実務者研修の教育訓練給付金はいくら戻る?3区分の違いと手続き

実務者研修の教育訓練給付金の申請書類を確認する介護職員
公開日 執筆 介護ワーカーズナビ編集部

実務者研修の受講料が気になり、雇用保険の教育訓練給付金でどれくらい戻るのかを調べている方は多いでしょう。ところが同じ実務者研修でも、講座によって給付率は受講料の20%から最大80%まで違い、区分によっては受講前にハローワークでの手続きが欠かせません。この記事では、厚生労働省とハローワークの資料、教育訓練講座検索システムの記載をもとに、いくら戻るのか、自分が対象か、手続きの順番を2026年11月時点の制度で整理しました。これから実務者研修や初任者研修を受ける現職・離職中の介護職の方に向けた内容です。

この記事でわかること

  • 一般・特定一般・専門実践の3区分の給付率と上限
  • 実務者研修の受講料に当てはめた給付額の計算例
  • 雇用保険の加入期間など、給付を受けられる人の条件
  • 受講前から申請までの手続きの順番と、ほかの支援との併用

実務者研修の教育訓練給付金は講座の区分で20〜80%

教育訓練給付金は、雇用保険法第60条の2にもとづき、厚生労働大臣が指定した講座を修了した人に受講費用の一部を支給する制度です。指定は講座ごとで、一般・特定一般・専門実践のどれに当たるかで給付率と手続きが変わります。研修の内容そのものは実務者研修とはで解説しています。

一般・特定一般・専門実践の3区分

3区分の違いは次のとおりです。率と上限は厚生労働省とハローワークの案内(2026年11月時点)によるもので、追加給付は2024年10月1日以降に受講を始めた場合に限られます。

区分 基本の給付率と上限 追加給付 初回の加入期間 受講前の手続き
一般教育訓練 20%(上限10万円) なし 1年以上 不要
特定一般教育訓練 40%(上限20万円) 資格取得と就職等で50%(上限25万円) 1年以上 必要
専門実践教育訓練 50%(年間上限40万円) 資格取得と就職等で70%(年間上限56万円)、さらに賃金5%以上上昇で80%(年間上限64万円) 2年以上 必要

同じ実務者研修でも区分が違う理由

講座の区分は、スクールが厚生労働大臣に指定を申請し、基準を満たした区分で決まります。厚生労働省の指定要領では、専門実践の期間は原則1年以上3年以内ですが、社会福祉士及び介護福祉士法第40条第2項第5号の養成施設等で行う120時間以上の課程は例外です。そのため期間6か月程度の実務者研修でも専門実践の講座があります。特定一般や専門実践の基準を満たしていても、スクールが申請していなければ一般のままです。

講座検索システムで区分を確かめる

2026年11月7日に厚生労働省の教育訓練講座検索システムで「実務者研修」と検索すると、292件の施設が表示されました。このうち専門実践の講座がある施設は76件、特定一般は5件で、残りは一般の講座だけでした。区分ごとの例を3件挙げます。

  • 一般: 通信(郵送)6か月・スクーリング9日のヘルパー2級修了者向け講座。給付率20%、受講料107,800円
  • 特定一般: 通信とeラーニング3か月・スクーリング7日のホームヘルパー1級修了者向け講座。最大50%、受講料70,000円。目標資格欄に「120時間未満の課程」と記載
  • 専門実践: 通信(郵送)6か月・スクーリング6日の全科目を受ける講座。最大80%、受講料106,000円。目標資格欄に「120時間以上の課程」と記載

特定一般の講座は、いずれもホームヘルパー1級や介護職員基礎研修の修了者向けの短いコースでした。無資格や初任者研修修了者が受けるコースは一般か専門実践になるため、受講するコースの詳細ページで「給付率」欄を確かめてください。

実務者研修の受講料でいくら戻るか計算する

給付額は、スクールに支払った教育訓練経費に給付率を掛けて計算します。受講料の全額が対象になるとは限らず、追加給付には修了後の条件もあります。経費に入るものを確かめたうえで、10万円と15万円の講座を例に区分ごとの金額を比べます。

教育訓練経費に入るもの・入らないもの

対象になるのは、本人がスクールに支払った入学料と受講料(最大1年分)の合計です。ハローワークの案内では、検定試験の受講料、必須ではない補助教材費、補講費、交通費、パソコンなどの費用は含まれません。割引を受けた場合は割引後の額で計算し、給付額が4千円を超えない場合は支給されません。

10万円と15万円の講座での計算例

実務者研修の受講料はスクールにより幅があり、目安は無資格で7〜20万円、初任者研修修了者で9〜13万円です。受講料10万円と15万円の講座で、区分ごとの給付額を計算すると次のようになります。

受講料 一般(20%) 特定一般(40%/50%) 専門実践(50%/70%/80%)
10万円 2万円 4万円/5万円 5万円/7万円/8万円
15万円 3万円 6万円/7.5万円 7.5万円/10.5万円/12万円

斜線の右側は追加給付の条件を満たした場合の合計額です。追加給付まで受けられるかどうかで、同じ区分でも自己負担が大きく変わります。

専門実践の70%・80%は介護福祉士の取得が前提

専門実践の追加給付は、講座が目標とする資格を修了日の翌日から原則1年以内に取得し、あわせて就職するか、在職のまま取得した場合が対象です。検索システムでは実務者研修の目標資格は介護福祉士で、受験には実務経験3年以上が要ります。80%は、さらに修了後の賃金が受講開始前より5%以上上がった場合です。国家試験は年1回なので、実務経験の年数によっては1年以内の取得が難しく、追加給付は見込めないこともあります。

教育訓練給付金を受けられる人の条件

給付を受けられるかは、受講開始日時点の雇用保険の加入状況で決まります。パート・アルバイトや派遣でも雇用保険に入っていれば対象で、在職中か離職後かも問いません。ハローワークの案内をもとに、加入期間、離職後の期限、前回の受給歴の3つを確認します。

雇用保険の加入期間

初めて教育訓練給付金を受ける場合、雇用保険の加入期間は一般と特定一般で1年以上、専門実践で2年以上あれば対象です。2回目以降は、前回の受講開始日以降の加入期間が3年以上必要です。転職していても、前の職場との空白が1年以内なら加入期間を通算できます。

在職中か、離職後1年以内か

受講開始日に在職していて雇用保険に加入している方のほか、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内の方も対象です。妊娠、出産、育児、病気などで受講できない期間が30日以上続いた場合は、申し出によりこの期限を延ばせます。

前回の受給から3年以内は対象外

受講開始日の前日から3年以内に教育訓練給付金を受けている場合は支給されません。加入期間や受給歴がはっきりしない方は、教育訓練給付金支給要件照会票をハローワークに提出すると、受講予定日時点で対象になるかを照会できます。

受講前から申請までの手続きの順番

手続きの流れは区分によって違います。一般は修了後に申請するだけですが、特定一般と専門実践は受講開始日の2週間前までに受給資格確認を済ませる必要があります。その前にキャリアコンサルティングの予約も要るので、申し込みの段階から日程を逆算しておきます。

一般教育訓練は修了後の申請だけ

一般教育訓練は、受講前の手続きがありません。修了日の翌日から1か月以内に、住所を管轄するハローワークへ支給申請書、教育訓練修了証明書、スクールが発行する領収書、教育訓練経費等確認書、本人確認書類などを提出します。電子申請や郵送でも手続きできます。

特定一般・専門実践は受講開始の2週間前までに受給資格確認

特定一般と専門実践では、まず訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードの交付を受けます。ジョブ・カードは、職務経歴や今後の目標を整理する国の様式です。そのうえで受講開始日の2週間前までに、受給資格確認票とジョブ・カードをハローワークへ提出します。キャリアコンサルティングはハローワークのほか、キャリア形成・リスキリング支援センターやオンラインでも受けられます。

修了後の申請

特定一般は修了日の翌日から1か月以内に申請し、追加給付は資格取得か就職のいずれか遅い日から1か月以内に申請します。専門実践は受講開始日から6か月ごとに申請するため、6か月の講座なら修了後の申請が1回目です。追加給付の申請まで、領収書と修了証明書は保管しておきましょう。

初任者研修も教育訓練給付金の対象

実務者研修の前に初任者研修から始める方も、指定講座なら教育訓練給付金を受けられます。ただし前回の受給から3年は次の給付を受けられないため、初任者研修で給付を使うと、続けて受ける実務者研修では使えない場合があります。受ける順番の考え方は実務者研修と初任者研修の違いで比べています。

初任者研修は一般か特定一般

2026年11月7日に講座検索システムで「介護職員初任者研修」と検索したところ、表示された講座は一般と特定一般で、専門実践の講座は見当たりませんでした。厚生労働省のリーフレットでも、初任者研修は一般と特定一般の対象講座の例に挙がっています。受講料の比べ方は介護職員初任者研修とはで紹介しています。

離職中なら給付制限の解除も

2025年4月からは、自己都合で退職した方でも、教育訓練給付金の対象講座を受けると失業保険の給付制限が解除される仕組みが始まりました。離職後に研修を受ける方は、申し出の期限があるため介護職の退職後の手続きもあわせて確認してください。

自治体の助成・勤務先の支援・修学資金との併用

教育訓練給付金は、本人が自分で負担した受講費用を対象にした制度です。勤務先や自治体の支援と組み合わせるときは、誰が費用を負担したかで給付額が変わり、自治体によっては片方しか使えないこともあります。離職者向けの教育訓練支援給付金の条件もあわせて確認します。

勤務先が負担した分は対象外

ハローワークの案内では、事業主などが受講に伴って手当を支給し、その一部を入学料や受講料に充てた場合、その額を教育訓練経費から差し引いて申請します。スクールなどから後で返金がある場合も同じです。勤務先が受講料を全額負担した場合は、本人の負担がないため対象になりません。

自治体の助成や受講資金貸付と組み合わせるとき

自治体の資格取得助成は、国の給付と併用できるかが制度ごとに違い、教育訓練給付を受けた人を対象外にしている市もあります。自治体の制度は介護資格の自治体補助で、実務者研修受講資金の貸付は介護職の奨学金・修学資金の返還免除で紹介しています。申請先の要綱とハローワークの両方で扱いを確認しておきましょう。

教育訓練支援給付金は通信制が対象外

専門実践を受ける離職者向けに、基本手当日額の60%を支給する教育訓練支援給付金があります。ただし対象は受講開始時に45歳未満で初めて教育訓練給付を受けるなどの要件を満たし、通信制・夜間制以外の専門実践を受ける方です。受講開始が2027年3月31日までの方に限る暫定措置です。実務者研修の多くは通信課程のため、対象になる講座は限られます。

まとめ

実務者研修の教育訓練給付金は、講座ごとの指定区分で戻る額が変わります。受講料10万円の講座なら、一般で2万円、特定一般で4〜5万円、専門実践で5〜8万円が目安です。

  • 区分は講座検索システムの詳細ページの「給付率」欄で確かめる
  • 初回は加入期間1年以上(専門実践は2年以上)、離職後なら1年以内の受講開始が条件
  • 特定一般と専門実践は、受講開始の2週間前までにジョブ・カードと受給資格確認が必要
  • 勤務先が負担した受講料は対象外で、自治体の助成との併用は制度ごとに確認する

資格全体の取る順番は介護の資格一覧で紹介しています。受講したい講座が決まったら、区分を確かめてからハローワークで支給要件を照会してみてください。

よくある質問

Q. パートやアルバイトでも教育訓練給付金の対象になりますか?

A. 雇用保険に加入していれば、パート・アルバイトや派遣で働く方も対象です。加入しているかは給与明細の雇用保険料の欄で確認できます。加入期間が分からない場合は、ハローワークの支給要件照会で確かめられます。

Q. 以前に教育訓練給付金を受けたことがあっても使えますか?

A. 使える場合があります。2回目以降は、前回の受講開始日以降の雇用保険の加入期間が3年以上あり、今回の受講開始日の前日から3年以内に給付を受けていないことが条件です。前回より前の加入期間は通算されません。

Q. 途中で受講をやめた場合はどうなりますか?

A. 一般と特定一般は修了が支給の条件なので、途中でやめると給付は受けられません。専門実践は受講中も6か月ごとに申請する仕組みですが、追加給付は修了と資格取得が前提です。離職中の給付制限の解除も、途中退校は対象外です。

Q. 会社が受講料を払ってくれた場合も給付金はもらえますか?

A. 勤務先が負担した分は対象になりません。受講のための手当の一部を受講料に充てた場合も、その額を差し引いた本人負担分だけが教育訓練経費です。

Q. 実務者研修の講座が給付対象かどうかはどこで確認できますか?

A. 厚生労働省の教育訓練講座検索システムで、講座名やスクール名から検索できます。詳細ページには給付率、指定期間、受講料、目標とする資格が載っています。指定期間に受講開始日が含まれるかも確認し、迷うときはハローワークの支給要件照会を使ってください。

参考資料・出典

この記事を書いた人

編集部

介護ワーカーズナビ編集部

介護職向け情報メディアの編集チーム

厚生労働省などの公的統計や制度資料をもとに記事を作成しています。数値には出典と年度を記載し、制度が変わったときに内容を見直しています。

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