看護助手と介護職の違い|仕事・給料・病院での介護福祉士の扱い

病院の看護助手と介護施設の介護職員の仕事を並べたイラスト
公開日 執筆 介護ワーカーズナビ編集部

介護施設で経験を積んだ方が病院の看護助手の求人を見て、仕事や給料がどう変わるのか気になることがあります。反対に、看護助手から介護施設へ移るか迷う方もいるでしょう。実際には、生活を支える点は似ていても、よりどころの制度が医療保険と介護保険に分かれ、給料の上がり方や資格の生かし方、実務経験の数え方まで違いが出ます。この記事では、看護助手と介護職の違いを厚生労働省の通知と統計で整理し、病院で介護福祉士が働くときの注意点までまとめました。病院と介護施設のどちらで働くか比べている方に向けた内容です。

この記事でわかること

  • 看護助手と介護職の仕事の範囲と指揮系統の違い
  • 令和7年賃金構造基本統計調査で見る給料の差
  • 処遇改善加算とベースアップ評価料、それぞれの対象
  • 病院で介護福祉士が働くときの資格手当と喀痰吸引等の扱い
  • 介護福祉士試験とケアマネ試験の実務経験に数えられるか

看護助手と介護職の違いは働く場所と制度の枠組み

看護助手は病院や診療所で、看護職員の指導のもと患者の療養生活を支える職員です。介護職は主に介護保険サービスの事業所で利用者の暮らしを支えます。介助が仕事の中心という点は共通していますが、指揮系統、給料の財源、資格の扱い、実務経験の数え方が分かれます。

看護助手は診療報酬上の看護補助者

看護助手は、診療報酬の施設基準では看護補助者と呼ばれます。病棟に置く看護補助者の数が入院料や加算の要件になっており、人件費は医療保険の報酬でまかなわれます。働くための資格は法令で定められておらず、無資格・未経験で応募できる求人もあります。

介護職は介護保険サービスの職員

介護職は特養や老健、グループホーム、訪問介護などで働き、事業所の収入は介護報酬です。施設は無資格でも働けますが、採用後1年以内に認知症介護基礎研修を受けます。訪問介護の身体介護には初任者研修以上の修了が必要です。施設ごとの働き方は特養・老健・有料老人ホームの違い、言葉の使い分けは介護と介助の違いで取り上げています。

比較表で見る違い

制度面の違いをまとめると次のとおりです。給料は令和7年賃金構造基本統計調査の所定内給与額です。

項目 看護助手(看護補助者) 介護職
主な職場 病院、有床診療所 介護保険施設、居宅サービス事業所
報酬の財源 医療保険(診療報酬) 介護保険(介護報酬)
指揮系統 看護師長・看護職員の指導のもと 介護職のチームでケアの計画に沿って
必要な資格 法令上の要件なし 施設は要件なし、訪問介護は初任者研修以上
所定内給与額(月) 224,200円 262,900円
賃上げの仕組み ベースアップ評価料など 介護職員等処遇改善加算
喀痰吸引等 病院は登録の対象外 登録事業者で介護福祉士などが実施
介護福祉士試験の実務経験 対象(間接業務のみは除く) 対象
ケアマネ試験の実務経験 無資格の期間は対象外 無資格の期間は対象外

仕事内容の違い

看護助手と介護職の仕事は、食事や排泄、移動といった生活面を支える点で重なります。違いは誰の指示で動くかと、病棟ならではの周辺業務の多さです。ここでは制度上の線引きを中心に整理し、医療行為や介助の手順そのものには触れません。

看護助手の業務は看護職員の指導のもと

厚生労働省の看護補助者処遇改善事業では、看護補助者の業務を次のように挙げています。出典は、実施要綱の記載を引用した2024年2月のQ&Aです。

  • 療養生活上の世話(食事、清潔、排泄、入浴、移動など)
  • 病室内の環境整備やベッドメーキング
  • 看護用品や消耗品の整理整頓
  • 看護職員が行う書類・伝票の整理や作成の代行、診療録の準備

いずれも看護師長や看護職員の指導のもとで行います。任される範囲は病院や病棟で異なるため、応募の段階で確かめましょう。

医療行為ができない理由

保健師助産師看護師法の第5条は看護師の業務を療養上の世話と診療の補助と定め、第31条は看護師でない者がこれを業として行うことを禁じています。看護助手は診療の補助に当たる行為は行えず、療養上の世話も看護職員の指示のもとで補助として担います。介護福祉士の資格を持っていても、病院で看護助手として働く間は同じ扱いです。

医行為でない行為の通知は介護現場向け

厚生労働省は2005年の通知(医政発第0726005号)などで、原則として医行為ではないと考えられる行為を挙げていますが、対象は医療機関以外の介護の現場などです。病院での範囲は看護職員の指示によるため、施設で任されていた業務が病院でも同じとは限りません。

看護助手と介護職の給料の違い

給料は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査を使うと同じ条件のまま比べられます。この調査の職種には、看護助手と介護職員(医療・福祉施設等)の区分が別々にあるためです。財源が異なるので、賃上げの仕組みも医療と介護で別々に動いています。

令和7年賃金構造基本統計調査での比較

令和7年調査(企業規模10人以上の一般労働者)の数字は次のとおりです。月の給与は2025年6月分、年間賞与は2024年1年間の支給額です。

項目 看護助手 介護職員(医療・福祉施設等)
平均年齢 48.7歳 45.3歳
勤続年数 10.3年 9.0年
きまって支給する現金給与額 240,800円 277,700円
所定内給与額 224,200円 262,900円
年間賞与その他特別給与額 481,200円 547,800円
年収の目安 約337万円 約388万円

年収の目安は、きまって支給する現金給与額の12か月分に年間賞与を足した額です。残業代などを除いた所定内給与額で月38,700円、年間賞与で66,600円、看護助手が低くなっています。

この調査には介護福祉士という区分がありません。資格別の給料は令和6年度介護従事者処遇状況等調査で集計されており、介護福祉士の給料で紹介しています。

処遇改善加算は病院の看護助手には適用されない

介護職員等処遇改善加算は介護報酬への上乗せで、介護保険サービスの事業所が算定します。病院の病棟は診療報酬で運営されるため、病棟の看護助手はこの加算の対象になりません。同じ法人でも、介護医療院や通所リハビリテーションなど介護保険サービスの部署は、この加算を算定できるサービスに当たります。加算の区分や2026年6月の期中改定は処遇改善加算とはをご覧ください。

看護助手の賃上げは診療報酬で行われる

看護補助者の賃上げは、医療の仕組みで別に進められてきました。主な流れは次のとおりです。

  • 2024年2〜5月、看護補助者処遇改善事業補助金で病院・有床診療所の看護補助者の賃上げを補助
  • 2024年6月、令和6年度診療報酬改定でベースアップ評価料を新設し、対象職員に看護補助者と介護福祉士を明記
  • 2026年6月、令和8年度診療報酬改定で、2026・2027年度にそれぞれ3.2%(看護補助者と事務職員は5.7%)の賃上げに向けて評価を見直し、夜勤手当の増額にも充当可能に

令和7年調査には2026年6月の改定の効果は入っていません。賃上げ分の支給名目は病院の賃金規程によります。介護職の給料が低い背景は介護職の給料はなぜ安いのかで解説しています。

病院で介護福祉士が働くときの資格の扱い

介護福祉士が病院に移ると、職名は看護助手、看護補助者、ケアワーカーなど病院によって変わります。国家資格が手当や等級で評価されることはありますが、施設での業務がそのまま続けられるとは限りません。とくに違いが出るのは、資格手当と喀痰吸引等の扱いです。

資格手当と職名は病院ごとに違う

看護補助者の配置基準に資格の要件はなく、介護福祉士の資格手当の有無や額は病院の給与規程で決まります。ベースアップ評価料の対象職員には介護福祉士も挙げられています。求人票の資格手当欄と、等級への反映を確かめておきましょう。

喀痰吸引等の登録は病院が対象外

介護福祉士は社会福祉士及び介護福祉士法第48条の2により、医師の指示のもとで喀痰吸引等を業として行えます。ただし実施できるのは、第48条の3にもとづき事業所ごとに都道府県知事の登録を受けた事業者のもとに限られます。厚生労働省の資料では、病院・診療所は医療関係者による実施体制が整っているとして登録の対象外とされています。

そのため、介護福祉士が法律にもとづいて喀痰吸引等を行う仕組みは、病院では使えません。施設で携わってきた方は、病院での役割を面接で確認しておくと戸惑いを減らせます。

実務経験の数え方の違い

資格の取得を考えている方にとって、今の勤務が実務経験になるかは大きな分かれ目です。介護福祉士試験とケアマネ試験では、看護助手として働いた期間の扱いが異なります。2026年11月時点の試験センターと都道府県の資料で整理します。

介護福祉士試験は看護助手の期間も対象

社会福祉振興・試験センターの「実務経験の範囲」では、病院と診療所の介護職員、看護補助者、看護助手など、主たる業務が介護等の業務である人を対象としています。ただし、空床時のベッドメーキングや検体の運搬など間接的な業務だけに従事する場合は対象外です。

必要な日数は従業期間1,095日以上かつ従事日数540日以上で、実務者研修の修了も求められます。日数の数え方は介護福祉士の試験ガイドにまとめています。

ケアマネ試験は無資格の期間を数えない

ケアマネ試験は2018年度の第21回から、法定資格に基づく業務と相談援助業務に対象が絞られました。資格を持たずに介護等の業務に従事した期間は実務経験に含まれないため、無資格の看護助手として働いた期間も数えられません。相談援助業務のルートは生活相談員とケアマネの違いで比べています。

介護福祉士の登録後に病院で働いた期間について、滋賀県のQ&Aは、要援護者への直接的な援助が本来の業務として明確に位置づけられていることを求めています。扱いは受験する都道府県の要綱で確かめてください。詳しくはケアマネの受験資格をご覧ください。

介護職と看護助手を行き来するときの確認点

介護施設と病院の間で移るときは、仕事内容よりも制度の違いが働き方や給料に響きます。手当の名目や実務経験の証明は、移ったあとで直しにくい点です。応募前に求人票や面接で確かめたいことを、移る方向ごとにまとめました。

介護職から看護助手に移るとき

施設で処遇改善手当を受け取っていた方は、病院では名目が変わるため、月給と賞与の総額で比べましょう。確認したい点は次の4つです。

  • 介護福祉士の資格手当や、等級への資格の反映があるか
  • 処遇改善手当に当たる賃上げ分が、基本給と手当のどちらで支給されるか
  • 夜勤の有無と回数、配属される病棟の種類
  • 直接の介助と環境整備のどちらが中心の業務か

間接的な業務だけだと介護福祉士試験の実務経験に数えられないため、無資格の方は特に確認しておきましょう。

看護助手から介護職に移るとき

介護福祉士試験を目指すなら、病院での期間は病院が作成する実務経験証明書で証明します。退職前に発行を相談しておくと手続きが進めやすくなります。

無資格の方が訪問介護を考えるなら、介護職員初任者研修が出発点です。資格なしで応募できる施設は介護職を未経験から始めるには、職場選びの進め方は介護職の転職で失敗しない方法で紹介しています。

まとめ

看護助手と介護職は仕事内容が重なる一方で、よりどころの制度が異なります。要点は次の5つです。

  • 看護助手は病院で看護職員の指導のもと働く看護補助者で、介護職は介護保険サービスの職員
  • 令和7年賃金構造基本統計調査の所定内給与額は看護助手224,200円、介護職員262,900円
  • 処遇改善加算は病院の看護助手には適用されず、賃上げはベースアップ評価料など診療報酬で行われる
  • 病院・診療所は喀痰吸引等の登録の対象外で、介護福祉士でも病院ではその仕組みを使えない
  • 看護助手の期間は介護福祉士試験の実務経験になるが、無資格の期間はケアマネ試験には使えない

よくある質問

Q. 看護助手から介護福祉士になれますか?

A. なれます。主たる業務が介護等の業務であれば、看護助手の期間は介護福祉士試験の実務経験の対象です。従業期間1,095日以上かつ従事日数540日以上と、実務者研修の修了で受験できます。間接的な業務だけの期間は対象外です。

Q. 看護助手に夜勤はありますか?

A. 病棟勤務では夜勤のある求人があり、回数や手当は病院ごとに異なるため求人票と面接で確認してください。2026年6月の令和8年度診療報酬改定で、ベースアップ評価料などの収入を夜勤手当の増額に充てられるようになりました。

Q. 看護助手にも処遇改善手当はありますか?

A. 介護職員等処遇改善加算は介護保険サービスの仕組みなので、病棟の看護助手は対象外です。看護補助者は診療報酬のベースアップ評価料の対象職員で、給与明細での名称や支給方法は病院の賃金規程によって異なります。

Q. 介護福祉士は病院で優遇されますか?

A. 看護補助者の配置基準に資格要件はなく、資格手当の有無や額は病院の給与規程で決まります。ベースアップ評価料の対象職員に介護福祉士も挙げられていますが、配分は病院の判断です。応募前に求人票で確認しましょう。

Q. 看護助手の経験はケアマネ試験に使えますか?

A. 資格を持たずに看護助手として働いた期間は含まれません。2018年度の第21回試験から、対象は法定資格に基づく業務と相談援助業務に限られています。介護福祉士の登録後に病院で働いた期間の扱いは、受験する都道府県の要綱で確認してください。

参考資料・出典

この記事を書いた人

編集部

介護ワーカーズナビ編集部

介護職向け情報メディアの編集チーム

厚生労働省などの公的統計や制度資料をもとに記事を作成しています。数値には出典と年度を記載し、制度が変わったときに内容を見直しています。

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