介護施設の委員会の種類一覧|義務の4委員会と開催頻度・根拠条文

介護施設の委員会で開催記録を確認する職員
公開日 執筆 介護ワーカーズナビ編集部

委員会の担当を任されると、まず気になるのは、どの委員会が義務で、年に何回開けばよいのかということでしょう。

委員会の種類と開催頻度は厚生労働省令の運営基準でサービスごとに決まっていて、特養と訪問介護では求められる内容が違います。

この記事では、2026年11月時点の運営基準と解釈通知をもとに、開催が義務の委員会、サービス別の頻度と根拠条文、議事録の残し方、運営指導で確認される書類までを整理しました。

委員会の担当になった職員やリーダー、運営指導の前に点検したい事業所の担当者に向けた内容です。

この記事でわかること

  • 運営基準で開催が義務の4委員会と、2027年4月に義務になる委員会
  • サービス種別ごとの開催頻度と根拠条文
  • 各委員会で介護職が担う実務
  • 委員会をまとめて開く条件、議事録の保存、運営指導で見られる書類

介護施設で設置が義務の委員会は4つ

運営基準で委員会の開催が義務になっているのは、虐待防止、身体的拘束等の適正化、感染対策、事故防止の4つです。どれも委員会だけでなく、指針の整備や研修とセットで定められています。対象と頻度はサービスによって違い、2027年4月からは生産性向上の委員会も加わります。

運営基準で開催が義務の4委員会

特養の基準(平成11年厚生省令第39号)では、4つの委員会の根拠と開催頻度が次のように定められています。

  • 虐待防止検討委員会(第35条の2第1号)は定期的に開催
  • 身体的拘束等適正化検討委員会(第11条第6項第1号)は3か月に1回以上
  • 感染対策委員会(第27条第2項第1号)はおおむね3か月に1回以上
  • 事故防止検討委員会(第35条第1項第3号)は定期的に開催

いずれも開催した結果を従業者に周知することが求められ、老健や介護医療院にも同じ構成の規定があります。虐待防止の委員会と居宅系の感染対策委員会は2021年度に新設され、経過措置が終わった2024年4月から義務になっています。

回数が決まっている委員会と「定期的に」の委員会

虐待防止と事故防止は「定期的に」とあるだけです。厚生労働省の解釈通知(老企第43号)も、虐待防止検討委員会は定期的に開催することが必要とするにとどまり、回数は示していません。頻度は施設の指針や自治体の指導に沿って決めます。

2027年4月に義務になる生産性向上の委員会

令和6年度改定で、利用者の安全とサービスの質の確保、職員の負担軽減の方策を検討する委員会が新設されました(特養は第35条の3)。令和6年厚生労働省令第16号附則第4条の経過措置により、2027年3月31日までは努力義務で、2027年4月1日から義務になります。対象は特養・老健・介護医療院のほか、短期入所、特定施設、グループホーム、小規模多機能などで、頻度は「定期的に」とされています。

サービス種別ごとの委員会と開催頻度

同じ委員会でも、施設系と居宅系では開催の有無と頻度が違います。特に感染対策委員会は、特養・老健・介護医療院がおおむね3か月に1回以上、それ以外のサービスはおおむね6か月に1回以上です。まずは一覧で、勤務先に必要な委員会を確認しましょう。

サービス 虐待防止 身体拘束適正化 感染対策 事故防止 生産性向上
特養・老健・介護医療院 定期的 3か月に1回以上 おおむね3か月に1回以上 定期的 定期的(2027年4月から義務)
短期入所生活介護・特定施設・グループホーム・小規模多機能 定期的 3か月に1回以上 おおむね6か月に1回以上 基準上の委員会なし 定期的(2027年4月から義務)
デイサービス・訪問介護・居宅介護支援 定期的 委員会の義務なし おおむね6か月に1回以上 基準上の委員会なし 対象外

施設系は5つ、居宅系は2つが基本

特養などの施設系は、生産性向上を含めて5つの委員会を開きます。短期入所生活介護やグループホーム、小規模多機能などは、事故防止を除く4つが対象です。デイサービスや訪問介護、居宅介護支援で義務になるのは虐待防止と感染対策の2つで、2024年4月から義務になった身体拘束の原則禁止と記録について、委員会までは求められていません。特養の職場の様子は特養の仕事内容と1日の流れで紹介しています。

サービス別の根拠条文

条文番号は、運営指導の確認や指針の作成でよく参照します。主なサービスの条文は次のとおりです。

サービス(基準省令) 虐待防止 身体拘束 感染対策 事故防止
特養(平成11年厚生省令第39号) 第35条の2 第11条第6項 第27条第2項 第35条第1項
老健(平成11年厚生省令第40号) 第36条の2 第13条第6項 第29条第2項 第36条第1項
介護医療院(平成30年厚生労働省令第5号) 第40条の2 第16条第6項 第33条第2項 第40条第1項
短期入所生活介護(平成11年厚生省令第37号) 第140条で準用 第128条第6項 第140条で準用 なし
グループホーム(平成18年厚生労働省令第34号) 第108条で準用 第97条第7項 第108条で準用 なし
デイサービス(平成11年厚生省令第37号) 第105条で準用 なし 第104条第2項 なし
訪問介護(平成11年厚生省令第37号) 第37条の2 なし 第31条第3項 なし
居宅介護支援(平成11年厚生省令第38号) 第27条の2 なし 第21条の2 なし

準用は、訪問介護やデイサービスなど他のサービスの規定を当てはめる形です。実際の基準は都道府県や市町村の条例で定められ、条番号は省令と異なる場合があります。

各委員会の役割と介護職が担う実務

委員会の運営は管理者や看護職員が中心になりがちですが、検討の材料になる記録や報告の多くは介護職が日々のケアのなかで作っています。ここでは、解釈通知が示す各委員会の検討内容と、介護職が受け持つ実務を委員会ごとにまとめます。

虐待防止検討委員会

解釈通知では、管理者を含む幅広い職種で構成し、指針の整備、研修の内容、職員が相談・報告できる体制、市町村への通報の方法、再発防止策と効果の評価などを検討するとされています。介護職は、研修の企画や、日々のケアを振り返るチェックリストの集計を任されることがあります。研修の回数は介護施設の法定研修一覧で確認できます。利用者や家族から職員が受ける迷惑行為は別の問題として、利用者・家族からのハラスメントへの対処にまとめています。

身体的拘束等適正化検討委員会

3か月に1回以上開き、拘束をしている利用者について3要件に当たるかと、解除できないかを検討します。介護職の仕事は、拘束の態様と時間、その際の心身の状況、緊急やむを得ない理由の記録をそろえておくことです。判断の流れと記録の項目は身体拘束の3要件と介護職の手続きで解説しています。

感染対策委員会

定期開催に加え、感染症が流行する時期などには必要に応じて随時開きます。解釈通知は感染対策担当者を決めることを求め、看護師が望ましいとしています。介護職は、指針やマニュアルの見直し案の確認や、研修と訓練の参加記録の管理などを担います。

事故防止検討委員会

施設系で開催が義務の委員会で、第35条第1項第2号は、事故やその危険がある事態を報告し、分析を通じた改善策を従業者に周知する体制を求めています。介護職が書く事故報告書やヒヤリハットの報告が、分析の材料になります。書き方は介護の事故報告書の書き方を参考にしてください。決まった改善策は申し送りのコツとテンプレートを参考に、勤務交代のたびに共有しましょう。

第35条第1項第4号の担当者が安全対策の外部研修を受け、施設内に安全管理対策部門を置くと、安全対策体制加算の対象になります。

基準上の義務ではない会議と衛生委員会

施設には4委員会のほかにも、褥瘡対策のチームや加算のための多職種の会議、労働安全衛生法の衛生委員会など、さまざまな会議があります。運営基準で開催が義務の委員会とは根拠も頻度も違うため、分けて理解しておくと担当業務を整理しやすくなります。

褥瘡対策チームや加算の会議

特養の基準第13条第5項は、褥瘡が発生しないよう適切な介護を行い、予防の体制を整えることを求めています。解釈通知は褥瘡対策チームの設置を体制の例として挙げていますが、開催頻度の定めはなく、運営基準上の委員会の義務ではありません。褥瘡マネジメント加算や排せつ支援加算の多職種による計画づくりも、算定する施設だけの要件です。

衛生委員会は労働安全衛生法の委員会

衛生委員会は職員の健康障害の防止などを調査審議する委員会で、根拠は労働安全衛生法第18条です。常時50人以上の労働者を使用する事業場に設置義務があり(施行令第9条)、人数は法人全体ではなく事業場ごとに数えます。開催は毎月1回以上で、議事の記録は3年間保存すると労働安全衛生規則第23条で定められています。審議事項には衛生に係る労働災害の再発防止対策も含まれ、労災の手続きは介護職の労災申請の手続きで解説しています。なお、安全委員会は施行令第8条で定める業種が対象で、介護事業は含まれていません。

委員会はまとめて開催できるか

委員会の数が多いと、毎回別々に開くのは負担です。解釈通知は、各委員会を他の委員会と独立して設置・運営することを原則としつつ、関係の深い会議体との一体的な運営や、オンラインでの開催を認めています。条件を押さえておけば、開き方を工夫できます。

関係の深い会議体と一体的に設置・運営できる

4委員会のいずれについても、関係する職種や取り扱う事項が相互に深く関係する会議体があれば、一体的に設置・運営して差し支えないとされています。生産性向上の委員会も、事故防止の委員会などとの一体的な運営が認められています。まとめて開く場合も各委員会の頻度は満たし、議事録では委員会ごとに議題と結論を分けて残しておきましょう。

オンライン開催と他事業所との連携

各委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができると省令に明記されています。その際は、個人情報保護委員会と厚生労働省の医療・介護関係事業者向けガイダンスなどを守ることとされています。虐待防止検討委員会は、他のサービス事業者との連携などにより行うことも差し支えないとされています。

議事録の書き方・保存と運営指導で見られる点

運営指導では、委員会を開いたことを書類で示す必要があり、記録がなければ開催していたことを説明できません。議事録に残す項目と保存期間、運営指導で確認される書類、開催していない場合の減算を順に押さえておきましょう。

議事録に残す項目

議事録には、開催日時、委員会名、出席者と職種、議題、検討した内容と結論、従業者への周知の方法と日付を残します。身体拘束の委員会であれば、拘束中の人数や3要件の判断、解除の検討結果も記録しておきます。

保存期間は完結の日から2年が基準

特養の基準第37条第2項は、サービス提供の記録や身体的拘束等の記録、事故の記録を完結の日から2年間保存するよう定めています。委員会の議事録はこの条文に列挙されていませんが、運営指導で開催状況を示す書類になります。実際の基準は都道府県や市町村の条例で定められ、5年間とするなど、より長い期間を求める自治体もあるため、勤務先の規程で確認してください。衛生委員会の記録は、労働安全衛生規則で3年間保存です。

運営指導で確認される書類

厚生労働省の介護保険施設等運営指導マニュアル(令和4年3月策定、令和6年7月改訂)は、確認文書として、委員会の開催状況と結果がわかるもの、指針、研修の計画と実績がわかるもの、担当者を置いていることがわかるものを挙げています。生産性向上の委員会も、努力義務と注記したうえで確認項目に入っています。

開催していない場合の減算

2024年度の改定で、高齢者虐待防止措置未実施減算が新設され、委員会・指針・研修・担当者の措置がない場合は所定単位数の100分の1が減算されます。身体拘束廃止未実施減算は、施設系と居住系が100分の10、短期入所系と多機能系が100分の1です。施設系では、事故防止の委員会などの措置を欠くと安全管理体制未実施減算の対象になります。

まとめ

  • 運営基準で開催が義務の委員会は、虐待防止、身体拘束適正化、感染対策、事故防止の4つで、生産性向上の委員会は2027年4月から義務になる
  • 身体拘束は3か月に1回以上、感染対策は施設系がおおむね3か月、居宅系がおおむね6か月に1回以上で、虐待防止と事故防止は回数の定めがない
  • デイサービスや訪問介護、居宅介護支援で義務になるのは虐待防止と感染対策の2つ
  • 関係の深い委員会は一体的に運営でき、オンライン開催もできる。議事録で委員会ごとの開催状況と結果を残す

よくある質問

Q. 小規模な訪問介護にも委員会は必要ですか?

A. 必要です。訪問介護は規模にかかわらず、虐待防止検討委員会(第37条の2)と感染対策委員会(第31条第3項、おおむね6か月に1回以上)の開催が義務です。虐待防止検討委員会は他のサービス事業者との連携などで行うこともでき、オンラインでも開催できます。

Q. 虐待防止委員会は年何回開けばよいですか?

A. 省令は「定期的に」と定めるだけで、解釈通知も回数を示していません。施設の指針で頻度を決め、そのとおりに開催して記録を残すことが基本です。自治体が独自に目安を示している場合もあるため、所管の自治体の集団指導資料もあわせて確認してください。

Q. オンラインで開催してもよいですか?

A. 開催できます。4委員会と生産性向上の委員会は、テレビ電話装置等を活用して行えると省令に明記されています。利用者の個人情報を扱うため、医療・介護関係事業者向けの個人情報ガイダンスに沿って運用します。

Q. 委員会の議事録には何を書けばよいですか?

A. 開催日時、委員会名、出席者と職種、議題、検討内容と結論、周知の方法と日付が基本です。運営指導では開催状況と結果がわかるものが確認されるため、結論と周知の記録まで残しておきましょう。

Q. 委員会を開いていないと減算になりますか?

A. 虐待防止は高齢者虐待防止措置未実施減算、身体拘束は身体拘束廃止未実施減算、施設系の事故防止は安全管理体制未実施減算の対象です。感染対策や生産性向上のように減算のない委員会でも、開催していなければ運営基準違反として指導を受けることがあります。

参考資料・出典

この記事を書いた人

編集部

介護ワーカーズナビ編集部

介護職向け情報メディアの編集チーム

厚生労働省などの公的統計や制度資料をもとに記事を作成しています。数値には出典と年度を記載し、制度が変わったときに内容を見直しています。

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