60代から介護職に転職できる?定年・再雇用の実態と介護助手・制度

60代で介護施設に転職して働く介護職員
公開日 執筆 介護ワーカーズナビ編集部

定年が近づいたり、退職後の働き先を探したりする中で、60代から介護職に就けるのかと考える方は少なくありません。一方で、何歳まで雇ってもらえるのか、定年後はどんな契約になるのかを、公的な数字で確かめられる情報は多くありません。この記事では、介護労働実態調査と高年齢者雇用安定法をもとに、年齢構成と採用率、定年・再雇用の実態、介護助手という働き方、使える制度と求人の探し方を整理しました。60歳前後で介護職への転職や再就職を考えている方、定年後も今の職場で続けるか迷っている方に向けた内容です。

この記事でわかること

  • 介護の現場で働く60歳以上の割合と、年代別の採用率
  • 介護事業所の定年制度・再雇用制度の実態と、法律で決まっていること
  • 介護助手という働き方と、雇用形態の選び方
  • 60代で関わる給付・年金・助成金と、求人の探し方

60代から介護職への転職は珍しくない

介護の現場では、60代以上の職員がすでに大きな割合を占めています。公益財団法人介護労働安定センターの令和7年度介護労働実態調査(2025年10月1日時点、2026年7月公表)で、働き手の年齢構成と年代別の採用の状況を確かめます。

介護職員の5人に1人近くが60歳以上

令和7年度の労働者調査では、回答した介護労働者20,675人の平均年齢は49.5歳で、65歳以上が10.4%でした。職種別の年齢構成から60歳以上の割合を合計すると、次のとおりです。

職種 平均年齢 60〜64歳 65歳以上 60歳以上の合計
介護労働者全体 49.5歳 10.9% 10.4% 21.3%
介護職員 47.8歳 9.9% 8.6% 18.5%
訪問介護員 51.1歳 12.1% 14.5% 26.6%

60歳以上の合計と、介護職員・訪問介護員の65歳以上は、公表された年齢階層ごとの割合を足した値です。

60代前半の採用率は50代とほぼ同じ

同じ調査の事業所調査では、介護職員の1年間の採用率(採用者数÷前年10月1日時点の在籍者数)は50〜59歳で12.4%、60〜64歳で11.6%、65歳以上で8.2%でした。60代前半は50代と大差がなく、65歳以上で下がります。

募集で年齢を理由に断ることは原則できない

募集・採用での年齢制限は、労働施策総合推進法第9条で原則禁止されています。例外は同法施行規則第1条の3第1項に限られ、定年年齢を上限にした無期雇用の募集などが代表例です。40代・50代の転職事情は40代・50代から介護職に転職で解説しています。

介護職の定年と再雇用の実態

60代の転職では、定年が何歳で、その後どう働けるかが応募先選びに直結します。介護労働実態調査で定年制度を尋ねた最新の結果は令和2年度調査(2020年10月実施、有効回答9,244事業所)のため、その数字と法律のルールを並べて確認します。

定年制度がある事業所は約8割、定年は60歳が最多

令和2年度の事業所調査では、定年制度ありが80.6%、なしが17.7%でした。定年年齢は60歳が44.4%、65歳が35.5%で、平均は62.9歳です。社会福祉法人では96.9%に定年制度がありました。

再雇用制度は63.7%、上限年齢は定めなしが最多

定年制度のある事業所のうち、定年後の再雇用制度を導入しているのは63.7%、勤務延長制度は26.1%で、いずれもないのは12.9%でした。再雇用制度の雇用限度年齢は、年齢の定めなしが38.6%、65歳が38.0%、66歳以上が19.0%で、平均は66.8歳です。

再雇用は定年でいったん退職して新しい契約を結ぶ制度、勤務延長は退職せずに雇用を続ける制度です。

法律で決まっている65歳・70歳のルール

高年齢者雇用安定法の第8条では、定年を定める場合は60歳を下回れません。第9条は、65歳未満の定年を定める事業主に、定年の引上げ、継続雇用制度の導入、定年の廃止のいずれかを義務づけています。第10条の2では、70歳までの就業機会の確保が努力義務とされています。

再雇用後の給料の目安

令和7年度介護労働実態調査の平均月収は60〜64歳で252,820円、65〜69歳で241,390円でした。平均時給は60〜64歳で1,298円、65〜69歳で1,260円です。有期雇用の介護職員の平均月収は228,268円で、無期雇用の241,944円より低めでした。

年代別の詳しい数字は介護職の給料を年齢別に比較にまとめています。

60代の採用で確認される条件

60代の応募では、年齢そのものより、どの曜日・時間帯に、どのくらい続けて働けるかが確認されます。シフトを組む側にとって、勤務の条件がはっきりしている応募者は配置を考えやすいためです。

勤務日数・時間帯・通勤を先に決めておく

働ける条件は応募前に決めておくと、面接の話が早く進みます。勤務帯は施設の種類で変わるため、求人票の勤務時間欄と照らしながら、次の3点を決めておきましょう。

  • 週に何日、1日何時間働けるか
  • 早番・遅番・夜勤のうち、どの勤務帯に入れるか
  • 通勤にかけられる時間と手段

日勤のみを希望する場合は、その希望も先に伝えておきましょう。

未経験なら研修と仕事内容の理解が先

資格がなくても応募できる求人はありますが、介護職員初任者研修は受講に年齢や学歴の条件がなく、60代からでも受けられます。研修の内容は介護職員初任者研修とは、未経験で入れる職場の選び方は介護職を未経験から始めるにはで紹介しています。

介護助手という選択肢

介護職員として働くほかに、介護助手として現場を支える働き方もあります。都道府県が事業所の導入を後押ししている例があり、ここでは三重県の実施要領をもとに仕組みを確認します。

介護助手とは

三重県の実施要領では、介護助手を、身体介護などの専門的な知識・技術を必要とする業務以外の周辺業務に従事する元気高齢者等と位置づけています。介護職員が専門業務に専念できるようにし、負担軽減と定着につなげる狙いです。

事業所が業務を切り出して募集する

事業所は、普段の業務から介護助手が担う周辺業務を切り出し、チラシなどで地域の元気高齢者等を募集して、説明会とマッチング面談を行います。補助の上限は1事業所あたり20万円、1事業者あたり40万円で、受け取るのは事業所です。

任される業務は事業所によって違うため、求人票と面接で担当範囲を確かめてください。職場に慣れてから初任者研修を受け、介護職員に進む道もあります。

雇用形態の選び方

60代からの転職では、正社員、パート、有期の契約社員のどれを選ぶかで、何歳まで働けるかや社会保険の扱いが変わります。同じ事業所でも雇用形態によって定年や更新の扱いが異なるため、応募前にそれぞれの確認点を押さえておきましょう。

正社員は応募先の定年年齢を確認する

期間の定めのない正社員の募集では、定年年齢を上限とする年齢制限が例外として認められています。定年65歳の事業所なら、正社員の応募は64歳までという場合もあるでしょう。60歳以上に限った募集も例外の一つとして認められており、シニア向けの求人として出されることがあります。

パートは週20時間が社会保険の目安

勤務日数を抑えたい場合はパートが選択肢になります。社会保険は2026年10月1日に賃金要件がなくなり、週20時間以上が加入の目安です。詳しくは介護パートの社会保険加入条件、待遇の比べ方は介護職のパートと正社員の違いで整理しています。

有期契約は更新の上限を確認する

契約社員やパートの多くは期間を定めた契約で、更新を重ねて働きます。契約書で契約期間、更新の有無と判断基準、更新の上限年齢を確かめておくと、何歳まで働けるか見通しが立ちます。

60代で知っておきたい制度

60代の転職では、雇用保険の給付や年金、事業所向けの助成金が関わってきます。本人が受け取るものと事業主が受け取るものを分けて整理します。金額は人によって違うため、手続き先で確かめてください。

65歳以上で離職したときの高年齢求職者給付金

65歳以上の雇用保険の被保険者は高年齢被保険者と呼ばれ、離職した日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あれば、高年齢求職者給付金を受けられます。額は基本手当日額の50日分(算定基礎期間1年以上)または30日分(1年未満)の一時金です(雇用保険法第37条の2〜第37条の4)。

年金を受けながら働くときの在職老齢年金

厚生年金に加入して働きながら老齢厚生年金を受け取る場合、賃金と年金の合計が支給停止調整額を超えると、超えた額の半分が止まります。令和8年度の調整額は65万円で、老齢基礎年金は全額支給です。高年齢雇用継続給付は、先に紹介した年齢別給料の記事で扱っています。

特定求職者雇用開発助成金は事業主向け

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)は、ハローワーク等の紹介で60歳以上の高年齢者などを継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主への助成で、求職者本人には支給されません。65歳以上向けの生涯現役コースは廃止され、60歳以上がまとめて同コースの対象です。

支給額は中小企業で1人60万円、週20時間以上30時間未満の短時間労働者は40万円です。2026年5月1日以降は、ハローワーク等で就労に向けた個別支援を受けている60歳以上が対象になります。

求人の探し方と応募時の注意

60代向けの求人は、求人サイトのほか公的な窓口でも探せます。応募の段階で定年や勤務条件を確かめておくと、入職後のずれを減らせます。ここで見るのは、ハローワークの専用窓口と、求人票・面接で確かめる点です。

ハローワークの生涯現役支援窓口

一部のハローワークには、おおむね60歳以上を対象にした生涯現役支援窓口があり、在職中でも利用できます。これまでの職歴や年金の受給状況を踏まえた職業相談・紹介のほか、職場見学や面接会、公共職業訓練の受講あっせんも行っています。

求人票と面接で確かめること

60代の応募で特に確認したいのは、定年年齢と再雇用の上限年齢、契約期間と更新の条件、勤務帯と夜勤の有無、資格取得支援の有無です。

志望動機では、前職の経験と働ける曜日・時間帯を合わせて伝えると、採用担当者が配置を想像しやすくなります。書き方の型は介護職の志望動機の書き方、質問の流れは介護職の面接でよく聞かれる質問と回答例を参考にしてください。

まとめ

60代からの介護職への転職は、調査の数字を見ても珍しくありません。要点を振り返ります。

  • 介護職員の18.5%、訪問介護員の26.6%が60歳以上で、60代前半の採用率は50代とほぼ同じ
  • 定年制度のある事業所は約8割で、定年は60歳が最多、再雇用制度は63.7%(令和2年度)
  • 法律では65歳までの雇用確保が義務、70歳までの就業確保が努力義務
  • 特定求職者雇用開発助成金は事業主向けで、本人が受けるのは高年齢求職者給付金など

応募先を選ぶときは、まず求人票で定年と再雇用の上限年齢、勤務帯を確かめるところから始めてください。

よくある質問

Q. 70歳で未経験でも介護職に応募できますか?

A. 募集での年齢制限は原則禁止されており、70歳でも応募できる求人はあります。令和7年度介護労働実態調査でも、介護職員の2.4%が70〜74歳でした。定年年齢を上限とする正社員募集は例外として認められているため、パートや有期契約の求人も含めて探しましょう。

Q. 60代でも夜勤に入る必要がありますか?

A. 夜勤の有無は施設の種類と求人の条件で決まります。入所施設は夜勤のあるシフト制が多く、デイサービスや訪問介護は日中の勤務が中心です。日勤のみを希望する場合は、求人票の勤務時間欄で確認し、面接でも伝えておきましょう。

Q. 年金を受け取りながら働けますか?

A. 受け取れます。厚生年金に加入して働く場合、賃金と老齢厚生年金の合計が令和8年度は65万円を超えると、超えた額の半分が支給停止になります。老齢基礎年金は全額支給です。自分の年金額は年金事務所で確かめてください。

Q. 介護助手に資格は必要ですか?

A. 介護助手は身体介護以外の周辺業務を担う働き方のため、資格を求めない求人が中心です。続けるうちに身体介護にも関わりたくなった場合は、年齢条件のない介護職員初任者研修から始められます。

Q. 65歳を過ぎて採用されると事業所に助成金が出ますか?

A. ハローワーク等の紹介で一定の条件を満たして雇い入れた場合、事業所は特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)を受けられることがあります。助成金は事業主に支給されるもので、本人の給料に上乗せされるものではありません。

参考資料・出典

この記事を書いた人

編集部

介護ワーカーズナビ編集部

介護職向け情報メディアの編集チーム

厚生労働省などの公的統計や制度資料をもとに記事を作成しています。数値には出典と年度を記載し、制度が変わったときに内容を見直しています。

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