介護職のブランク復職ガイド|再就職準備金・就職支援金の条件と準備

ブランクを経て介護職に復職し名札を付ける職員
公開日 執筆 介護ワーカーズナビ編集部

育児や家族の介護、他業種への転職で現場を離れ、もう一度戻りたいと思いながらも、ブランクが気になって応募をためらう方は多いものです。

実際には、介護福祉士の登録や初任者研修の修了はブランク後も有効で、2年間働けば返還が免除される再就職準備金などの公的な支援もあります。ただし貸付の条件は都道府県ごとに違い、就職前に済ませる手続きもあります。

この記事では、資格と制度の変化、相談窓口、2つの貸付を4県の要項で比べた表、申請の流れ、ブランクの伝え方をまとめました。

介護職への復帰を考えている方と、未経験から介護分野に就職する方に向けた内容です。

この記事でわかること

  • ブランクがあっても介護職に戻れるかを示す公的なデータ
  • 介護福祉士・初任者研修の資格がブランク後も使えるか
  • 再就職準備金と介護分野就職支援金の対象・金額・返還免除の条件
  • 就職前に福祉人材センターへ届け出るなど、申請で失敗しない順番

ブランクがあっても介護職に戻れるか

現場を離れていた期間が長いほど、採用されるか心配になるものです。採用する側の状況は、厚生労働省や介護労働安定センターの公的な統計で確かめられます。人手不足を示す数字と、中途採用で入った人の直前の仕事を見ておきましょう。

人手不足の状況を数字で見る

令和6年度の介護関係職種の有効求人倍率は4.08倍で、全職業の1.14倍を大きく上回りました。有効求人倍率は、仕事を探す人1人に対して求人が何件あるかを表す数字です。

介護労働安定センターの令和7年度介護労働実態調査では、従業員が不足していると答えた事業所が65.8%で、介護職員に限ると69.8%でした。

介護の経験者の転職・再就職は多い

同じ調査では、中途採用の介護労働者(ケアマネジャーなどを含む全職種)の直前の仕事は「介護関係の仕事」が36.5%で最も多くなっています。介護の経験がある人が別の事業所で働き始めるのは珍しいことではありません。なお介護職員に限ると、直前が介護・福祉・医療以外の仕事だった人の割合が最も高くなっています。

復職前に確認したい資格と制度の変化

ブランク明けの方が気になるのが、以前取った資格が今も使えるかどうかです。介護福祉士の登録も初任者研修の修了も、ブランクで失われることはありません。一方で、無資格の職員に求められる研修のように、離れている間に変わった制度もあります。資格と制度の両方を確認しておきましょう。

介護福祉士の登録に更新はない

介護福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法第42条に基づき登録簿に登録される国家資格です。法律に有効期限や更新の規定はなく、10年以上現場を離れていても登録は有効です。結婚などで氏名など登録した事項が変わった場合は、変更の届出が必要です(同法第42条第2項で準用する第31条)。

初任者研修と旧ヘルパー2級の修了

介護職員初任者研修は2013年度に始まった研修で、それ以前のホームヘルパー1級・2級課程や介護職員基礎研修の修了者は、初任者研修を修了した者とみなされます(平成24年厚生労働省令第25号附則第2条)。研修の内容は介護職員初任者研修とはで解説しています。

無資格なら認知症介護基礎研修を受ける

医療・福祉関係の資格を持たない介護職員は、事業所の手配で認知症介護基礎研修を受けることが義務づけられています。経過措置は2024年3月末で終わり、無資格で採用された人は、経験者であっても採用後1年以内に受講します。

復職前に使える研修と相談窓口

いきなり応募するのが不安な場合は、公的な窓口で情報を集めてから動く方法があります。都道府県福祉人材センター、市町村の講習、ハローワークの3つを押さえておけば、復職前の研修、求人、貸付の情報がそろいます。

都道府県福祉人材センターと届出制度

都道府県福祉人材センターは、社会福祉法第93条に基づいて都道府県ごとに1か所指定される機関です。第94条で、福祉の仕事に就こうとする人への研修、無料の職業紹介、就業に関する情報提供や相談が業務と定められています。

2017年4月からは、介護福祉士が離職したときに氏名や住所などを福祉人材センターへ届け出る届出制度が始まりました(社会福祉法第95条の3、努力義務)。初任者研修や実務者研修の修了者も届け出ることができ、届出後は復職研修や職業紹介の案内を受けられます。届出は「福祉のお仕事」の届出サイトか、住んでいる都道府県の福祉人材センターで行います。

復職支援の講座・講習の例

福祉人材センターや市町村は、ブランクのある人向けの講座も開いています。岩手県福祉人材センターの「介護のしごと再就職支援講座」(令和7年度)は、介護職の経験がある人や有資格者を対象に、業界の現状と介護技術を確認する無料の講習でした。

兵庫県西宮市の「介護職再就職支援講習」(令和8年度)は講義と実技の全3回で、制度改正や復職支援制度も扱いました。開催時期や対象は自治体で違うため、地域の福祉人材センターや市役所の案内を確かめましょう。

ハローワークの相談窓口

ハローワークでも相談できます。たとえばハローワーク名古屋東の人材確保対策コーナーは、看護・保育・介護の仕事にブランクがある人に、求人の紹介や応募書類の作成支援、職場見学の調整を行っています。

復職で使える貸付制度の比較

復職や就職の際に使えるお金の支援は貸付ですが、決められた期間介護の仕事を続ければ返済が全額免除されます。国の制度を都道府県が実施しており、窓口の多くは都道府県社会福祉協議会(社協)や福祉人材センターです。金額の上限は国の案内に沿っていても、対象者や免除の条件の細部は都道府県の要項で決まります。

再就職準備金(40万円以内)

厚生労働省の案内では、再就職準備金の対象は次の3つをすべて満たす人です。

  • 介護福祉士、実務者研修、初任者研修(旧課程を含む)のいずれかがあり、介護保険サービス事業所などで1年以上の勤務経験がある
  • 介護保険サービス事業所などに介護職員等として再就職した
  • 都道府県福祉人材センターに届け出て、利用計画書を提出した

貸付額は40万円以内で、貸付後に介護職員等として2年間働くと返済が全額免除されます。1年以上の勤務経験は、茨城県・埼玉県・熊本県の要項ではいずれも「雇用期間が通算365日以上かつ介護等の業務に従事した期間が180日以上」と定められています。熊本県の要綱は、子どもの預け先を探す活動費や仕事用の靴、通勤用の自転車の購入費などを使い道の例に挙げています。

介護分野就職支援金(20万円以内)

介護分野就職支援金は、介護の仕事が未経験の人向けの貸付です。厚生労働省の案内では、介護未経験者や無資格で働いていた人、無職の人で、初任者研修などの所定の研修を修了し、介護職員等として就職した人が対象です。貸付額は20万円以内で、2年間働くと返済が全額免除されます。

茨城県社協の令和7年度募集要項では、介護職員等として働いたことがない人が対象で、再就職準備金を借りた人は使えません。栃木県社協の令和8年度の案内では、研修は公的職業訓練に限らず、民間企業などが行うものも含まれます。介護の経験が1年に満たない場合は、どちらに当たるか窓口で確かめてください。未経験から始める流れは介護職を未経験から始めるにはにまとめています。

3つの貸付の比較と県による違い

介護福祉士を目指す人向けの実務者研修受講資金も加えて、3つの貸付を比べました。

制度 主な対象 貸付額 返還免除の条件
再就職準備金 資格・研修修了があり、介護の経験が1年以上の人 40万円以内 介護職員等として2年間勤務
介護分野就職支援金 介護未経験で初任者研修などを修了した人 20万円以内 介護職員等として2年間勤務
実務者研修受講資金 実務者研修施設で学ぶ人 20万円以内(茨城県・熊本県) 介護福祉士に登録し、県内で2年間従事(茨城県)

国の枠組みは同じでも、細かな条件は県によって違います。再就職準備金(上限はいずれも40万円)を3県の要項で比べました。

項目 茨城県 埼玉県 熊本県
離職からの期間 規程に記載なし 1か月以上 3か月以上
福祉人材センターへの届出 県の福祉人材センターに登録 再就労する日までに届出または登録 再就労する日までに届出または求職登録
返還免除の条件 県内で2年間従事 県内で2年間従事 県内の同一事業所で2年間従事
確認した版 2025年4月適用 2023年4月適用 2026年4月適用

熊本県のように同じ事業所で2年間続けることが条件の県では、途中で職場を変えると免除の対象から外れるおそれがあります。

再就職準備金の申請の流れ

再就職準備金で気をつけたいのが手続きの順番です。県によっては、就職してから福祉人材センターに届け出ても対象になりません。届出、就職、申請、2年後の免除申請の順に進めましょう。必要な書類や受付期間も都道府県で違うため、働く予定の県の要項を最初に確認しておくと安心です。

就職する前に福祉人材センターへ届け出る

埼玉県と熊本県の要項では、再就労する日までの間に、あらかじめ福祉人材センターへ届け出るか求職登録をし、利用計画書を出していることが要件です。栃木県の就職支援金も、就労する日までに届出書と利用計画書を出すよう案内しています。求人に応募する前に、福祉人材センターへ連絡しておきましょう。

就職後に勤務先を通じて申請する

茨城県社協の規程では、就職先の施設長を通じて申請します。住民票や雇用証明書、登録証や修了証の写しのほか、以前の職場で書いてもらう実務経験の証明書も必要なので、早めに連絡しましょう。

茨城県・熊本県・栃木県では連帯保証人が必要で、所得を証明する書類も求められます。栃木県の就職支援金は、申請の受付を原則として就職した日から3か月以内としています。

2年間働いて返還免除を受ける

貸付を受けたら、働いている間は返還の猶予を申請し、2年間続けた後に返還免除を申請します。茨城県の就職支援金では、毎年度の返還猶予申請書と業務従事届が未提出だと返還を求められます。

県内で介護の仕事をする意思がなくなった場合なども返還になり、茨城県の返還期間は1年間です。栃木県は、2年の間に障害福祉分野へ転職した場合も返還になると明記しています。

ブランク明けの職場選びと志望動機

2年間働くことが返還免除の条件なので、無理なく続けられる職場選びも大切です。勤務時間や夜勤の有無など、生活に合う働き方を先に決めておくと応募先を絞りやすくなります。応募書類では、ブランクの期間をどう伝えるかも考えておきましょう。

日勤のみ・短時間から始める選択肢

育児や家族の介護と両立して戻る場合は、日勤のみやパートの短時間勤務から始める方法があります。パートが貸付の対象になるかは要項に明記されていないこともあるため、申請先に確かめてください。40代・50代で戻る方は40代・50代から介護職に転職する準備も参考になります。

施設の種類で働き方が変わる

以前と違う種類の施設を選ぶと、夜勤の有無や1日の流れが大きく変わります。デイサービスのように日中だけの職場もあれば、特養や老健のように夜勤のある職場もあります。違いは特養・老健・有料老人ホームの違いで比べられます。

志望動機でのブランクの伝え方

応募書類や面接では、ブランクの理由を短く事実で伝えれば十分です。そのうえで、介護の仕事に戻りたい理由と、ブランク中に準備したこと(復職講座の受講、制度の確認など)を添えると、意欲が具体的に伝わります。書き方は介護職の志望動機の書き方、応募から入職までの流れは介護職の転職で失敗しない方法で解説しています。

まとめ

介護福祉士の登録に更新はなく、初任者研修や旧ヘルパー2級の修了もブランク後にそのまま使えます。使える貸付と手続きの要点は次のとおりです。

  • 経験者は再就職準備金(40万円以内)、未経験者は介護分野就職支援金(20万円以内)が使え、2年間働くと返還が全額免除される
  • 県によっては、就職する前に福祉人材センターへの届出と利用計画書の提出が必要
  • 離職からの期間や返還免除の条件は県ごとに違うため、働く県の最新の要項で確かめる
  • 不安があれば、福祉人材センターや市の復職講座、ハローワークで相談してから応募する

よくある質問

Q. ブランクが10年以上でも復職できますか?

A. 資格の面では問題ありません。介護福祉士の登録に有効期限はなく、旧ホームヘルパー2級の修了者も初任者研修修了者とみなされます。現場の感覚に不安があれば、福祉人材センターや市町村の復職講座で確認してから応募する方法があります。

Q. 再就職準備金は何回借りられますか?

A. 茨城県・埼玉県・熊本県の要項では、いずれも1人1回限りです。埼玉県は、他の都道府県で借りた場合も含めて1回限りと定めているため、別の県で借りたことがある場合は申請前に窓口へ伝えましょう。

Q. 再就職準備金と就職支援金は両方使えますか?

A. 原則として使えません。再就職準備金は介護の経験が1年以上ある人、介護分野就職支援金は未経験の人が対象です。茨城県の募集要項では、再就職準備金を借りた人を就職支援金の対象外としています。

Q. 福祉人材センターに届け出る前に就職してしまったら?

A. 埼玉県や熊本県のように再就労する日までの届出を要件にしている県では、対象外になるおそれがあります。扱いは県によって違うため、働く県の社協や福祉人材センターに事情を伝えて相談しましょう。

参考資料・出典

貸付の条件は2026年10月29日時点で公開されている各要項に基づいています。年度ごとに改正されるため、申請前に働く都道府県の最新の要項を確認してください。

この記事を書いた人

編集部

介護ワーカーズナビ編集部

介護職向け情報メディアの編集チーム

厚生労働省などの公的統計や制度資料をもとに記事を作成しています。数値には出典と年度を記載し、制度が変わったときに内容を見直しています。

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