間以内に収まれば、16時間前後の夜勤のように1日8時間を超える日を組めるしくみです。

この制度では、労使協定か就業規則などで各日・各週の労働時間を特定する必要があります。月ごとにシフトを作る職場は、勤務時間のパターンと組み合わせの考え方、シフト表の作成手続と周知方法などを就業規則に定めておくこととされています(昭和63年3月14日基発第150号)。

法律・就業規則・施設の裁量の切り分け

シフトに関するルールを、どこで決まるかで分けると次のとおりです。違法かどうかを考えるときは、問題になっている点がどの段に当たるかを先に確かめます。

決まる場所 主な内容
法律(労働基準法) 法定休日の最低ライン、変形労働時間制の要件、有給休暇の付与と時季指定、休日労働の36協定
就業規則・労使協定 休日の決め方と日数、シフト表の作成手続、振替休日・代休の扱い
施設の運用 希望休の受付方法と締切、1人あたりの上限、重なったときの調整

常時10人以上の労働者を使用する事業場は、休日について就業規則に定め、労働基準監督署に届け出る義務があります(第89条)。年間の休日数の考え方は介護職の年間休日は何日?施設別の平均と求人票の読み方を解説にまとめています。

希望休が通らないのは違法か

希望休は、労働基準法に定めのある休みではありません。そのため、通らなかったこと自体をただちに法律違反と考えるのは難しいのが実情です。ただし、有給休暇として申し出たのか、特定の人だけが通らないのかで考え方は変わります。

希望休は職場の制度

希望休は、施設がシフトを作る前に職員の希望を聞く運用上のしくみで、日数の上限や締切、重なったときの決め方は職場ごとに異なります。

施設には人員の基準を守る義務があります。特別養護老人ホームでは、介護職員と看護職員の総数を常勤換算で入所者3人に1人以上とするよう定められ(指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準 第2条)、夜勤の人数も平成12年厚生省告示第29号などで施設の種類ごとに最低ラインがあります。希望が同じ日に集中すると、基準を守るための調整が入ります。

有給休暇の時季指定は別のルール

有給休暇は労働基準法第39条で定められた権利です。使用者は労働者が請求した時季に与えなければならず、日付を変えられるのは事業の正常な運営を妨げる場合に限られます(第39条第5項)。

希望休が通らない日でも、有給休暇として請求すればこのルールで判断されます。付与日数や申し出方は介護職の有給休暇|付与日数・取り方のコツ・パートの有給と退職時の消化で取り上げています。

特定の人だけ通らないとき

厚生労働省の指針(令和2年厚生労働省告示第5号)は、職場のパワハラを、優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超え、就業環境が害されるものとし、3つの要素をすべて満たすものとしています。客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲の業務指示は該当しないともしています。

指針の例は限定列挙ではないとされ、希望休の扱いが当てはまるかは理由や経緯によって個別に判断されます。通らなかった日と説明された理由を記録しておきましょう。職場の人間関係の悩みは介護職の人間関係がつらいときの対処法|先輩・多職種・新人への対応も参考にしてください。

確定したシフトを変更されたとき

確定後に施設の都合で勤務日や時間を変えられるかは、希望休よりも法律の問題になりやすい場面です。厚生労働省の留意事項と変形労働時間制の要件を手がかりに、変更への同意、公休日の出勤、増えた時間の賃金の3点に分けて整理します。

確定後の変更は合意が前提

厚生労働省の「いわゆるシフト制により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」は、確定したシフトの労働日や労働時間を変えることは労働条件の変更に当たるとし、労働契約法第8条を踏まえて使用者と労働者の双方が合意したうえで行うよう求めています。

この留意事項が想定しているのは、シフト表で初めて労働日や時間が決まるパートやアルバイトの働き方です。月の労働日数が決まっていて、就業規則の勤務パターンを組み合わせる従来型の交替勤務は対象から除かれているため、施設の交替制勤務にそのまま当てはまるわけではありません。ただし、合意による労働条件の変更という労働契約法第8条の考え方は、雇用形態を問いません。

1か月単位の変形労働時間制は、各日・各週の労働時間をあらかじめ特定することが要件です(第32条の2)。特定した後に施設の都合で勤務日や時間を任意に動かす運用はこの要件と合わないため、変更には就業規則の根拠と本人の同意を確かめます。1年単位の変形労働時間制(第32条の4)では、労使が合意しても対象期間の途中で労働日や労働時間を変更できないと、厚生労働省と労働局の資料が示しています。

公休日の出勤は振替休日か代休か

就業規則などの根拠にもとづき、事前に別の日を休日として特定して入れ替えるのが振替休日です。もとの休日は労働日になるため、休日労働にはなりません(昭和22年11月27日基発第401号ほか)。

事前の振替をせずに休日に働かせ、後から休みを与えるのが代休です。働いた日が法定休日なら36協定が必要で、3割5分以上の休日割増賃金も支払われます。どちらも就業規則の規定や本人の同意といった根拠がある場合に認められると解されています。

変更で増えた時間の賃金

変更で時間外労働に当たる部分が生じた場合は、36協定と割増賃金の支払いが必要です(第36条、第37条)。変形労働時間制では、どの時間が時間外労働になるかは特定した労働時間との関係で決まるため、変更前後のシフト表と実際に働いた時間を残しておきます。深夜割増は介護職の夜勤手当はいくら?相場・回数・2交代と3交代の違いでも触れています。

夜勤明けは休日に入るか

夜勤明けの日は朝に勤務が終わるため休んだ感覚になりますが、労働基準法上の休日には原則として数えません。通達で示された休日の数え方と、2暦日にまたがる夜勤の扱い、規則的な交替制に限られる例外を順に確認します。

休日は午前0時からの暦日が原則

労働基準法の休日は、午前0時から午後12時までの暦日の休業と解されています(昭和23年4月5日基発第535号)。16時から翌朝9時までの夜勤なら、明けの日は9時まで働いているため、その日を休んだことにはなりません。

2暦日にまたがる夜勤の数え方

午前0時をまたぐ夜勤は一つの勤務として扱い、始業時刻の属する日の1日の労働とされています(昭和63年1月1日基発第1号)。入りの日に1回の勤務をしたことになり、明けの日は休日ではなく非番日です。一昼夜交替勤務の解釈でも、勤務明けの非番日を法定休日とはできず、別に暦日の休日が必要とされています(昭和23年11月9日基収第2968号)。

夜勤の1日の流れは介護職の夜勤の仕事内容|タイムスケジュール・きつさ・向いている人、夜勤中の休憩の扱いは介護の夜勤で休憩が取れないのは違法?仮眠は労働時間かを判例で解説で解説しています。

継続24時間を休日にできる例外

番方編成による交替制が就業規則などで定められ、制度として運用され、交替が規則的に決まっている場合は、継続24時間以上の休息を与えれば休日として扱えるとされています(昭和63年3月14日基発第150号)。8時間3交替の連続操業のような規則的な交替制が前提で、月ごとに組むシフトには当てはまりません。

公休が少ないと感じたら確認すること

公休が少ないと感じたら、法律の最低ラインを下回っているのか、就業規則の日数を下回っているのか、求人票の条件と違うのかを分けて確かめると、どこに何を相談するかが決まります。シフト表と就業規則を並べて見ていきます。

就業規則の休日規定とシフト表

就業規則は、作業場への掲示や備え付けなどで労働者に周知する義務があります(第106条)。休日の日数、4週間の起算日、シフト表の作成手続を確かめ、手元のシフト表と照らし合わせましょう。

36協定と求人票の年間休日

法定休日に働かせるには36協定の締結と届出が必要で(第36条)、協定も周知の対象です。あわせて、求人票や労働条件通知書の年間休日と実際の公休を比べ、年間休日に夜勤明けや有給を含めていないかも確かめます。

職場への相談と外部の相談先

シフトの悩みは、職場のルールを確かめ、担当者や上司に伝え、それでも解決しなければ外部の窓口に相談する順番で進めます。どの段階でも、通らなかった日や変更された日と、説明された理由の記録が手がかりになります。

希望休を出す前に職場のルールを確かめる

希望休の締切、1人あたりの上限、重なったときの決め方が、就業規則や職場の申し合わせで決まっているかを確認します。年末年始のように希望が集中する時期は、受付のルールを早めに把握しておきます。

上司・施設長と外部の窓口

確定後の変更や公休の少なさは、まずシフト作成の担当者や上司に記録をもとに伝え、解決しなければ施設長や法人本部、ハラスメントの相談窓口に持ち込みます。

職場で解決しないときは、都道府県労働局や労働基準監督署の中にある総合労働相談コーナーで、予約なし・無料で相談できます。土日祝日と年末年始(12月29日から1月3日)は閉庁です。夜間や休日は、労働条件相談ほっとライン(0120-811-610)が平日17時から22時、土日祝日9時から21時に受け付けています。

まとめ

労働基準法がシフトについて定めているのは、法定休日の最低ライン、変形労働時間制の枠組み、有給休暇のルールなどです。希望休はその外側にある職場の制度なので、通らないことだけで違法とは言い切れません。

  • 希望休は職場の運用、有給休暇は第39条の権利
  • 確定したシフトの変更は、双方の合意が前提とされている
  • 夜勤明けの日は暦日の休日に当たらない
  • 公休が少ないときは、就業規則・36協定・求人票と照らし合わせる

疑問が残るときは、記録と就業規則をそろえてから、職場や総合労働相談コーナーに相談しましょう。

よくある質問

Q. 希望休は月に何日まで出せますか?

A. 希望休の日数を定めた法律はなく、上限や締切は就業規則や職場の申し合わせで決まります。人員の基準を満たすための調整が必要になるため、扱いは職場ごとに異なります。確実に休みたい日は、有給休暇として請求できるかも確かめてください。

Q. 年末年始の希望休が毎年通りません。違法ですか?

A. 希望休は法律上の権利ではないため、通らないことだけで違法とは言えません。有給休暇として請求した場合は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、請求した時季に与えるのが原則です(労働基準法第39条第5項)。特定の人だけが通らない場合は、理由と経緯を記録して相談しましょう。

Q. 夜勤明けの翌日が休みなら、法定休日は守られていますか?

A. 明けの翌日が午前0時から24時間の休みで、毎週1日か4週4日の基準を満たしていれば、法定休日として扱えます。夜勤明けの日そのものは休日に数えません。足りているかは、シフト表を4週間単位で数えると確かめられます。

Q. パートで勤務日数が決まっていない場合、有給はどう計算されますか?

A. 2026年6月改正の厚生労働省のシフト制の留意事項では、所定労働日数を算出しがたい場合、入社6か月時点は6か月間の労働日数の実績を2倍した日数、その後は前年の実績を所定労働日数とみなして付与日数を算出してよいとしています。日数が決まっていないことを理由に付与しないことは認められません。

参考資料・出典

この記事を書いた人

編集部

介護ワーカーズナビ編集部

介護職向け情報メディアの編集チーム

厚生労働省などの公的統計や制度資料をもとに記事を作成しています。数値には出典と年度を記載し、制度が変わったときに内容を見直しています。

NEXT次に読む3本