介護の現場で経験を重ねると、相談に乗る仕事に関心を持つ方が増えてきます。ところが求人票には生活相談員、ケアマネジャー、相談支援専門員と似た名前が並び、何が違うのか、どちらが上なのかが分かりにくいものです。この記事では、生活相談員とケアマネの違いを根拠となる基準、仕事、資格、給料の順に比べ、ケースワーカーなど似た職種との違いも整理しました。相談職を目指す介護職の方や、施設の担当者の役割を知りたいご家族に向けた内容です。
この記事でわかること
- 生活相談員・ケアマネと、相談支援専門員など似た職種との違い
- 生活相談員とケアマネの仕事、資格、給料の違い
- ケアマネと相談員はどちらが上かという疑問への答え
- 介護職からどちらを目指すかの考え方
生活相談員とケアマネなど相談職の違いを一覧で比較
相談に応じる仕事は介護保険、障害福祉、行政のそれぞれにあり、根拠となる法律や基準が違えば、働く場所も雇う人も変わります。名前が似ていても別の制度の職種が多いので、まず5つの職種を一覧にして、全体の位置づけをつかんでおきましょう。
5つの相談職の比較表
介護保険の施設や事業所で働くのは生活相談員とケアマネジャーで、ほかの3つは障害福祉の事業所や行政の側から関わる職種です。ケースワーカーは自治体の職員、介護サービス相談員は市町村から派遣される立場です。
| 項目 | 生活相談員 | ケアマネジャー | 相談支援専門員 | ケースワーカー | 介護サービス相談員 |
|---|---|---|---|---|---|
| 根拠 | 特養などの基準省令 | 介護保険法 | 障害者総合支援法 | 社会福祉法 | 厚生労働省の通知 |
| 働く場所 | 特養、デイサービスなど | 居宅介護支援事業所、特養・老健など | 相談支援事業所 | 福祉事務所 | 事業所を訪問 |
| 主な仕事 | 入退所の相談・契約、連絡調整 | ケアプラン作成、給付管理 | サービス等利用計画の作成 | 生活保護などの調査・支援 | 利用者の声を事業所に伝える |
| 必要な資格 | 社会福祉士など、または自治体が認める者 | 介護支援専門員証 | 実務経験と相談支援従事者研修 | 社会福祉主事(任用資格) | 研修の修了 |
| 雇う人 | 運営法人 | 運営法人 | 運営法人 | 都道府県・市など | 市町村に登録(施設の職員ではない) |
生活相談員とケアマネジャーの仕事の違い
生活相談員とケアマネジャーは、どちらも利用者や家族の相談に応じ、外部と調整する点が共通しています。違うのは、生活相談員が施設と利用者をつなぐ窓口であるのに対し、ケアマネジャーは介護サービスの計画をつくり、実施まで責任を持つ点です。
生活相談員は施設の窓口
生活相談員の中心は、入所や利用の相談、契約の説明、利用中の要望や苦情への対応です。退所の手続きや、医療機関、行政、居宅のケアマネジャーとの連絡も担います。特養では、基準第2条で入所者100人またはその端数ごとに1人以上の常勤配置が定められています。生活相談員が働く職場の様子はデイサービスの仕事内容と1日の流れと特養の仕事内容と職種構成で紹介しています。
ケアマネジャーはケアプランと給付管理
ケアマネジャーは、利用者の暮らしを聞き取って課題を整理し(アセスメント)、ケアプランを作ります。サービス担当者会議で確かめ、実施後はモニタリングを行います。居宅のケアマネは給付管理も担当します。居宅介護支援の基準第2条では、ケアマネジャー1人あたりの利用者数の基準は44人で、ケアプランデータ連携システムを使い事務職員を置く場合は49人です。
施設ケアマネと生活相談員は兼務できる
特養の介護支援専門員(計画担当介護支援専門員、基準第12条)は、入所者100人またはその端数ごとに1人が標準です。基準第2条第9項は、介護支援専門員を常勤専従としつつ、入所者の処遇に支障がない場合は施設のほかの職務に従事できるとしています。施設ケアマネが生活相談員を兼ねる配置は、この規定で認められています。
生活相談員とケアマネの資格の違い
生活相談員には専用の試験や資格がなく、国の基準が示す資格に加えて、同等以上とみなす範囲を自治体ごとに決めています。ケアマネジャーは介護保険法に基づく資格で、都道府県の試験と実務研修を経て登録を受けなければ名乗れません。
生活相談員は国の要件と自治体の同等以上
国の基準では、生活相談員は社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者か、これと同等以上の能力を有すると認められる者と定められています。全国共通で要件を満たすのは、社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格の3つです。
同等以上として何を認めるかは自治体ごとに異なります。東京都は通所介護とショートステイについて、介護支援専門員や介護の実務経験が1年以上ある介護福祉士などを認め、栃木県は2023年10月1日から介護支援専門員と介護福祉士を実務経験を問わず認めています。要件の全体像は生活相談員の資格要件と仕事内容で整理しています。
ケアマネは試験・研修・登録が必要
介護保険法第7条第5項は、介護支援専門員を、要介護者などの相談に応じて市町村や事業者と連絡調整を行い、介護支援専門員証の交付を受けた者と定めています。第69条の2により、試験に合格して実務研修を修了した人が都道府県知事の登録を受けます。
受験には、法定資格に基づく業務か相談援助業務に通算5年以上かつ900日以上従事していることが必要です。5年ごとの更新制は、2026年6月25日公布の改正法で廃止が決まりました。施行日は政令で定める日とされ、受験要件の見直しは2026年11月時点で検討段階です。詳しくはケアマネの受験資格と実務経験の数え方で整理しています。
生活相談員とケアマネの給料の違い
給料を比べるときは、どの調査の、どの定義の数字かをそろえる必要があります。一時金を含むか、常勤だけか、いつの時点かで金額が変わるためです。厚生労働省と介護労働安定センターの2つの調査を別々の表にし、職種の差を見ていきます。
令和6年度介護従事者処遇状況等調査
処遇改善加算を取得する事業所で月給・常勤として働く人の、2024年9月時点の平均給与額です。基本給と手当に、4〜9月に支給された一時金を6で割った額を加えています。
| 職種 | 平均給与額(月) |
|---|---|
| 介護支援専門員 | 375,410円 |
| 生活相談員・支援相談員 | 353,950円 |
| 介護職員 | 338,200円 |
ケアマネジャーは生活相談員・支援相談員より月に約2.1万円高い一方、平均勤続年数も12.9年と11.5年で1.4年長く、経験の差も含んだ数字です。生活相談員・支援相談員は介護職員より約1.6万円高い水準です。
令和7年度介護労働実態調査
介護労働安定センターが2026年7月29日に公表した調査で、調査対象基準日は2025年10月1日です。月給で働く人の通常月の平均月収で、賞与・残業代・休日出勤手当を除き、毎月決まって支給される手当を含む税込みの額です。
| 職種 | 平均月収 | 回答者数 |
|---|---|---|
| 介護支援専門員 | 259,950円 | 1,983人 |
| 生活相談員 | 252,994円 | 854人 |
| 介護職員 | 239,855円 | 4,233人 |
ケアマネジャーと生活相談員の差は月に約0.7万円でした。
2つの調査で金額が違う理由
処遇状況等調査は一時金の月割り分を含み加算取得事業所の常勤者が対象、介護労働実態調査は賞与を含まず月給の人全体が対象で、時点も1年違います。金額は調査をまたいで比べず、同じ調査の中での職種の差を見てください。なお令和7年賃金構造基本統計調査では、介護支援専門員の所定内給与額が298,800円、年間賞与が704,200円でした。
ケアマネと相談員はどちらが上か
ケアマネと生活相談員のどちらが上かという疑問は、求人票や施設の組織図を見ていると浮かびます。ただ、制度上の上下関係はなく、それぞれ別の基準で配置が決められた役割の違う職種です。根拠法と実際の指示系統に分けて答えます。
根拠法と配置基準で役割が分かれている
ケアマネジャーは介護保険法に定義された資格でケアプランを作り、生活相談員は運営基準で配置が義務づけられた窓口役です。一方が他方を指揮する規定は基準にありません。
指示を出す立場は事業所の組織で決まる
誰が誰に指示を出すかは、法人や施設の組織図と職務分担で決まります。生活相談員が管理者を兼ねる施設も、ケアマネジャーが管理者を務める施設もあります。求人では職種名より役職と担当業務を確認しましょう。
生活相談員・ケアマネと似た職種との違い
介護の現場では、老健の支援相談員や障害福祉の相談支援専門員、福祉事務所のケースワーカーなど、ほかの相談職とも接する機会があります。どの制度に基づく職種か、誰に雇われているかに注目すると区別しやすくなります。
老健の支援相談員
老健では、生活相談員にあたる職員を支援相談員と呼びます。老健の基準第2条で1人以上(入所者100人超は常勤1人に加え、超えた部分を100で割った数以上)を置きます。解釈通知は保健医療と社会福祉に関する相当な学識経験を持つ常勤職員を充てるとしており、特定の資格は定めていません。老健の職場は老健の仕事内容と特養との違いで紹介しています。
相談支援専門員
相談支援専門員は障害福祉サービスの利用計画(サービス等利用計画)を作る職種で、介護保険のケアマネジャーにあたります。障害者の保健・医療・福祉などの分野で3〜10年の実務経験と42.5時間の初任者研修の修了が要件で、5年ごとに現任研修を受けます。
ケースワーカー
ケースワーカーは一般に、福祉事務所で生活保護などを担当する職員を指します。社会福祉法第15条の現業を行う所員で、家庭訪問や面接で資産や環境を調べ、保護の要否を判断して生活指導を行います。福祉事務所は都道府県や市の機関なので職員は公務員で、現業を行う所員は社会福祉主事でなければなりません(同条第6項)。
介護サービス相談員
介護サービス相談員は、市町村に登録されて施設や事業所を訪ね、利用者の話を聞いて疑問や不満を事業所に伝える人です。厚生労働省の通知(2020年5月29日最終改正)で定める事業で、以前は介護相談員と呼ばれていました。苦情に至る前に問題を拾う役割です。
介護職からどちらを目指すか
生活相談員とケアマネジャーは、どちらか一方を選んで終わりではなく、つながった道として考えられます。生活相談員の経験がケアマネ試験の実務経験に数えられるためです。資格要件と実務経験の数え方から、どの順番で目指すかを整理します。
生活相談員の経験はケアマネ受験につながる
生活相談員や老健の支援相談員として働いた期間は、ケアマネ試験の相談援助業務に数えられ、法定資格がなくても通算5年以上かつ900日以上で受験できます。障害福祉の相談支援専門員や、生活困窮者自立相談支援事業の主任相談支援員も対象です。
ケアマネを目指すなら受験資格から逆算する
介護福祉士の方は、登録日から5年以上かつ900日以上の実務で受験資格を満たします。介護福祉士を生活相談員と認める地域なら、相談の経験を積みながら目指す道もあります。全体の流れはケアマネになるにはで解説しています。
計画作成担当者やサ責という選択肢
グループホームで介護計画を作る仕事はグループホームの計画作成担当者の仕事内容と給料で紹介しています。訪問介護でケアマネとの調整を担うサービス提供責任者(サ責)の仕事内容と必要資格も、調整の経験を積める職種です。
まとめ
生活相談員とケアマネジャーは、どちらも相談と調整を担いますが、根拠と役割が異なります。
- 生活相談員は運営基準で置かれる施設の窓口、ケアマネは介護保険法に定義された計画の作り手
- 生活相談員は社会福祉士など3資格か自治体が認める同等以上、ケアマネは試験・研修・登録が必要
- 給料はケアマネが月約2.1万円高い(令和6年度処遇状況等調査)
- 制度上の上下関係はなく、指示系統は事業所の組織で決まる
まずは働きたい地域の生活相談員の要件と、ケアマネ受験資格を満たす時期を確かめてみてください。
よくある質問
Q. ケアマネと生活相談員はどちらが上ですか?
A. 制度上の上下関係はありません。ケアマネジャーは介護保険法に定義された資格、生活相談員は施設の運営基準で置かれる職員で、役割が違います。指示系統は法人や施設の組織図と職務分担で決まります。
Q. 施設ケアマネと生活相談員は兼務できますか?
A. 基準上は兼務できます。特養の基準第2条第9項は、介護支援専門員を常勤専従としつつ、入所者の処遇に支障がなければ施設のほかの職務に従事できるとしています。兼務させるかは施設ごとに異なります。
Q. 生活相談員とケアマネはどちらが給料が高いですか?
A. 令和6年度介護従事者処遇状況等調査ではケアマネジャーが375,410円、生活相談員・支援相談員が353,950円で、月約2.1万円の差でした。定義の違う令和7年度介護労働実態調査でも、ケアマネが約0.7万円高くなっています。
Q. 相談支援専門員とケアマネの違いは何ですか?
A. 相談支援専門員は障害福祉サービスの利用計画を、ケアマネジャーは介護保険のケアプランを作ります。相談支援専門員に試験はなく、3〜10年の実務経験と初任者研修の修了が要件で、5年ごとに現任研修を受けます。
Q. 生活相談員の経験はケアマネの受験資格になりますか?
A. なります。生活相談員や老健の支援相談員の業務は相談援助業務に数えられ、通算5年以上かつ900日以上従事すれば、法定資格がなくても受験できます。実務経験の証明方法は受験する都道府県の要項で確認してください。
参考資料・出典
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準 第2条・第12条(平成11年厚生省令第39号) https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100039
- 特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準 第5条(平成11年厚生省令第46号) https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100046
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第93条(平成11年厚生省令第37号) https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100037
- 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準 第2条(平成11年厚生省令第40号) https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100040
- 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第2条(平成11年厚生省令第38号) https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100038
- 介護保険法 第7条第5項・第69条の2(平成9年法律第123号) https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
- 社会福祉法 第14条・第15条・第19条(昭和26年法律第45号) https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000045
- 社会福祉法施行規則 第1条の2(昭和26年厚生省令第28号) https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000100028
- 通所介護及び短期入所生活介護事業所における生活相談員の資格要件について(東京都福祉保健局、2016年、28福保高介第875号) https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/28seikatsusoudan
- 生活相談員の資格要件の変更について(栃木県、2023年) https://www.pref.tochigi.lg.jp/e03/documents/02_hpkouhyou.pdf
- 介護支援専門員、生活相談員・支援相談員の役割に係る規定の整理のお願い(社会保障審議会介護保険部会資料、2010年10月7日。老健の解釈通知にある支援相談員の規定を引用) https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/2r9852000000tn76.pdf
- 相談支援専門員制度について(令和2年4月1日〜)(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001462185.pdf
- 介護サービス相談員派遣等事業の実施について(厚生労働省老健局、2020年5月29日最終改正) https://www.mhlw.go.jp/content/12304250/001225794.pdf
- 令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(厚生労働省、2025年) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/24/index.html
- 令和7年度「介護労働実態調査」結果の概要について(公益財団法人介護労働安定センター、2026年7月29日公表)
- 令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況 主な用語の定義(厚生労働省、2026年) https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/yougo.html














