生活相談員は無資格・介護福祉士でなれる?都道府県別の資格要件

生活相談員の資格要件を都道府県の資料で確認する介護職員
公開日 執筆 介護ワーカーズナビ編集部

生活相談員への異動を打診されたり、相談員の求人が目に留まったりして、自分の資格で就けるのか気になる介護職の方は多いでしょう。ところが、介護福祉士で応募できると書く求人もあれば、社会福祉士などが必要と書く記事もあります。違いの理由は、国の基準にある「同等以上の能力」の中身を自治体ごとに決めているためです。この記事では、国の基準と、自治体の通知で確認できた資格要件を一覧で比べ、施設による違い、資格を取るルート、地域の基準の調べ方までまとめました。介護福祉士や実務者研修修了、無資格で働く介護職の方に向けた内容です。

この記事でわかること

  • 生活相談員に無資格や介護福祉士でなれるかと、その根拠になる国の基準
  • 都道府県などが同等以上として認める資格・経験の一覧
  • デイサービス・特養・ショートステイ・老健での違い
  • 社会福祉主事任用資格の取り方と、自分の地域の基準の確かめ方

生活相談員に無資格・介護福祉士でなれるか

生活相談員には専用の試験がなく、国の基準は「社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者」です。前半は全国共通で、後半の中身は自治体ごとに違います。そのため介護福祉士や無資格で就けるかは、働く地域と施設の種類で分かれます。

全国共通で認められるのは3つの資格

どの地域でも要件を満たすのは、社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格の3つです。介護福祉士はこの中に入っていません。生活相談員の仕事内容や給料の全体像は生活相談員とはで紹介しています。

介護福祉士とケアマネは自治体の判断次第

今回確認した10の自治体は、すべて介護支援専門員(ケアマネジャー)と介護福祉士を同等以上と認めていました。ただし介護福祉士は、実務経験を問わない地域と、常勤3年以上などの経験を求める地域に分かれます。

資格がなくても経験で認める自治体がある

資格がない場合は、原則として生活相談員には就けません。ただし群馬県のように、社会福祉施設等で2年以上、介護や相談の業務に就いた経験を要件に含める自治体もあります。経験で認める自治体は、一覧表のあとで紹介します。

国の基準と「同等以上の能力」の意味

生活相談員の資格要件は、特養、デイサービス、ショートステイと施設ごとに別の省令や通知に書かれていますが、元になる条文は特養の基準の1か所です。ここでは条文の位置と、同等以上の中身を誰が決めるのかを順に整理します。

特養の基準と社会福祉法第19条

特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第46号)第5条第2項は、生活相談員を社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者か、これと同等以上の能力を有すると認められる者としています。同法第19条第1項は社会福祉主事の任用資格を定めた条文で、主な号は次のとおりです。

  • 第1号 大学等で厚生労働大臣が指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者
  • 第2号 都道府県知事が指定する養成機関または講習会の課程を修了した者
  • 第3号 社会福祉士
  • 第5号 厚生労働省令で定める者(施行規則第1条の2で精神保健福祉士など)

社会福祉主事任用資格は、第1号や第2号に当たる方を指す呼び方です。

デイサービスとショートステイは特養に準じる

デイサービス(通所介護)の生活相談員の配置は指定居宅サービス等の基準第93条、ショートステイ(短期入所生活介護)は第121条に定めがあります。資格要件は、解釈通知(平成11年老企第25号)で特養の基準第5条第2項に準ずるとされています。

同等以上の中身は指定する自治体が決める

同等以上として何を認めるかは、国が一律には示していません。兵庫県の通知は、中央福祉学院の施設長研修修了者と精神保健福祉士以外は各都道府県の解釈に委ねられていると説明しています。事業所を指定する都道府県や市区町村が、通知やホームページで具体的な資格を示しています。

都道府県別の資格要件一覧

2026年11月時点で自治体のサイトに掲載されている通知や案内を確認できた自治体だけをまとめました。10の自治体はすべて介護支援専門員と介護福祉士を同等以上と認めているため、表では介護福祉士の条件と、資格以外で認める経験を比べています。

自治体 介護福祉士の条件 資格以外で認める経験 対象サービス 適用日・出典
東京都 介護の実務経験が通算1年以上(180日以上) 特養で処遇計画の作成1年以上、老人福祉施設の施設長経験 通所介護、ショートステイ 2016年9月15日通知(28福保高介第875号)
栃木県 実務経験不問 なし 通所介護、ショートステイ、特養、特定施設、養護・軽費老人ホーム 2023年10月1日適用(高対第606-2号)
群馬県 記載なし 社会福祉施設等で介護・相談業務等2年以上(実勤務360日以上) 通所介護、ショートステイ、特養、特定施設 2026年9月1日適用(県ホームページ)
千葉県 記載なし なし 通所介護 2011年4月1日実施(県ホームページ)
新潟県 同じ事業所で常勤3年以上、または介護保険サービス事業所で常勤5年以上 なし 県所管の通所介護 2017年4月1日適用(高齢第1092号)
長野県 記載なし なし 特養、ショートステイ、通所介護など 2014年3月5日通知(25健長介第639号)
兵庫県 記載なし 在宅介護支援センター・地域包括支援センターで高齢者の相談業務2年以上 特養、ショートステイ、通所介護 2010年1月1日適用(高第1581-3号)
岡山県 記載なし なし 県指定の通所介護 2017年2月6日通知(長寿第2209号)
沖縄県 記載なし なし 特養、ショートステイ、通所介護 2010年7月1日適用(県資料)
北九州市 記載なし 社会福祉施設等で3年以上(介護・看護の直接処遇) 通所介護、ショートステイ(特養併設を除く) 2012年10月1日以降(市資料)

介護福祉士の「記載なし」は、資料に経験年数の定めが見当たらなかったものです。通知日が古い自治体もあるため、最新の取扱いは自治体に確かめてください。

介護福祉士の扱いは大きく3通り

介護福祉士の扱いは、栃木県のように実務経験を問わない地域、東京都や新潟県のように経験年数を求める地域、資格名だけを挙げて年数の定めがない地域に分かれます。栃木県は2023年の改定前、介護福祉士に5年以上の実務経験を求めていました。

無資格でも経験で認める例

資格がなくても経験で認める要件は、表の4自治体にあります。対象になる施設や職種、年数の数え方はそれぞれ違います。

  • 群馬県 人員基準上の職種として、社会福祉施設等で介護や相談業務等に2年以上
  • 兵庫県 在宅介護支援センターか地域包括支援センターで高齢者の相談業務に2年以上
  • 北九州市 社会福祉施設等で介護や看護の直接処遇に3年以上
  • 東京都 特養での処遇計画作成1年以上、または老人福祉施設の施設長経験

いずれも勤務先が発行する在職証明書などで経験を示す必要があります。

同じ県内でも基準を決める自治体が違う

地域密着型通所介護(定員18人以下の小規模デイ)は、介護保険法第78条の2により市区町村が指定します。新潟県の通知も、地域密着型は市町村に確認するよう求めています。政令市や中核市は通常のデイや特養も指定します。千葉県のページは通所介護が対象ですが、中核市の船橋市は特養や地域密着型デイまで含めて介護支援専門員と介護福祉士を認めています。

施設の種類による違い

同じ相談職でも、施設の種類によって資格の扱いと、同等以上を決める自治体が違います。デイサービスとショートステイは特養に準じ、老健の支援相談員には特定の資格の定めがありません。主な施設を表にまとめました。

施設 資格要件 同等以上を決める自治体
デイサービス 特養に準じる 都道府県・政令市・中核市
地域密着型デイ 特養に準じる 市区町村
ショートステイ 特養に準じる 都道府県・政令市・中核市
特養 基準第5条第2項 都道府県・政令市・中核市
老健(支援相談員) 特定の資格の定めなし なし

デイサービスの職場の様子はデイサービスの仕事内容、特養は特養の仕事内容と職種構成で紹介しています。新潟県のように、介護支援専門員や介護福祉士を認めるのはデイだけで、ショートステイと特養では同じ扱いをしない地域もあります。

老健の支援相談員には資格要件がない

老健では、生活相談員にあたる職員を支援相談員と呼び、介護老人保健施設の基準第2条で1人以上を置きます。解釈通知は保健医療と社会福祉に関する相当な学識経験を持つ常勤職員を充てるとしており、特定の資格は定めていません。老健の職場は老健の仕事内容と特養との違いで紹介しています。

介護付き有料老人ホームの生活相談員

介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)にも、指定居宅サービス等の基準第175条で生活相談員の配置が定められています。国の基準に資格の定めはありませんが、栃木県や群馬県はデイなどと同じ資格要件を求めています。

無資格・介護職から生活相談員になるルート

今の資格と働く地域によって、近道は変わります。全国で通用する資格を取る方法、自治体が認める資格で要件を満たす方法、経験年数で認める地域で実務を積む方法の3つを順に見ていきます。

社会福祉主事任用資格を取る

全国で通用するのは社会福祉主事任用資格です。厚生労働省によると、大学や短期大学で指定科目のうち3科目以上を履修して卒業すれば得られます。専門学校は対象外で、3科目は同じ大学で履修して卒業する必要があります。都道府県知事が指定する養成機関の課程を修了する方法もありますが、全国社会福祉協議会中央福祉学院の通信課程(1年)は、令和7年度の案内では受講資格を自治体職員などの公務員としています。

介護福祉士やケアマネで自治体の基準を満たす

介護福祉士は表のすべての自治体で認められています。資格の取り方は介護の資格一覧と取る順番にまとめています。介護支援専門員も同様で、生活相談員との違いは生活相談員とケアマネの違い、受験から登録まではケアマネになるにはで解説しています。

経験年数で認める地域で実務を積む

群馬県や北九州市のように経験で認める地域なら、資格がなくても実務を積んで要件を満たせます。対象になる施設や職種、勤務日数の数え方は自治体ごとに決まっているため、自分の経歴が当てはまるかを先に確かめておきましょう。

自分の地域の基準を確かめる方法

求人票の応募条件は事業所が決めたもので、行政の基準とは限りません。同じ資格でも事業所の種類や所在地で扱いが変わるため、働く予定の事業所について、指定権者、検索と問い合わせ、証明書類の順に確かめましょう。

まず指定権者を確かめる

指定権者とは、事業所を指定した自治体のことです。通常のデイ、ショートステイ、特養は都道府県(政令市・中核市にある事業所は市)、地域密着型デイは市区町村です。事業所の種類と所在地が分かれば、どの自治体の基準を見ればよいかが決まります。

検索語と問い合わせ先

「(自治体名) 生活相談員 資格要件」で検索すると、通知や事業者向けページ、指定申請の手引きが見つかることがあります。見つからなければ、介護保険の事業者指定を担当する課に、サービスの種類と自分の資格・経験を伝えて確かめてください。

用意しておきたい証明書類

多くの自治体は、資格証の写しや在職証明書で確認します。社会福祉主事任用資格には資格証がなく、大学の卒業証明書と成績証明書で証明します。科目名は、卒業年度の指定科目名と原則一言一句同じかで判断されます。

まとめ

生活相談員の資格要件は、全国共通の3資格と、自治体ごとの同等以上の2段構えです。

  • 全国で通用するのは社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格
  • 介護支援専門員と介護福祉士は確認した10の自治体すべてで認められ、介護福祉士に経験年数を求める地域もある
  • 群馬県、兵庫県、北九州市、東京都には、資格がなくても経験で認める要件がある
  • 地域密着型デイは市区町村、政令市・中核市の事業所は市が基準を決める

異動や転職の前に、事業所の指定権者の通知で自分の資格と経験が当てはまるかを確認してください。

よくある質問

Q. 実務者研修の修了で生活相談員になれますか?

A. 今回確認した自治体の通知には、実務者研修の修了だけで認める例はありませんでした。ただし群馬県や北九州市のように、資格を問わず一定期間の勤務経験で認める地域もあります。働く予定の地域の基準で、経験が要件に当てはまるかを確かめてください。

Q. ケアマネの資格があれば生活相談員になれますか?

A. 確認した10の自治体はすべて介護支援専門員を同等以上と認めていました。新潟県は有効期間内の介護支援専門員証が必要としています。仕事の違いは生活相談員とケアマネの違いで解説しています。

Q. 看護師や准看護師は生活相談員になれますか?

A. 確認した自治体の中で、看護師や准看護師の資格そのものを同等以上とする例は見当たりませんでした。北九州市は、社会福祉施設等で介護や看護の直接処遇に3年以上勤務した方を認めています。地域によって扱いが違うため、指定権者に確認してください。

Q. 要件を満たさない人を生活相談員にするとどうなりますか?

A. 人員基準を満たさない状態になります。デイサービスなどの居宅サービスでは、介護保険法第76条の2が基準を満たさない事業者への勧告を、第77条が指定の取消しや効力停止を定めています。

参考資料・出典

この記事を書いた人

編集部

介護ワーカーズナビ編集部

介護職向け情報メディアの編集チーム

厚生労働省などの公的統計や制度資料をもとに記事を作成しています。数値には出典と年度を記載し、制度が変わったときに内容を見直しています。

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