介護資格の補助金|自治体の受講料助成の代表例と給付金との併用

自治体の資格取得補助金の案内を確認する介護職員
公開日 執筆 介護ワーカーズナビ編集部

初任者研修や実務者研修を受けたいけれど、受講料の負担が気になって申し込みをためらう方は多いのではないでしょうか。実際には、市の助成、県の補助、ハローワークの給付金と制度がいくつもあり、窓口も条件もばらばらで、組み合わせると片方が受けられなくなるものもあります。この記事では、受講料を減らす制度を6種類に分けて比べ、令和8年度の自治体の代表例、探し方、教育訓練給付との併用ルール、申請の順番をまとめました。これから資格を取りたい未経験の方と、働きながら次の資格を目指す介護職の方に向けた内容です。

この記事でわかること

  • 介護資格の受講料を減らす6種類の制度と、申請のタイミング
  • 西宮市・船橋市・柏市・白井市、埼玉県・東京都の令和8年度の要件と締切
  • 自治体の助成と教育訓練給付を併用できるか
  • 受講前に済ませる手続きと、修了後に申請する制度の順番

介護資格の受講料を減らす制度は6種類

受講料を減らす制度は、市区町村の助成、都道府県の支援、職業訓練、教育訓練給付、返還免除つきの貸付、勤務先の支援の6種類です。市区町村の助成は全国一律の制度ではなく、実施の有無も金額も自治体ごとに違います。まずは6種類の違いを表で確認しましょう。

6種類の比較表

対象者と申請のタイミングは制度ごとに大きく違います。金額は2026年11月時点で確認できた例です。

制度 主な対象者 金額の例 申請先 タイミング
市区町村の助成 市内の介護事業所で働く人 柏市・船橋市は初任者研修で上限10万円 市の担当課 修了後、一定期間働いてから
都道府県の支援 県内の介護施設で働く人など 埼玉県は受講料の2分の1 県の担当課 県ごとに異なる
職業訓練 離職中の求職者 受講料無料 ハローワーク 受講前に申し込み
教育訓練給付 雇用保険の加入者など 一般教育訓練は20% ハローワーク 区分により受講前に手続き
貸付 研修受講者など 実務者研修受講資金は20万円以内 都道府県が指定する団体 受講中・就職時
勤務先の支援 勤務先の職員 法人ごとに異なる 勤務先 法人ごとに異なる

最初に確認するのは働く市区町村と勤務先

確認した4市の助成は、住所より市内の事業所で働いていることが基本の条件で、市外に住む人も申請できます。働いている方は、勤務先のある市区町村と勤務先の制度から調べると早く絞り込めます。研修の内容は介護職員初任者研修とはと実務者研修とはで詳しく紹介しています。

市区町村の受講費助成の代表例と探し方

市区町村の助成は、市内の介護事業所で働く職員を増やすため、研修の修了者に受講料の一部を支給する制度です。令和8年度の募集ページや要綱で上限額と締切を確認できた4市を取り上げます。どの市も予算の範囲内で行うため、締切より前に受付が終わることがあります。

4市の令和8年度の要件

対象になる費用は、4市とも受講料と教材費で、入学金や交通費は含まれません。

市 助成額 主な就労要件 申請期限
西宮市(兵庫県) 費用の2分の1。上限は初任者研修3.5万円、実務者研修5万円 修了後、対象事業所1か所に3か月を超えて勤務(市内在住で市外勤務も可) 2027年3月5日必着
船橋市(千葉県) かかった費用。上限は初任者研修10万円、実務者研修15万円 修了後、市内の介護保険サービス事業所で3か月以上継続就業(派遣は対象外) 2027年2月28日消印有効
柏市(千葉県) かかった費用。上限は初任者研修10万円、実務者研修15万円 市内事業所に直接雇用され3か月以上継続就労 2027年2月26日(初任者55人・実務者65人まで)
白井市(千葉県) 費用の2分の1。上限は初任者研修5万円、実務者研修10万円 市内の同一事業所で3か月以上継続就業 2027年2月26日必着

4市とも修了後に申請し、申請の時点で同じ事業所に3か月以上勤めていることが条件です。修了日にも条件があり、西宮市と柏市は修了日の翌日から1年以内の申請、船橋市は2025年4月1日以降、白井市は前年度の4月1日以降の修了が対象です。どちらの研修から取るか迷う方は、実務者研修と初任者研修の違いで費用と時間を比べてから上限額を見るとよいでしょう。

自分の市区町村に制度があるかの探し方

「市区町村名 初任者研修 助成」や「市区町村名 実務者研修 補助金」と検索すると、市の募集ページが見つかることが多いです。見つからなければ、市区町村の介護保険担当課か高齢者福祉担当課に問い合わせてください。都道府県の福祉人材センターやハローワークでも地域の制度を案内しています。募集は年度ごとなので、ページが今年度のものかも確かめましょう。

都道府県の資格取得支援

都道府県も介護職員の資格取得を支える事業を行っており、受講料を補助する県もあれば、無料の研修を開く都もあります。対象者や申請の仕方も大きく違います。ここでは令和8年度の内容を確認できた埼玉県と東京都の例を紹介します。

埼玉県は受講料の2分の1を補助

埼玉県の介護職員資格取得支援事業は、受講料の2分の1を、初任者研修は上限3万円、実務者研修は上限10万円で補助します。令和8年度の予算は初任者研修が150万円、実務者研修が3,000万円で、どちらも先着順です。支払い、受講開始、修了を同じ年度内に終える必要があります。

初任者研修は県内の介護施設等で週20時間以上、1か月以上働くことが条件で、申請は2027年3月31日午後5時15分までです。実務者研修は雇用契約上の週30時間以上の勤務や、修了などで勤務先の処遇改善が図られることが条件で、申請受付は2027年1月8日まで、同じ趣旨の補助金との併給はできません。

東京都は無料の初任者研修を開講

東京都の初任者研修等資格取得支援事業では、都内で高齢者介護の仕事に就きたい人が無料で初任者研修などを受けられます。令和8年度は東京都福祉人材センターへの求職登録が条件で、申込書は開講日の15日前までに届けます。介護事業所で働いている人、内定がある人、初任者研修と同等以上の資格を持つ人は対象外で、講座ごとの定員に達すると締め切られます。未経験からの始め方は介護職を未経験から始めるにはもあわせて参考にしてください。

離職中なら職業訓練で無料で取る

求職中の方は、ハローワークの職業訓練(ハロートレーニング)で介護の資格を取る方法があります。受講料は無料で、テキスト代などは自己負担です。募集時期と定員が決まっているため、早めにハローワークで地域のコースを確認しましょう。

公共職業訓練と求職者支援訓練

公共職業訓練は主に雇用保険を受給している求職者向け、求職者支援訓練は主に雇用保険を受給できない求職者(受給が終わった人を含む)向けです。自己都合退職でも、条件を満たす教育訓練を受けると失業保険の給付制限が解除されます。条件は介護職の退職後の手続きで解説しています。

月10万円の職業訓練受講手当の要件

求職者支援訓練では、要件を満たすと月10万円の職業訓練受講手当と通所手当が支給されます。厚生労働省の案内では、本人収入が月8万円以下、世帯全体の収入が月30万円以下、世帯の金融資産が300万円以下で、訓練実施日すべてに出席することなどが要件です。要件を満たさなくても、訓練そのものは無料で受けられます。

教育訓練給付と自治体助成は併用できるか

在職中の方や離職して間もない方は、雇用保険の教育訓練給付も選択肢になります。ただし、確認した4市はいずれも、教育訓練給付を受けた人を市の助成の対象外としています。給付の仕組みと併用の可否、どちらを選ぶかの比べ方を整理します。

教育訓練給付の3区分

教育訓練給付は雇用保険法第60条の2に基づく給付で、指定講座を修了すると受講費用の一部が支給されます。一般教育訓練は20%(上限10万円)、特定一般教育訓練は40%(上限20万円)、専門実践教育訓練は50%(年間上限40万円)です。資格を取って修了後1年以内に雇用された場合や在職中に資格を取った場合、専門実践は70%に上がります。2024年10月1日以降に受講を始めた講座では、同じ条件で特定一般も50%に上がり、専門実践は賃金が5%以上上がると80%になります。

雇用保険の加入期間は原則3年以上で、初めてなら一般・特定一般が1年以上、専門実践が2年以上です。講座の区分は教育訓練講座検索システムで確認できます。実務者研修での金額は実務者研修の教育訓練給付金で詳しく取り上げています。

確認した4市は教育訓練給付と併用できない

併用の可否は、自治体の要綱にあるほかの助成との重複の規定で決まります。柏市は教育訓練給付を含む公的制度の助成を受けていないことを条件にし、船橋市と白井市は申請の手引きのQ&Aで、教育訓練給付を受けたら残りの金額も市の助成の対象外と明記しています。西宮市もQ&Aで、ほかの助成との併用はできないとしています。

どちらを使うかは受け取れる額で比べる

両方を受けられないなら、受け取れる額が大きいほうを選ぶのが基本です。仮に受講料と教材費の合計が10万円の実務者研修を修了した場合、確認した制度に当てはめると次のようになります。

制度 受け取れる額の目安
柏市・船橋市の助成 10万円
西宮市・白井市の助成、埼玉県の補助 5万円
一般教育訓練の指定講座 2万円
特定一般教育訓練の指定講座 4万円(資格取得と就職で5万円)

実務者研修の受講料はスクールにより幅があり、目安は無資格で7〜20万円、初任者研修修了者で9〜13万円なので、実際の金額で計算し直してください。教育訓練給付の申請期限は修了日の翌日から1か月以内で、市の助成より先に来るため、どちらを使うかは修了前に決めておきましょう。

返還免除つきの貸付と勤務先の支援

助成や給付のほかに、決められた期間働けば返済が免除される貸付や、勤務先が受講料を負担する仕組みもあります。どちらも、条件を満たせなかったときにお金を返す必要があるかどうかを、受ける前に確かめておきましょう。

実務者研修受講資金と介護分野就職支援金

厚生労働省の案内では、実務者研修受講資金は研修施設の在学者が20万円以内で借りられ、介護福祉士として介護業務に2年間従事すると返済が全額免除されます。申込先は都道府県が指定する団体です。介護が未経験の人が初任者研修などを修了して就職するときは、介護分野就職支援金(20万円以内、2年間働くと全額免除)もあります。船橋市は、受講費用に貸付を受けた場合も助成を受けたものとして扱います。

養成施設で学ぶ人には、卒業後に介護福祉士として5年間介護業務に従事すると返済が全額免除される修学資金もあり、介護職の奨学金は免除される?で紹介しています。ブランクから戻る方向けの再就職準備金は介護職のブランク復職ガイドをご覧ください。

勤務先の資格取得支援

求人票の資格取得支援は、受講料の負担や立て替えなど中身が法人ごとに違います。勤務先から補助を受けた場合、船橋市・柏市・白井市はその額を差し引いて助成額を計算し、西宮市は全額自己負担を条件にしています。途中で退職したときの返還の有無は、受講前に書面で確かめておくと安心です。厚生労働省の人材開発支援助成金は事業主向けで、働く人が申請する制度ではありません。

申請の順番と注意点

受講料を減らす制度は、受講前に手続きが必要なものと、修了後に申請するものに分かれます。順番を間違えると受け取れなくなる制度もあるため、研修に申し込む前に、使う制度と手続きの時期を確認しておきましょう。

受講前に手続きが必要なもの

特定一般・専門実践教育訓練は、訓練前キャリアコンサルティングを受けてジョブ・カードの交付を受け、受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格確認をします。職業訓練や東京都の無料研修も受講前の申し込みが必要です。

修了後に申請するもの

4市の助成は、修了後に同じ事業所で3か月以上働いてから申請します。埼玉県の補助は支払いから勤務までを同じ年度内に終える必要があり、前年度に支払いや受講を始めた分は対象外です。

領収書と修了証を保管する

どの制度でも、本人あての領収書と修了証明書の写しを求められます。船橋市や埼玉県は払込受領証ではなく研修機関が発行した領収書を求めているため、支払い時にもらっておきましょう。市の助成では勤務先が発行する就業証明書も必要です。資格を取る順番は介護の資格一覧と取る順番で確認できます。

まとめ

介護資格の受講料を減らす制度は、市区町村の助成、都道府県の支援、職業訓練、教育訓練給付、貸付、勤務先の支援の6種類です。

  • 市区町村の助成は勤務地が基準で、確認した4市は修了後に3か月以上働いてから申請する
  • 確認した4市は、教育訓練給付を受けると市の助成の対象外になる
  • 特定一般・専門実践の教育訓練給付と職業訓練は受講前に手続きする
  • 受け取れる額は制度で大きく違うため、実際の受講料で比べて選ぶ

まずは働く市区町村の担当課と勤務先に、使える制度があるかを問い合わせてみてください。

よくある質問

Q. すでに受講中や修了済みでも申請できますか?

A. 確認した4市の助成は修了後に申請するため、受講中や修了済みでも対象になり得ます。ただし修了日の条件があり、西宮市と柏市は修了日の翌日から1年以内に申請します。特定一般・専門実践の教育訓練給付は受講前の手続きが必要なので、受講を始めてからでは使えません。

Q. 転職する予定でも使えますか?

A. 確認した4市は、申請日に同じ事業所で3か月以上続けて働いていることが条件なので、転職すると勤務期間を数え直します。船橋市と白井市は、市内の事業所に改めて3か月以上勤めれば対象になると説明しています。転職先の市区町村の制度も確認しましょう。

Q. パートや非常勤でも対象になりますか?

A. 西宮市と柏市は常勤・非常勤を問わず、白井市も直接雇用なら非常勤も対象です。一方、埼玉県の補助は初任者研修が週20時間以上、実務者研修が雇用契約上の週30時間以上の勤務を条件にしています。条件は自治体ごとに違うため、募集要項で確かめてください。

Q. 市の助成と教育訓練給付の二重取りはできますか?

A. 確認した4市は、教育訓練給付などほかの公的な助成を受けると市の助成の対象外です。埼玉県の実務者研修の補助も、同じ趣旨の補助金とは併給できません。受け取れる額が大きい制度を選んでください。

参考資料・出典

助成・補助の内容は2026年11月時点で公開されている令和8年度の募集ページと要綱に基づいています。年度ごとに見直され、予算や定員に達すると締切前に受付が終わることもあるため、申請前に各自治体の最新の案内を確認してください。

この記事を書いた人

編集部

介護ワーカーズナビ編集部

介護職向け情報メディアの編集チーム

厚生労働省などの公的統計や制度資料をもとに記事を作成しています。数値には出典と年度を記載し、制度が変わったときに内容を見直しています。

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