40代、50代からの転職は選択肢が限られる。そう感じている方は多いはずです。しかし介護業界は事情が異なります。40代・50代の未経験者を積極的に採用している施設は少なくありません。なぜ中高年が歓迎されるのか、何を準備すればいいのか、給料はどの程度見込めるのか。年齢を強みに変える転職の進め方をまとめました。
40代・50代でも介護職に転職できるか
結論から言うと、40代・50代からの介護転職は十分に可能です。
介護業界の年齢構成
介護労働安定センターの調査によると、介護職員の平均年齢は約48歳。40代・50代が全体の約半数を占めています。60代で現役で働いている介護職も珍しくありません。
他の業界と比べて年齢層が高いのが介護業界の特徴です。40代で「年齢がネックになる」ことは、介護の世界ではほとんどありません。
中高年が歓迎される理由
介護業界は慢性的な人手不足の状態が続いています。有効求人倍率は全産業平均を大きく上回り、施設側は常に人材を求めています。
加えて、介護の仕事は利用者の多くが70代〜90代の高齢者です。20代の若手より、40代・50代のスタッフのほうが利用者と年齢が近く、話が通じやすい。昭和の話題、食べ物の好み、生活習慣への理解。年齢が近いからこそ生まれるコミュニケーションがあります。
ご家族からの信頼感も、社会人経験の長い中高年のほうが得やすい傾向にあります。
40代・50代の強みと不安
中高年ならではの強みと、正直に向き合うべき不安があります。
社会人経験が活きる場面
20年以上の社会人経験で培った力は介護の現場でも活きます。
報連相の習慣、来客対応、電話応対、チームでの協調性。社会人としての基本動作が身についていることは、現場ですぐに信頼を得る材料になります。
営業職出身ならコミュニケーション力、事務職出身なら正確な記録作成、管理職経験があればリーダーシップ。前職のスキルは形を変えて介護の現場で活かせます。
「社会人として当たり前のこと」が介護の現場では大きな価値を持つ。これは40代・50代の転職者が持つ最大の武器です。
体力面の不安にどう対応するか
介護は身体を使う仕事です。入浴介助、移乗介助、体位変換。40代・50代で体力に不安を感じるのは自然なことです。
対応策は2つ。1つ目は施設形態を選ぶこと。デイサービスや訪問介護は入所型施設と比べて身体介護の負担が軽い傾向にあります。
2つ目はボディメカニクス(身体の使い方の技術)を学ぶこと。正しい介助方法を身につければ、体力に頼らず効率よくケアができます。腰痛の予防にもなります。
「体力がないから介護は無理」ではなく、「体力に合った職場を選ぶ」「正しい技術を身につける」が正解です。
転職前に準備すること
40代・50代から介護に転職する際に押さえておくべき準備が2つあります。
初任者研修を取得する
介護職員初任者研修は介護の入門資格です。通学と通信の組み合わせで130時間、最短1か月、通常2〜4か月で修了できます。費用は3〜9万円。
無資格でも入職できる施設はありますが、初任者研修を持っていると採用で有利になります。訪問介護では初任者研修以上の資格が必須です。
在職中に受講して資格を取得してから転職活動を始めると、スムーズに進みます。初任者研修の詳細は介護職員初任者研修を参照してください。
施設形態を選ぶ
介護施設にはさまざまな種類があり、仕事内容や身体的な負担が異なります。
体力に不安がある場合はデイサービスやグループホーム。コミュニケーション力を活かしたい場合は訪問介護。夜勤なしで働きたい場合はデイサービス。
施設の種類と働き方の違いは特養・老健・有料の違いで比較しています。また、デイサービスの仕事内容はデイサービスの仕事内容、訪問介護は訪問介護の仕事内容でそれぞれ解説しています。
給料と将来性
40代・50代で介護に転職した場合の収入と将来の見通しです。
未経験スタートの年収目安
無資格・未経験で入職した場合の初年度の年収は、地域や施設形態にもよりますが250〜300万円が目安です。月収は18〜22万円程度。前職の年収より下がるケースが多い。
ただしこれはスタート時点の数字です。資格取得と経験年数に応じて段階的に上がっていきます。
資格取得で収入は上がる
初任者研修を修了すると資格手当(月3,000〜5,000円)がつく施設が多い。実務者研修を修了するとさらに加算されます。
介護福祉士を取得すると月収に1〜3万円程度の手当が上乗せされ、年収は350〜400万円に近づきます。介護福祉士は実務経験3年以上+実務者研修修了で受験資格が得られるため、40代で入職しても50代前半で介護福祉士を目指せます。
処遇改善加算の制度もあり、介護職の給料は年々改善の方向に動いています。収入アップの全体像は介護職の年収アップ方法を参照してください。
転職活動の進め方
40代・50代の介護転職は以下の手順で進めると効率的です。
まず初任者研修を受講します。在職中でも通信と通学の組み合わせで受講可能です。
次に転職エージェントに登録。介護専門の転職エージェントに「40代・未経験」という条件を伝えれば、受け入れ実績のある施設を紹介してもらえます。年齢を理由に門前払いされることはまずありません。
施設見学は必ず行ってください。雰囲気、スタッフの年齢層、利用者の介護度を自分の目で確認する。複数の施設を見学して比較するのが鉄則です。
面接では前職の経験をどう介護に活かせるかを具体的に話してください。「なぜ介護を選んだか」という質問には、正直に答えれば問題ありません。「安定した需要がある業界で長く働きたい」は立派な志望動機です。
面接対策の詳細は介護職の面接でよく聞かれる質問を参照してください。
まとめ
40代・50代からの介護転職は年齢がハンデにならない、むしろ強みになる業界です。社会人経験を活かし、施設形態を選び、初任者研修を取得してからスタートする。
資格を取得していけば収入も段階的に上がります。「年齢的に手遅れ」ということは介護業界にはありません。
